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スタートアップが人を採用できなくて詰んでいた時にやっていた10の改善アクション

スタートアップにとって採用は鬼門中の鬼門、苦労しない企業はないと言っても過言ではないハードシングスです。私もスタートアップ経営者時代、想像の3倍以上は大変だったのをよく覚えています。

こちらの記事を公開した後、特に「これもっと具体的に知りたいです!」と言われることが多かったポイントを深ぼっていきます。

今回は特に要望が多かった「採用めちゃくちゃ苦労してるんですけど、どうしてましたか…?」という質問へのアンサー記事です。私は人事の専門家ではないのですが、スタートアップでお金も時間もない中で工夫をして採用をして一定成功していましたのでその時の実体験を振り返ってみます。

特に大企業ではなくリソースの少ないスタートアップがどう採用競争をするべきか、という観点で書いてみました。

採用できなくて詰んだ時にしていた10の改善アクション

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1. 採用したい!と思う3ヶ月以上前からアクションをする

まず最初のつまづきなのですが、採用は「採用しよう!」と思ってすぐできるものではありません。採用リードタイムは正社員であれば早くても2〜3ヶ月、通常6ヶ月かかります。前職の退職交渉や引き継ぎなど中途採用だと今すぐコミット、というわけにはいきません。

なので、採用は将来的に必要になる人数を予測して、その前に採用活動を始めるようにしていました。スタートアップは忙しいので採用活動はつい後回しになりがちですが、採用は一夜にしてならずです。実際にプロダクトリリースをしたり露出が増えたり忙しくなってから採用活動をすると、余計に時間をかけられず採用できない、という悪循環に入ってしまいます。なので、できるだけ未来に起きるイベントを予測し、最低でも3ヶ月以上前からアクションをすることが大事です。

2. 採用は妥協せず、採用計画にこだわりすぎるのをやめる(未達>>>妥協)

採用計画を作って達成に向けてがんばる!そう意気込んだものの、そう上手くはいかないのがスタートアップです。応募が来ない、来ても合う人がいない、合う人がいても内定承諾してくれない、などなど。泣きたくなるようなハードシングスが待っています。

ただ、そんな中でも採用は妥協してはならない、これは鉄則です。妥協をすると何が起きるかというと、

人を増やしたのに事業が前に進まない
・バーンレートだけ上がる
・元からいるメンバーのパフォーマンスも下がる

ということが起こり、1+1=0.5になる、という謎減少が起きてしまいます。なので、妥協するくらいなら採用計画が未達のほうがずっとましです。今忙しいから人がほしい、という理由で妥協するのは絶対ダメで、ある程度リソースが足りていてもほしいかどうかが決める基準です。

採用計画があるから、という理由で採用するのではなく、採用できないのであればその原因の対策をするほうが建設的です。具体的な手法は次以降でも書いていきます。

3. 採用チャネルをしっかり広げる(最低で5つ以上持つ)

私がお手伝いしているスタートアップでも多いのですが、意外と採用チャネルが少ないという企業さんは多いのです。あくまで目安ですが、採用チャネルは最低でも5つ以上を常時利用していました

実際に私が駆使していたチャネルは主に以下です。

1. Wantedly
2. ビズリーチ
3. YOUTRUST
4. for Startup
5. Offers
6. TwitterやFacebookなどSNS
7. リファラル

などなど、チャネルは広い方がチャンスを逃す可能性も低くなります。人が「転職したい!」と思うタイミングというのはこちらからはコントロールできないものなので、網の目は広く張っておいてタイミングを逃さないようにすることが大事です。

もちろん多ければいいというわけではなく、しっかり管理・運営することが大事なので単純に数だけでは語れません(放置された採用ページは意外と悪印象になりがち)。しかし、できるだけチャンスを複数持つことがチャンス最大化につながることは知っておいてください。

4. 採用募集ページを常に最新にし改善PDCAを回す

意外と多いのが、採用募集ページを公開してからずっと放置、というケースです。実はこれかなり機会損失になることが多いので要注意です。事業フェーズが変わったり、新しい人が採用できたりしたら、欲しい人材も変わることが普通です。

スタートアップはプロダクトやセールスなど気にすることが多いのでつい忘れがちなのですが、採用募集ページは候補者が最初に目にするページなのでしっかり運営するように心がけていました。

そして、募集ページに書いてある内容は常に改善していきましょう。やっていくと分かるのですが、募集要項の書き方はいくらでも改善できます。私は募集している職種の友人に見てもらって「ねぇ、この募集要項で応募したいと思う?思わないのはなぜ?」と質問しまくっていました。

そうやってダメなところ、伝わりずらいところを改善して、公開し、どれくらい応募率が変わるかPDCAを回していきましょう。また、採用募集ページの更新が頻繁なほうがWantedlyなど採用媒体のアルゴリズム的におすすめ募集に掲載されやすくなるので、そういった意味でも常に改善して更新することには大きな意味があります。

余談ですが、私がSmartMeetingで採用をしていた時代、Wantedlyだけで各募集に週10〜20件ほどオーガニックで応募がありましたが、WantedlyのCSの方いわくこれはすごく良い数値だそうです。地道にコツコツやっていくことが大事でしたね。

5. スカウトはこちらから送れ!とにかく送れ!

今の世はまさに大人材不足時代、とにかく働き手が足りません!どこの会社もあの手この手で採用活動をしているので、ただ受け身で応募があるのを待っているだけでは絶対に採用計画など達成できません。

特にWantedlyやYOUTRUSTなどはこちらからスカウトを送ることで価値を最大化できるサービスなので、お金もケチらずにしっかり課金してスカウトを送るようにしていました。最初は少ないスカウト数でもいいのでやってみつつ、返信率を見て内容や送り先を変えるとうまくいくようになりました

また、これはよくやりがちなミステイクなのですが、スカウト文章の完全コピペは絶対NGでした候補者の方から「コピペっぽい文章ですね(笑)」とご指摘いただいてしまったこともあり、逆にネガティブな印象を与えてしまいました。今は候補者はスカウトなど腐るほどもらっているので、コピペ文章だと分かった瞬間にスルーされます。

面倒かもしれませんが、相手の経歴や実績を見て「こういう所が良いと思ったのでまずは面談からぜひ!」という内容にしてください。よくスカウト文章はラブレターだと言いますが本当にそうで、相手が喜ぶ内容にできるかできないかで採用成功率も大きく変わるでしょう。私も人事のプロの友人によくスカウト文章はフィードバックをもらっていました。

6. SNSでスカウト声かけする(通称ネットナンパ

こちらはスタートアップならではの荒業ですが効果がありました。Twitterで積極的に情報発信をしている人は情報感度が高く、新しいスキルにも敏感な人が多く採用チャネルとしては優秀でした。特にエンジニア採用においては何の言語をやっているのか、どういったことをやっていたのかがツイートやプロフィールで分かるのでミスマッチも防ぎやすくなります。

ただ、突然DMすると不審がられることも多いので絨毯爆撃はおすすめしません。ですがTwitterを見て「この人と働いてみたい!」と思ったら感想をDMをしてみると意外と嫌がられずすんなり受け入れてもらえるものです。実際今でも私のTwitterにはスタートアップの方から多くDMが来ますが、スタートアップたるものそれくらいのガッツがなければいけません。大企業がやらないやり方にこそ勝機があるものです。

7. 社員にこだわらず副業でいいからプロフェッショナルを入れる

採用=正社員、という発想の人は多いと思いますが、プロフェッショナルな人ほどすぐに採用はできないものです。今いる会社が手放さないですし、責任範囲が広ければ引き継ぎや後任探しなどもあるので気軽には転職できないものです。

どうしても人が採用できない場合は、副業でもいいのでプロフェッショナルに入ってもらう方向にシフトしていました。SmartMeeting時代は10名以上の副業の方がいましたが、みんなプロフェッショナル意識が高くスキルもあり、下手なフルコミットの人よりもパフォーマンス出してるんじゃないか?と思うこともよくありました。

特にインフラエンジニア・SREなど知見がものを言うジャンルにおいては工数よりも知見が大事だったりするので、副業でも十分な価値を発揮してくれました。

スタートアップは戦場なので銃の撃ち方を教える暇はないのです。アマチュアで正社員より、プロフェッショナルで副業のほうがスタートアップにとっては現実的な生存戦略だと思います。

8. リファラル採用でご飯をおごる

スタートアップの初期採用はリファラル採用が最強でした。初期メンバーに「まわりに良い人いない?」と聞いてみると、だいたい数名はこの人はいい!という人がいるものです。そういう場合は、遠慮なく紹介してもらいご飯をごちそうしましょう。

採用できるか分からないのにご飯をおごるの?と思うかもしれませんが、飲みじゃなくてもランチでもお茶でも大丈夫ですし、そうしたらどんなに高くても数千円〜1万円ほどでおさめられます。朝モーニングで高級ホテルで朝食、なんてのもコスパが良いですね。必ずしも飲み会じゃなくても、とにかく会う回数を増やすことが採用ではとても大事です。

友人経由とはいえただ採用目的で話したい!だと相手も躊躇しがちですが、ご飯をおごるから話したい、と言われたら相手も悪い気はしないものです。採用コストとしては格安なうえに候補者とたくさん会いやすくなるので、ここはケチらずに投資だと思って色々な人を紹介してもらいご飯をごちそうしましょう。コロナ渦だとやりにくいこともありますが、ランチくらいならOKしてくれる人も多いです。


9. 初期から人材エージェントさん頼る

人材エージェントさんはスタートアップにとって高い!と思うものの代表格です。年収にもよりますが、転職したときに100万円単位でお金がかかるので頼ることを躊躇することもあるでしょう。実際私もそうでしたので気持ちはよく分かります。

しかし、世の中敵な動きを見れば、今は労働人口が減っていき、逆にお金は余っている時代です。お金より人のほうが希少価値が高く、あえて言ってしまえば、A級人材を集めるより、お金を集めるほうがやりやすい時代です。採用チャンスはお金ではなかなか買えないのもなので、お金でなんとかなるのであれば良い、という考え方もできます。もちろんスタートアップはランウェイがあるので乱発はできませんが、根拠なく頼らない、というのは機会損失になりえます。

また、人材エージェントさんであっても、採用したいと思ってすぐに候補者を紹介してくれるとは限りません。転職トレンドというのは景気に大きく連動しているので、採用チャンスは突然やってきたり去ったりします。いざ!という時に採用を成功させるためにも、エージェントさんとは仲良くしておきましょう。特に起業1周目の場合は、どうやってエージェントさんとお付き合いしていくべきか分かる良い練習にもなるでしょう。

私の場合はfor Startupsさんに特にお世話になっておりました。スタートアップ向けのエージェントさんも今は色々とあるので、自社にあうエージェントさんと仲良くすると良いでしょう。

10. 採用PRに注力する

スタートアップだからこそ採用PRをしっかり頑張ることはとても大事な差別化になりました。なぜなら、だいたいのスタートアップは途中で採用PRをやめてしまうからです。採用PRはすぐに効果がでず、他のことを優先してしまう企業がほとんどだからです。

私の場合はTwitterやFacebookはもちろん、noteで会議改善のノウハウを発信、定期的にプレスリリース配信、メディア掲載のチャンスは逃さないようにしていました。

これは先輩経営者に言われてなるほどと思ったのですが、スタートアップが情報発信をやめてしまうと、まるで倒産した、もしくは事業がうまくいっていないような印象を与えてしまい採用にとって大きくマイナスになります。大企業ならいざしらず、いつ潰れてもおかしくないスタートアップが情報発信をしないというのは生存確認にもなっているのです。

会社に進展があったとき
・新しい採用ポジションをオープンしたとき
・章表されたり入賞したとき

こういうことは遠慮せず積極的に発信しましょう。1回だけではなく一長一短ですればいいってものではないので、定期的に発信し続けるマインドが大事です。

実際、私も面接をしていて話すと、会社のことは意外と理解されていないのだと実感しました。

・どう働いているか
・どういう人がいるか
・社長の仕事内容はなにか
・いまの課題はなにか

こういう赤裸々な内容を詳らかにしっかり嘘つかず発信することが大事です。相手は意外と自分のことを理解してくれていない、そういう前提で候補者の方に魅力をPRしていくことが中長期で採用につながっていきました。

ちょっと難しいけど効果的なテクニック

意図的にバズらせてスタートアップ界隈で注目される

SmartMeeting時代は、会議改善のノウハウを定期的にnoteで発信して、クライアント企業内で流行るようにしていました。その業界で自分だけが知っている、または深い知見があるものは積極的に発信し価値貢献することで「あのサービスは良いらしい」という印象を持ってもらえます。

これは狙ってできる再現性があまり高くないですし最初から上手くはやれないと思いますが、特に創業者がPRをする練習としてうってつけです。


昔にSmartHRの宮田さんと会話していたとき

「もう1回起業するなら、人事担当者って何人目の社員で入れますか?」

と聞いてみたとき「2〜3人目ではほしいですね」と言っていたのをよく覚えています。他の先輩経営者に聞いてみても、みな最初のほうに人事担当者はほしいと言っており、それくらい採用が事業ブーストに致命的な影響を与えると理解されていらっしゃるのだと思います。

私もこれは同意見で、スタートアップはついプロダクトのPMFのことばかり考えてしまいますが、その後の成長戦略として採用は避けて通れないと認識しておくことは生存確率を大きく上げると思います。大変だと思いますが、ぜひ頑張ってください!

あとMeetyページ作ってみたので、事業開発でお悩みの方、カジュアルにお話しましょう〜。

https://meety.net/matches/zbTtbVvutyFO


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