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Game DemandsとWorst Case Scenario ②

◆はじめに
前回の記事では、Game DemandsとWorst Case Scenario : WCS について概略を説明しました。


今回は、これらのシナリオを実際の試合で特定し、分析する方法について掘り下げます。

【参考動画】
ENGLAND v SOUTH AFRICA RWC2019 Final


◆WCSの特定


WCSとは、試合中に選手が直面する最も困難な局面を指します。

・2分以上継続したプレー

・自チームのATとDFそれぞれのプレーを選出

・特定のポジションに負荷が偏らないプレー


に加えて、得失点のあったシーンの直前も得点が入る大きな要因になっている場合があります。

WCSを見つけるにあたって、GPSデータのない試合を分析する場合(対戦相手の脅威が最も感じられるシーンの特定など)は早送りで1試合をざっと眺めて、プレーが切れずに攻守交代を伴うプレーをリストアップします。

また、先述のように得失点のあったシーンの直前は、お互いに疲弊する状況になっている可能性があります。


コンタクトが強い相手との対戦への準備をする場合、特定したWCSのスタッツをつけて

・プレー内で何回コンタクトがあったか?

を分析する方法なら、ビデオさえあればどんな環境でも出来ます。


◆WCSが好発する状況

WCSは下記のように、試合の流れを左右する状況で発生しやすい印象があります。

・序盤の圧力:試合開始直後にキックの応酬見られるエリアの取り合い
・継続的なAT:連続してATを仕掛けるシーン
・DFの連続と攻守交代:自陣22m内での連続したDFとターンオーバー後の速攻
・クライマックス:試合の残り時間が少ない中での攻防

参考動画から私自身が選定した5つのWCSが以下の通りです。



WCS ① 1st 3:10-



WCS ② 1st 29:01-



WCS ③ 1st 34:52-


WCS ④ 2nd 40:54-


WCS ⑤ 2nd 64:30-





自チームの試合であれば、上記のシーンにおけるGPSデータを抽出して分析します。



◆WCSの分析

WCSは数分程度のシーンなので、分析する上で注力したいのは"強度"です。
GPSの項目において特に把握しておきたいのは

・m/min
・ACC/min
・HMPD
・Max Velocity
・Max ACC

あたりになります。

AT、DFそれぞれのシーンを複数選んで、平均値を出すことで練習と試合(WCS)の強度を比較することが出来ます。


◆まとめ

WCSを特定し、それに基づいてトレーニングを行うことで、選手たちは試合中の困難な状況に対処する能力を高めることができます。
これにより、得失点に関わる局面で高いパフォーマンスを発揮するための準備が可能になってきます。

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