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正しい努力と伝える力

 現在放送中の朝ドラを見てあまりにも感動した。
見ながら中盤から涙腺がもう崩壊してしまった。現在の朝ドラは主人公の舞ちゃんが現在急逝したお父さんの町工場を立て直すため、夢だったパイロットの内定を辞退し、お母さんと立て直すお話の週です。

 仕事でうまくいかないとき、私は自分がサラリーマン時代のある出来事を思い出します。
ちょうどこのドラマ「舞い上がれ!」を見ていてそれを思い出したので、ちょっと備忘録として買いてみようと思いました。
努力って目の前の誰かのためにするのだと私は思っている。もちろん自分のためにする努力がないと思っているわけではない。ただ、仕事での努力って対象は自分ではなく特定の誰かであることが多い。
 私は元々は引っ込み思案で、人前で話したり、積極的に手伝うが苦手な人間だ。(そしてこれをいうと、必ずみんな嘘だと言って信じてもらえない。でも本当なんです・・・)。いまだに思い出す中途採用で入った会社での出来事がある。
 中途採用で入った会社でお局様先輩に「中途採用の人って基本的に即戦力だと思っているから」と今思うと威圧でしかない、恐ろしい言葉を言われながら、郵便物の発送業務くらいしか任せてもらえないことに疑問を思っていました。教えてもらう仕事の内容も忙しいからと雑にしか教えてもらえず、いつも怒られないかヒヤヒヤしながら、そして楽しくない仕事をしていました。いても役に立っていないし、なんとかしたいそんな風に焦りだけがある私が入社して一週間くらい経ったときでした事務所の電話がなりました。2コール以内にとらないと怒られるビクビク電話に出ました。
 まくし立てるように話す電話口のお客様の名前も何度か聞きなおし、電話口の相手がどの営業マンに話したかったのかもすぐ分からない私に明らかに失望している様子の電話先。背中に嫌な汗をかきながらいやーな時間が過ぎたのを今でも思い出します。そして私が「〇〇に何か伝えておくことはありますか?」と聞きました。
その時に電話口の人が一瞬黙った後、「あ、そうしてもらえる?」と言って用件を伝えると電話口の人は一言「ありがとう、よろしくね」と言われたのでした。
その後、お客さまの要件の契約を調べ、要件と確認事項、顧客情報をまとめて営業の人に伝えました。その営業マンがちゃんと入ったばかりの私の名前を覚えてくれていて「こうやって調べて電話してくれてありがとう。」とお礼を言ってくれただけでなく、私が調べたポイントの何が大切だったのか、こういう情報が欲しかったんだ。と教えてくれました。その時私は自分の中で出来ないことはたくさんあるけど、自分の踏み出した新しい努力の一歩だったと思います。
 自分がやっていることを理解しようとすること。相手がなにを求めているのか知ろうとすること。新人のときの私は怒られたくない。という気持ちが前面に出過ぎて、相手を見ていなかった。そんな私が、今誰かのためにできることは何か。という視点に立てたことが社会人として良い一歩だったと社会人になって20年たった今でも思うのです。

 今回の主人公はお父さんのネジ工場を立て直すためにどんな努力をしたかというと、ネジについて学ぶという姿勢だった。当たり前のように思うかもしれないけど、お客さんが安心して相談できるようになるためには、まず自分ができることは何かを考えなくては行けないと思ってる。相手に自分の出来る事を伝え、相手がしてほしいことを少しずつ足していく。このキャッチボールが仕事をする上でとても大切だと思っている。

 知識を深くすることはとても地味だしすぐには効果は出ない。しかし、着実に自分の身になって、財産となることを私はもう知っている。
だからこそ、一流の営業マンになるための近道を探すのではなく、こういう地味かもしれないが基本的なことを実直にやっていくしかないのかな・・・と思う。

 鍼灸師という仕事において、何がそれに当たるかな・・・と考えてみた。
私にとっての地味な仕事はタオルを丁寧に畳む。なのかもしれない。
お客様の肌に触れるものはきちんと向きを揃えて、そして優しくかけて施術する。スリッパを揃える。トイレットペーパーをお客様が使った後に入って三角に折る。
それをしているから良い。悪い。ではないと思うのだけど、タオルの折り目やスリッパ、靴の並べ方で相手のことを思っていることが伝わると私には思えるので
 忙しい、今余裕がない、うちにはそういうことは求められていないから。
そういうことをいう同業の人もいるかもしれない。
 でも私はやっぱりこれからくるお客様のことを思ってキチンとした空間でお客様をお迎えする鍼灸師でいたいな。と思っている。

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