見出し画像

プロダクトマネージャーが2021年に読んで良かった良書10選

今年は多くの企業でプロダクトマネージャーとしてお手伝いをしてきた中で、新しく学んだことがたくさんありました。特にアップデートが早いITソフトウェアの世界で時代遅れにならないよう色々な本を読み、良い本・あまり良くない本両方をたくさん読みましたので、備忘録もかねてまとめてみました。

今回まとめたのはプロダクトマネージャーの初級〜上級向けまで色々ありますので、ご自身の経験によって読む本を選んでください。

前提:自分がどのスキルを磨くべきか分かるプロダクトマネジメント・トライアングル

プロダクトマネジメントのスキルを可視化するフレームワークとして、プロダクトマネジメント・トライアングルがあります。これは英語記事The Product Management Triangleで有名になりましたが、英語のままだと考えにくいので簡単に日本語訳をつけたものがこちらになります。

3つある各スキルですが、このトライアングルをすべて完璧に満たすことを目指すと挫折しますし、この3つはPdMにとって同じ価値があるものでは実はありません。トライアングルのどこから磨いていくべきか?基本的にBizの人がPdMになるためには①→②→③の順がおすすめです。この詳細は別記事にて解説しているので、

「プロダクトマネージャーって何?」

という人はこちらの記事から読んでください。

プロダクトマネージャーが読んで良かった良書10選


お客様の課題を見つけるスキル

1.イシューからはじめよ

これはプロダクト作りをする人にとって必読の一冊です。プロダクトマネージャーは「何を作るか」という問に対してWhy?とWhat?に責任を持つポジションです。これは要するに、何を作るか?という問の答えを間違えると、プロダクト全体がおかしな方向に進んでしまい、お客様の課題を解決できないということでもあります。怖いですね!

これをこの本的に言い直すと、「問題を解く」より「問題を見極める」こと、「解の質を上げる」より「イシューの質を上げる」方がずっと大事ということです。解くべき問題を見極めるスキルのあるなしはプロダクトマネージャーにとって致命的なので、この一冊はぜひ読んでおくことをおすすめします。

こんな人におすすめ

  1. イシューって何?と初耳な人

  2. お客様の課題ヒアリングで苦労している人

  3. ロジカルに課題を特定することが苦手な人


2.はじめてのUXリサーチ ユーザーとともに価値あるサービスを作り続けるために

メルカリのUXリサーチチームの方が書かれているのですが、市販されているものの中ではかなり統計的にまとまっている良書です。

ほとんどの人にはUXリサーチってなに?という感じだと思いますので、基礎概念の理解からできて、ユーザーの課題をヒアリングするところまで具体的にどうすれば良いかイメージがわきます。

1つめの本でもそうですが、プロダクトマネージャーはお客様の課題を理解し何を作るか?なぜ作るか?に責任を持つポジションです。そのためにお客様の課題の正しい理解は必須なので、UXリサーチについても知っておくことは必ず役立ちます。

こんな人におすすめ

  1. UXリサーチをやったことがない人

  2. お客様の課題ヒアリングで苦労している人


プロダクトマネージャーの基礎スキルを上げる

3.正しいものを正しくつくる〜プロダクトをつくるとはどういうことなのか、あるいはアジャイルのその先について〜

ITコンサルなど従来の納品ベースでソフトウェア開発をしていた人に多いのですが、プロダクトには「正解があり仕様をそのまま形にすることが正しい」という考え方です。

しかし、これはいわゆるウォーターフォール的な考えであり、細かく改善PDCAを回していくSaaSソフトウェアの開発スタイルには合いません。なぜ合わないのか?何が問題なのか?その解説をじっくりしてくれる良書です。

こんな人におすすめ

  1. SaaSプロダクトの開発チームにいたことがない人

  2. ウォーターフォール型のITコンサル経験がある人

  3. webディレクター経験があり従来の開発スタイルに慣れている人


4.プロダクトマネジメントのすべて 事業戦略・IT開発・UXデザイン・マーケティングからチーム・組織運営まで

プロダクトマネジメントの本と言えばこれ!という感じの1冊です。プロダクトマネージャーがするべき仕事・考え方が網羅的に解説されています。全くの初心者というよりは、プロダクトマネージャーの実務をある程度やっている人におすすめです。良くも悪くも著者が複数名いるので、それぞれの考え方の特徴が分かって参考になるでしょう。

こんな人におすすめ

  1. プロダクトマネージャー駆け出しの人

  2. プロジェクトマネージャーはやったことがある人

  3. エンジニア・デザイナーで上手く協働したい人


5.言葉にできるは武器になる

プロダクトマネージャーはエンジニア・デザイナーだけでなくビジネス側の人とも協働するため、自分の意見だけでなく相手の意見も言語化できないと困ることが多々あります。

この本のタイトルにもある通り、言葉にするスキルというのはプロダクトマネージャーを大きく助けるスキルです。しかし意外としっかり言語化の練習をする機会はありませんので、この本を読んで練習することで実務でスムーズに仕事を進めやすくなるはずです。言語化はもともとの得手・不得手はありますが、練習次第で必ず上達しますのでぜひ頑張ってください。

こんな人におすすめ

  1. 仕事内容を言語化するのが苦手な人

  2. エンジニア・デザイナーで言葉以外の成果物で評価される人


6.SPRINT 最速仕事術――あらゆる仕事がうまくいく最も合理的な方法

スプリントというのは短距離走のように、短い期間のサイクルでPDCAを回す単位のことで、このスプリントを素早く回すことがいわゆるリーン・スタートアップ、アジャイル開発の基本です。タイトルは仕事術のように聞こえますが、この本では7人前後のチームでスピーディに仮説構築から効果検証までを実行する手法デザイン・スプリントについて解説しています。

興味深いのが、ブルーボトルコーヒーの新店舗開店で、小さいチームがアイデアを出し合い、実現まで最速でこぎつけた実例です。リアル店舗だけでなく、オンラインのプロダクト開発でも考え方は共通するものが多くあります。プロダクト開発でなぜスピードが大事なのか?スピードを上げるにはどうすればいいのか?を知ることができる良書です。

こんな人におすすめ

  1. 仮説立案〜検証までのサイクルを学びたい人

  2. 仕事のスピードを上げたい人


7.INSPIRED 熱狂させる製品を生み出すプロダクトマネジメント

Amazon, Apple, Google, Facebook, Netflix, Teslaなどでどのようにプロダクト開発が行われているのか、進め方が解説されている良書です。お客様の熱狂を作るためには、作るものを間違えないこと、それをスピーディに実行することが必要不可欠です。そのために、いわゆるプロトタイプを素早く作り、それを元に仮説検証をスピーディに行うことが大事とされています。

プロダクトマネージャーにとって最も恐ろしいのは、お客様が満足しないこと、課題を解決できないことです。しかし、どんなに頑張っても打率は100%にはできません。そんな中、いかにスピーディに仮説検証をしていくべきかイメージがわくはずです。

こんな人におすすめ

  1. アメリカの有名プロダクトの開発の考え方を知りたい人

  2. プロトタイプを使った仮説検証を学びたい人


エンジニアとの協働を学ぶ

8.エンジニアリング組織論への招待

こちらはエンジニアがテックリード、CTOなどマネジメント・レイヤーに上がっていく時に学びが多い本ですが、プロダクトマネージャーも読んでおいて損はない良書です。

特に一般的にプロダクトマネージャーがあまり学ぶ機会がない技術的負債について、権限移譲についてなどエンジニア組織のマネジメントに役立つトピックが多いのが他の本にない特徴です。

こんな人におすすめ

  1. エンジニアからプロダクトマネージャーになった人

  2. エンジニア経験のないプロダクトマネージャーの人

  3. エンジニアの考え方を知りたい人


プロダクト開発のトレンドをおさえる

9.PLG プロダクト・レッド・グロース「セールスがプロダクトを売る時代」から「プロダクトでプロダクトを売る時代」へ

SaaSの世界には大きく2つ、Sales Lead Growth(SLG)とPLG(Product Lead Growth)があり、この本は後者について解決した本です。これらの違いは事業が成長するキーとなるのがセールス(営業)なのか、それともプロダクトだけでお客様を呼んでくるのか、という考え方にあります。

もちろん、どんなSaaSもSLGだけ、PLGだけという白黒はっきりするものではありません。しかし、PLGモデルのようにセールスの工数が小さければ小さいほどスタートアップはキャッシュフローが良くなるだけでなく、短期間で爆発的な成長につながりやすくなります。

最近の例だと、NotionやZoomなどが典型的なPLG型のプロダクトと言えます。最近のSaaS事業開発トレンドとしてPLGはおさえておくと良いでしょう。

こんな人におすすめ

  1. SaaS業界のトレンドを知りたい人

  2. PLG型のプロダクト開発を知りたい人


10.カスタマーサクセス――サブスクリプション時代に求められる「顧客の成功」10の原則

主に顧客フィードバックを最初に受け取るのはカスタマーサクセスの人ですが、そのフィードバックを受け取る人は何を考えているのか、何を考えるべきなのかを考えやすくなります。カスタマーサクセスに関わる人であれば教科書的な「青本」と呼ばれるこの1冊を読んでおくことでカスタマーサクセスだけでなくセールスの人とも一緒に仕事がしやすくなります。

こんな人におすすめ

  1. カスタマーサクセスの仕事をしている人

  2. カスタマーサクセス部署と協働する人


おわりに(今年もたくさん本を読みました)

以上です。今年も色々な本を読みましたが、プロダクトマネージャーにとっておすすめできる本というのは限られてきます。

特にプロダクトマネージャーはエンジニアリングだけでなくマネジメント、セールス、マーケティング、デザインなど総合力が意思決定の質の高さに直結しますので、時間があるうちに専門でないジャンルも含め業務の解像度を高めておくと新年グッと仕事がしやすくなるはずです。

ではみなさん、良いお年を!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?