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実例:「招かれざる客」の回避法

コミュニティの育成・活性化を支援している立場から、改めて過去の経験・知見を整理して今後に活かしたいと考えました。コミュニティのご相談を受ける際に、議論の「土台」になれば幸いです。

今回はコミュニティイベントにおける「招かれざる客」を事前にどうやって回避するか考えてみます。イベントを運営・主宰する立場の方の助けになれば幸いです。


「コミュニティイベント」の前提条件

まず最初に、文中で扱う「コミュニティイベント」を最初に定義しておきます。

【コミュニティ運営の勉強会】
主催:コミュニティ運営者の有志
目的:コミュニティ運営の知見共有
参加者:企業のコミュニティ担当者、コミュニティマネージャー等
実施形態:対面(会場での実施)

次に、「招かれざる客」を定義しておきます。

【招かれざる客】
・内容を理解せず参加登録した人
・参加者への営業行為が目的の人
・懇親会での飲食だけが目的の人

前者の「営業目的勢」は、他の参加者に対して執拗に名刺交換を迫ったり悪質な時は「商談」に近い会話をしていることもあります。

後者の懇親会「飲食のみ目的勢」問題は、本人に問い正したところで「イベント内容に興味があります」と言われてしまえばそれ以上は追求できないのが難しいところです。

しかし行動を見ていると明らかに飲食だけが目的だと判別できることも多いです。他者の「心」は可視化できないのでどの運営者も頭を悩ませています。

回避法1:参加者ターゲットを明確化する

1-1 イベントサイト表記

イベント告知・集客サイトの文章中に参加者ターゲットを明確に表現することで、参加者が「これは自分のことだな」「これは違うな」という判断が可能になります。

(例)
【対象者】こんな人に最適です
・これからコミュニティ運営を考えている人
・運営の悩みがあるコミュニティマネージャー
・コミュニティ運営を検討している企業担当者


1-2 告知文章

企業・個人のSNSアカウントや広告等を用いたイベント告知の際に、参加者ターゲットを明文化することも判断の助けになります。

(例)
コミュニティ運営のお悩みありませんか?
<◯月◯日コミュニティ運営者の勉強会>
これから運営を考えている人も大歓迎!
みんなで「お悩み共有」しましょう!

回避法2:禁止行為を明記する

本来、相互扶助と性善説が前提のコミュニティ活動ですが「参加費無料」「誰でも登録可」イベントの場合はある一定数は「招かれざる客」が生じてしまいます。そんなときは、イベントサイトの文章中に禁止行為を明文化することである程度の効果があります。

(例)
テーマ・内容に関係せず、営業行為や飲食のみを目的とした方の参加はお断りいたします。発見した場合は、今後の参加をお断りさせて頂く場合があります。

ここで「ある程度」と表現したのは、前述のとおり「心」は可視化できないためです。嘘をつかれてしまえばそれまで、ということになり限界があります。そこで、更に効果の高い手法を講じる必要性があります。

回避法3:参加費を有料にする

「招かれざる客」が登録時の心理的ハードルを感じる要素一つに、イベント参加費の有償化があります。ベンダー・メーカー等がPR効果等を狙って協賛するコミュニティイベントでは無料が前提となりますが、草の根(有志)的なコミュニティでは有償になると登録者側の「一定の精神的コミット」が必要なため抑止効果が高いと認められています。また、コミットの高い参加者で構成されるイベントのため「当日キャンセル」「No Show」も減らす効果があります。

回避法4:交流の重視を明記する

参加費を有料にしても、稀に「招かれざる客」が現れることがあります。そこで「交流の重視」を明記することで、心理的ハードルを上げる効果があります。イベントサイトで主催者側が「交流を重視する」と記載すれば、それは自ずと「目が行き届いている」ことにつながります。地下鉄の落書きを消したら治安が改善したという「割れ窓理論」の応用です。

(例)
当イベントでは参加者同士の交流にも重点を置くため、会費制(1,000円)の簡易懇親会が含まれています。運営者・登壇者との交流もお楽しみください!

回避法5:行動規範や運営規則を設ける

各イベントページ上や、そのコミュニティの継続的なイベントの場合は「行動規範」「運営規則」を記載する(又はそのページに遷移させる)などして禁止行為を明記する方法があります。つまり、そのイベントやコミュニティにおける「法」を明文化する手法です。そして必ず、それに違反した場合「以後は参加をお断りする」旨を表記すると効果があがります。しかしこの手法も万能ではないため、次に説明する手法で「契約」を成立させることも必要です。

回避法6:申込時に「同意」してもらう

イベント告知・集客サイトの機能や仕様にもよりますが、回答必須な項目の最後に「同意」として前述の行動規範・運営規則・または個別イベントでのマナーを守ることを承諾してもらう「契約」を行う手法です。

(例)
☑行動規範を読み、理解し、遵守します

これも「招かれざる客」の心理的ハードルを上げる効果があります。事前に「同意」契約を交わしての参加は抑止力が高いといえます。

まとめ

主催・運営者としてではなく、いち参加者としての立場で様々なイベント・Meetupで印象的だった経験は「大企業」主催(協賛)の「大規模」なイベントに「招かれざる客」が登場することが多いことです。しきりに名刺交換と引き止め(会話を切れさせない)をする、誰とも交流せず飲食が終わるとすぐに退場するなどの行為を行う人の出現率が多いと感じています。そのようなイベントはほとんどの場合が「資金力」と「知名度」があるため、参加費無料で高品質な飲食が提供されることが多くなります。更に懇親会の参加人数も多いことが事前に予想できるので、彼らにとっても格好の場となってしまうのです。

繰り返しになりますが、コミュニティの本質は「相互の助け合い」と「性善説」です。法律はありませんが、そうありたいと多くの人が願っており善良な人だけで構成されているべきという理想があります。しかし「悪事」は起きてしまうという現実があるため、対策を講じることは必須となりました。この他にも、効果的だった実例やアイデアなどあればコメント欄やDM(X)などお持ちしています。

#コミュニティデザイナー
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