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【ミカタをつくる広報の力学】 #26 雑誌タイアップというテクニック

前回はパブリシティ全体の話を書きましたが、今回は雑誌タイアップについて書きたいと思います。

パブリシティと似てるようで異なる、タイアップの戦略的な手法も紹介していきます。以前書いた「#22 雑誌露出は企画で狙う」も併せてご覧ください。


※初めての方は、「#00 イントロダクション」をお読みいただくと、コンセプトがわかりやすいかと思います。


雑誌タイアップのメリット

以前も書きましたが、雑誌は「クラスメディア」です。
年齢やジャンルによって細かく読者層が分類されており、ターゲットごとに編集の方向性が設定されています。

このことは、露出を狙う段階ではメディアインサイトを細かく分析して企画を立てる必要がありますが、露出を獲得できた際には高い読了率が期待できる、ということを示しています。

タイアップの場合は広告費を必要としないケースもたくさん存在します。

その分、物品提供をしたり、労働力で協力したり、ライセンスを無償で提供したり、コストの代わりに様々な代償を支払うことにはなりますが、予算が無くても実施可能なところが魅力です。

コストをかけずに露出するとはいっても、フリーパブとは少し違います。
編集部に提供できるモノやコトがある分、タイアップの方が有利に交渉できるからです。


雑誌タイアップいろいろ

・タイアップ記事
編集部と協力して一緒に記事をつくることです。
フリーパブと同様に広告費を支払いませんが、協力し合うので発言権はゼロではありません。新しくオープンする施設の紹介などはタイアップで行われることも多いです。

・記事広告
広告枠を購入して、制作費を支払って掲載してもらう広告のことで、記事のように見えますが「広告」や「PR」と記載されるケースが多いです。
要するに、編集部側で作成する広告です。

・別冊付録
これも費用を支払って制作してもらう広告ですが、付録の冊子を一冊まるごと使ったもので、「ブックインブック」とも呼ばれています。
別冊部分だけを別途増刷して、広告主自身でプロモーションに使用する場合もあります。

・タイアップ景品付録
こちらは同じ付録でも冊子状の付録とは異なり、モノとしての付録になります。
子ども向けの雑誌に文房具などが付録として付いている場合がありますが、大体のケースがタイアップです。
しかも企画が良ければ逆に付録を買い取ってもらえますが、千円以下の雑誌の付録は景表法で200円までと決められているので、低価格で納品する部分を広告コストと考えると良いでしょう。

・プレゼントパブリシティ
略して「プレパブ」とも呼ばれますが、これもモノを使ったタイアップで、
読者プレゼントのコーナーに掲載してもらう物品協賛ことです。
編集部としては読者サービスを充実させたいので、モノの提供は大歓迎。
商品の解説として数行のコメント欄がもらえます。

・プロダクトプレイスメント
ファッション誌でもないのに、ページ欄外にアパレルのクレジットが記載されている場合があります。
また、部屋の中の風景写真にインテリアのクレジットが付いている場合も。
これらは「プロダクトプレイスメント」と呼ばれる手法で、物品協力による露出になります。
テレビや映画などでも「協力」としてエンドロールにクレジットが入っているのがこれに当たります。


タイアップには読者インサイトを

タイアップの場合は編集部と協力してバリューを創出する意味合いが強いので、読者にとっても作品として残ることが多いです。
特に付録などの物品提供では、雑誌は捨てられても付録の方は使い続けてもらえることもしばしば。
そうした意味では、受動的なパブリシティよりも能動的に攻めていけるPR手法なのかもしれません。

なのでタイアップを考えるときには、メディアインサイトよりも読者インサイトを重視した方が良いと思います。
「どうすれば読者が喜んでくれるのか」を考えることで、より編集者と近い視点を持つことができるので、共に誌面をつくるパートナーとして強い結びつきが生まれることでしょう。

もちろん読者は「情報を届けたいターゲット」なので、そのブランドのターゲットと同じです。常々向き合っているユーザーの意識を反映させていくことが最も大切なプロセスだと言えます。


おわりに

これから益々ニューノーマルの時代。雑誌が欲しい情報や製品を持っている企業も多いことでしょう。
そんなときにはリリースやキャラバンによるメディアプロモート戦略だけでなく、タイアップを持ちかけてみるのも良いのではないでしょうか。


最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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ではまた次回お会いしましょう。



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