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レタス

 僕はレタスが好きだ。

 僕はまるまる一つのレタスを手に取った。瑞々しい朝採れレタス。表面の何枚か葉を剥き、芯を上にしてシンクの上に置いた。シンクの上に置いたレタスをしっかりと両手つかみ、芯に親指を当てがい、ぎゅっと押し込んだ。押し込まれた芯はまわりの葉からはずれるようになる。僕はその外れた芯を捻りながら完全に外し、レタス本体をボウルに入れた。

 ボウルに入れられたレタス本体は、さあ、いつでも来い、早く脱がせてみろと言わんばかりにボウルの中で鎮座している。僕は再度そのレタスを手に掴み、葉を一枚一枚剥がすのではなく、そのまま一口大の大きさにむしり、千切っていった。一枚一枚脱がされ、剥がされると思っていたレタスは意表をつかれたかもしれない。

 レタスはわりと小さめに千切る。その方がドレッシングとの絡みが良いのだ。レタスを味わうというよりも、ドレッシングを味わっているのかもしれない。

 僕はキッチンに立ちながら、これから食すであろうドレッシングをかけられたレタスのことを考えると、口の中に唾液が溢れてきた。お腹が空いてというよりも、ドレッシングの酸味を想像したからなのだが。

 僕は一口大の大きさに千切られたレタスが入ったボウルに、水を注ぐ。水道からは勢いよく冷たい水が注がれる。レタスと水がなみなみと入ったボウルを、気持ち少しかき混ぜ汚れや土や虫を落とす。その作業を2回繰り返し、次は水を切る作業だ。水を切る作業はボウルの水を捨て、レタスが入った網のボウルを両手で持ち、レタスが飛び出ないように上下に振るのだ。ファインディングニモのニモのように飛び出してしまうレタスもいるだろう。その飛び出したレタスはどう処理するかだが、そっとそのままにしておくか、食べてしまうか、ボウルに戻すか、捨てるかは落ちた場所で決めている。だが、なんだかんだ言って、床に落ちたレタスは捨てて、それ以外は元のボウルに戻すだろう。

僕は水が切れたレタスを凝視した。囲碁の目算をするようにざっくりと量を見定め、僕はシンク下からサラダボウルを3つ取り出した。

ボウルからレタスを取り分け、サラダボウル2つはラップをした。残り一つはすぐに食べる用だ。

僕はレタスを食べた。


(916字)


※ただ描写したいだけのレタス話です。もう少し文学的描写をしたいところです。



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