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LGBT ロシアと日本 どちらがまとも? プーチンインタビュー①

12月1日付読売新聞夕刊に「LGBT運動『過激派』 ロシア最高裁判決」という小さな記事が載りました。
ロシア法務省が、LGBTの権利を訴える市民運動を「過激派」と認定するよう申し立てたことについて、最高裁が判断したもので、記事は同性婚を認めていないロシア正教側は「社会による道徳的な自己防衛」と評価し、国際人権団体アムネスティ・インターナショナルは「恥ずべきこと」と批判した、と続きます。
ロシアでは、LGBTのデモなどは「伝統的価値を破壊する欧米の思想。煽動を含む過激主義的な傾向の様々な兆候が確認された」と言います。憲法では「結婚は男女の結びつき」と明記し、昨年LGBTに関してネットや書籍で拡散するのを禁じる法改正をしています。
 
一方、わが国はアメリカにすら先んじて、LGBT法を岸田官邸主導で通し、最高裁が全員一致で性自認の差別禁止に道を開き、先日はそれらに反対する言論を封殺する暴挙が行われました。
KADOKAWAが5日、来年1月に予定していたアビゲイル・シュライアーさんの著書『あの子もトランスジェンダーになった SNSで伝染する性転換ブームの悲劇』の刊行中止を発表しました。出版前から多数の抗議が寄せられ、6日に本社前で抗議集会が開かれることも告知されていたとのことで、ふだんは大切にしているらしい言論の自由を左翼が封じたのです。9日付の産経新聞コラム産経抄は、現代の焚書坑儒だと警鐘を鳴らしましたが、ほかの新聞、テレビは重大視していないようです。
 
いまだにソ連と同じように見られているロシアが、このLGBT問題に極めて保守的な一方、わが国は与党や最高裁、マスメディアが一体になって過激なリベラル活動を後押ししているのが対照的な現実です。もっと率直に言えば、どちらがまともなのか?ということです。
 
10日のnoteで取り上げた馬渕睦夫さんも親露派の代表のように言われて、「プーチンこそが悪の枢軸」と思い込む人たちにもよく攻撃されます。保守派と言われる言論人の中にもプーチン大統領を悪し様に罵る人が少なくないのですが、そんな方々にぜひ見てほしい映像があります。ロシアがウクライナ戦争に至る経緯は、大東亜戦争に踏み切らざるを得なかった日本とも重なる面があります。
 
 
原題「ザ・プーチンインタビューズ」というドキュメンタリー番組です。
2015年7月から2017年2月にかけて、JFK、プラトーン、スノーデンなど社会派作品で著名な映画監督のオリバー・ストーンがプーチンロシア大統領に密着しました。
大統領執務室で、公邸で、大統領専用機内で、還暦で始めたアイスホッケーの会場で、嘉納治五郎像のある柔道場で、プーチン自身が運転する車の中で、歯に衣着せぬ直球質問を投げかけ、プーチン大統領はあけすけに答えています。
中身の濃い話が1話1時間、4話でまとめられました。西側の報道、日本のマスコミ報道では、決して見られない資料映像、決して得られない情報が豊富です。また、移民政策、LGBT政策に傾倒する日本でこそ、耳を傾けるべきプーチンの家族観や国家観があるように思いました。
 
全話通じてですが、プーチンはアメリカを一貫して「パートナー」と呼び、自制がきいています。
 
第1話の冒頭は両親について、不良少年が柔道を通じて更生したことや学歴、KGBにいた職歴について、ソ連崩壊後、エリツインに抜擢されます。
ソ連崩壊の不幸を、こう言います。「2500万のロシア人が突然異国民になった」。
エリツインは民営化を進め、国有財産を濡れ手に粟のごとく手にした大富豪が誕生する一方、一般の国民は貧しいままです。後を継いだプーチンはまずこの新興富豪オリガルヒを正そうとします。
エリツインを引き継いだプーチンは「不正不公平を変えたかった。国の財産を二束三文で売られないようにしたかった。民営化を止めるのが目的ではない。秩序ある公正なやり方で進める。オリガルヒには財産権を保護すると言った。不当でも法律は法律だ。しかし、法律はより公正になると言った。大多数は従った」と言います。
貧しかったロシアの経済を立て直す中で、旧ソ連圏の借金も返したと言います。ウクライナの債務160億ドルもIMFに返済した、と。こうした両国の関係性はまったく伝えられていない話です。
 
911同時テロの話題から、ソ連時代のアフガニスタン紛争で、アメリカの諜報機関がソ連の体制自体を打倒するためにテロ組織を利用したこと、それがソ連崩壊後も変わっていないことを指摘するプーチンは、息子ブッシュにテロ支援の証拠(諜報員の実名)を渡したこと、ブッシュが「精査する」といった後、CIAからプーチンに届いた手紙には「反体制派との関係を維持する権利があり、今後も継続する」と書いていたことを明かし、反体制派にはテロ組織も含まれているのは明白と言います。
 
西側の報道では伝えられない資料映像があります。

グローバリストとの戦いを表明したミュンヘン安全保障会議 ウィキメディアコモンズより


2007年2月10日ミュンヘン安全保障会議でのプーチン演説のワンシーンで、ロシアメディアの映像です。
「冷戦後、提案された世界の一極化は起きなかった。そもそも世界の一極化とは? どれほど脚色してもこの言葉が意味することは一つ。権力の一極集中だ。権力や意思決定の一極集中である。唯一の支配者を持つ世界、損害を被るのは支配下の人々だけではない。支配者自身も内側からむしばまれる。特にアメリカはあらゆる意味で国境を侵している。その証拠に経済政治文化教育の政策を他国に強要している
会場は各国首脳で満席です。前ドイツの女性首相メルケルも険しい顔で聞いています。険しい顔から破顔して苦笑をもらすジョン・マケイン上院議員の姿もありました。
大国の大統領が公の場で世界統一政府の動きを批判したら、大騒ぎになっていい話です。しかし西側メディアは黙殺しました。不都合な真実だからです。
 
<ロシアもNATOに入ることを検討している>
プーチンはクリントン大統領とのモスクワでの会談でこう提案したそうです。「ロシアのNATO加盟も検討課題だ」と。クリントン大統領は賛成したが、代表団はピリピリしていた。と。
オリバー・ストーン「加盟申請は?」
「いかにピリピリしていたか説明しよう。ロシアが加盟すればNATOでの投票権を得る。我々を操作できなくなる。アメリカは検討さえしないだろう」
 
ロシア圧迫のためのNATO東方拡大ですから、トロイの木馬のようなものにアメリカが応じるわけもなく、プーチンの強かさと少し茶目っ気を感じるエピソードです。

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