A Côte d'Azur Album　

　この本は90年代の終わりくらいにソフィア・コッポラが教えてくれた。
まだ彼女が最初の映画を撮る前で、milk fedというブランドのデザイナーと日本に来ていた頃のことだ。当時僕が所属していたマネージメント事務所の社長にソフィアが会いにきていたタイミングで僕もそこに偶然いたのだった。僕はまだアメリカと日本を行き来していた頃で、東京にいる間はその事務所で寝泊りさせてもらっていた。まあ、とにかく居候としてその場に居合わせたのだった。ソフィアはその「A Côte d'Azur Album」という本を「最近見つけた中でもとてもいい本よ」と言って大事そうに見せてくれたが、当時の僕はその本に対して、そんなにピンときてなかった。彼女はその頃写真を撮ることに興味があって、こういう写真を撮りたいと言っていたが、僕はぼんやり、本人がレジェンド監督の娘だからセレブの自然なスナップショットは撮りやすいだろうなぁとか、実際コートダジュールに行ったことがあるんだろうなぁとか、下世話なことを考えてしまっていた。