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助手席の異世界転生【毎週ショートショートnote】

「うわ、すごい霧だ」

山道を僕はひとりで運転していた。

じんわりと汗をかいた手でフォグランプを点灯し、霧の中をゆっくり進んだ。

しばらくすると霧の奥から光が見えた。僕は対向車が来たのかと思い、スピードを落としながら、光を注視していた。

すると、その光はきらきらと虹色に輝きだした。

まるで虹色の綿あめのようなそれは、助手席に飛び込んできた。

そして、なぜかほんのりと甘い香りも漂ってきた。

「うわっ」

気がつくと助手席に女の子が座っている。

「君は……」

「私は助手席よ。異世界転生してきたのよ」

「『助手席の異世界転生』で女の子になる前は、この車の助手席だったっていうことなのかい?」

「そうよ」と言って女の子は笑顔を見せた。

その笑顔を最後に僕は気を失った。

目覚めると、僕は病院のベッドにいた。

「ここは……」

「ここは病院よ。あなたは霧の中、崖の下に落ちたのよ。助手席は大破する大事故だったわよ」

夢なのか現実なのか、僕はわからなくなっていた。


(410字)


たらはかに(田原にか)さんの企画に参加させていただきました。

※無理矢理感満載の不思議な話にしてみました。今日と明日、二日連チャンで忘年会です。


*この記事は、以下の企画に参加しております。


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