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CARNIVAL〜夜空のサーカス団の物語〜第8話


いきなりですが、「夢」という言葉には2種類の意味があります。
寝る時にみる、非現実的なもの。そして現実世界で目標とする未来。

現実と非現実という、一見真逆の性質を持った言葉のようですが、実はそうではありません。
寝ている間にみる夢というのも、現実世界の延長線上にあるものだからです。

今日はそんな、現実と幻想のはざまにある世界の物語をお届けしましょう。

【楽曲】幻想


スラム街で生まれ育った青年は、未来に希望を持てませんでした。
両親は酒とギャンブルに溺れ、子供には無関心だったのです。

生きていくためにスリや万引き、酷い時は海賊の一味として強盗や暴行をしていても、両親もそれを咎めることはなかったほどです。

そんな青年がある日、とても美しい女性と出逢います。
気品があり、まとっているオーラさえもが美しさと自信に満ち溢れています。

女性は聞きます。
「あなたの夢はなんですか?」
青年はこたえることができません。

お腹いっぱい美味しいものを食べて、幸せいっぱいに笑いたい・・・
そんな貧しくない人にとっては極当たり前のことを夢と言っていいのか悩んでいたからです。

それを察した女性は優しく包み込むような声で青年に告げます。
「望んではいけない夢などないのです。あなたが望む夢を私は応援します」

「そんなのは、、、あなたが裕福で余裕のある人間だから言えるんだ」青年は声を荒げて言いました。

しかし女性は一切動じず「あなたが苦しんでいるのは私の責任でもあります。この国をもっともっと住みやすくするため尽力します」という言葉を残し、去っていきました。

それから青年は毎日彼女の姿を探しました。
しかし、どんなに探しても一向に見つかりません。

自分の不幸を嘆き、彼女に八つ当たりしてしまったことを青年は謝りたかったのです。

今あなたにもう一度会えたのなら、この前の答えをちゃんと言える。
僕の夢はたくさん笑える明るい未来だ・・・と。


そんな中、繁華街の方に人だかりができている事に気がつきました。
街の真ん中に以前はなかった大きなテントが建っているのです。

「これは・・・」
青年はテントのあまりの迫力に驚きながらも、書いてある文字を読み上げました。
「サーカ・・・ス・・・?」

聞いたことのない言葉でした。
恐る恐る中に入ってみると、そこはまるで別世界です。
ライオンやゾウなどの様々な動物に、高い天井を行き来する超人たち、戯けて笑いをとる真っ白な顔の不思議な男。

その全てに圧倒され、青年は思わずため息をついていました。

そこで派手なドラムロールが鳴りだします。
シンバルが鳴りライトが客席を照らしました。

そこにはなんとずっと探していた彼女がいます。
「本日はなんとわが国の姫君であられる、ルナ様がご鑑賞くださっております」と、アナウンスが流れ、青年は状況を理解をするのに時間を要しました。

「え・・・?彼女がお姫様?」

青年の目の前は真っ暗になりました。





【楽曲】ドワーフ



青年は黙ってその場を立ち去りました。
彼女に会うことはおそらくもう無いでしょう。
青年はいつの間にかあの女性に恋心を抱いていたのです。

しかし、青年の目には落胆の隅にわずかな希望の粒が浮かんでいます。

「サーカス、、、か」

彼は数年後、ちいさなサーカス団を作りました。その名も「月のサーカス団」
月はラテン語でルナ。あのお姫様を想ってつけた名前でした。
あの日見たサーカスのように派手で大きくはありませんでしたが、最高の仲間と出会い、自慢のサーカス団を作ることができたのです。

そんなサーカス団は「派手さや豪華さはないが、見終わった後、不思議と温かな気持ちになれる」と話題を呼び、少しずつお客さんも増えていきました。

世界中を周り、本日は数年ぶりの故郷での凱旋公演です。
開始の挨拶をする為、舞台袖で待機していた青年に背後から女性が声をかけます。

「あなたの夢はなんですか?」

驚き、ハッとなった青年は少しの間ののち、微笑みながら振り向かずに答えます。

「僕の夢は、このサーカスを世界一にすること。そして、その世界一のサーカスはこの国のサーカスだと世界中に認知させます。僕の夢はあなたが笑う…いえ、あなたやみんなと笑える明るい未来ですから」



さて、今宵もお付き合いいただきありがとうございました。
本日もお相手は私カーニーが務めさせていただきました。

今日お届けしたのは団長の過去にまつわるお話。

人には様々な歴史がありますね。
この、月のサーカス団はその後何度も名前を変え、今の夜空のサーカス団となっています。


さて、いよいよこの「CARNIVAL〜夜空のサーカス団の物語〜」も残すところあと1話となりました。
最後はどんな物語になるのか、お楽しみに。

それではまた物語の中でお会いしましょう。


🎪2024年ライブ情報🎪

ソロ
3/14(木)久米川 太陽と月灯り
3/30(土)神戸 カフェドジェーム
3/31(日・昼)大阪 吹田 izumicho cafe

バンド
4/11(木)北参道Grapes

ご予約はこちらから
https://framu.world/groups/shinishizuya/events

【SNS まとめ】

https://aboutme.style/shin_Ishizuya


【Release】

2023.12.25 Release
「迷惑」

https://framu.world/groups/shinishizuya/albums/1174

歌詞
https://ishizuyashin.amebaownd.com/posts/40920229/

Album付きライナーノーツ「CARNIVAL」

[収録曲]
1.OPENING
2.悪魔とカーニバル
3.饗宴
4.Grin clown
5.幻想
6. Mr.Chaplin
7.羽を無くした鳥
8.ENDING

¥2,000

Design:siz
arrangement :ヒロハタケンジ

ご購入はこちら→ https://booth.pm/ja/items/4214670


♢Concept sigle 「夜空のサーカス」

[収録曲]
1..夜空のサーカス
2.サーカスのライオン
3.歌えジャンボ!

Design:siz
arrangement :ヒロハタケンジ

CDのご購入はこちら→ https://shin-ishizuya.booth.pm/

トレーラーはこちら→ https://youtu.be/54aMgyz1zuU

【ホームページ】

https://ishizuyashin.amebaownd.com/

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