共存

自分は緊張しやすいほうなのだという自覚がある。
例えばライブのステージに上がる直前はもちろん緊張しているし、前日の準備の時からそわそわしている。レコーディングも緊張する。初めましての打ち合わせの前も落ち着かない。人前で話すのも極力避けたいと思っている。

他人と比べることができないのでこれが「一般的なレベル」なのかはわからない。でも「緊張しないほう」ではないことは間違いない。

とくに演奏に関しては、ひとり部屋でリラックスして弾いていることをステージ上で再現することは本当に難しい。何度も練習して当たり前のように弾けるようになったフレーズですら、本番のステージでさらりと再現することは大変なこと。

またやっかいなのが、経験を積むことで慣れるかというと必ずしもそうではないということだ。
たしかに慣れる部分はある。「前にもこうだったけれど大丈夫だった、うまくいった」というような成功体験を思い出して心を落ち着かせることもできる。
でも同時にたくさん経験を積めば失敗体験も増えるので「前もここで間違えた」「この同じような流れで失敗した」という嫌な思い出がよぎって足を引っ張ることもある。

「心を鍛える」という方法もあるのかもしれないが、僕個人としては心はそんなに目に見えて変化しないのでは、と思う。少なくとも、腕立て伏せで腕の筋肉が太くなるようなわかりやすい変化ではないような気がする。
呼吸などで心を落ち着ける、整理する、というほうがすっと受け入れられる感じがあるかなぁと。

結局、長年ミュージシャンをやってきても解決策はない。
というか「緊張しない」ということが解決ではない、ということなのかもしれない。緊張状態でしか生まれない演奏のすごみを味方につけ、緊張しながらも誰かとコミュニケーションをとって打ち解けていくことに喜びを見出す。

緊張という生理現象をただ受け入れて楽しむしかないのかな、と最近は思うようになった。

この投稿ボタンを押す指にも、うっすらと微量の緊張が流れる。

目指せ書籍化📓✨ いつかライブ会場のグッズ売り場にエッセイ集を平積みにしたいと思います。