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SpaceX、衛星インターネット サービスのベータテスト開始 - StarLink

 日本では海にでも潜っていなければ携帯電話が圏外という状況はないと思いますが、米国をはじめ世界中では今も携帯電話の範囲外の地域が多く存在します。地球規模で通信サービスを提供することを Amazon、SpaceX、OneWeb などが目指しており、すでに 1,000基を超える小型通信衛星が地球の上空 550kmの軌道上に打ち上げられています。現在順調に小型通信衛星の打ち上げを進めている SpaceX が昨年の10月下旬からパブリック ベータテスト「Better Than Nothing Beta」を開始しました。まだ衛星の数が少ないため米国北西部とカナダ西部に限定されているようです。ベータテスト参加者は月額 $99の通信料に加えて衛星との通信を行う端末を含むスターターキットを $499で購入します。まだ小型通信衛星の数が少ないため通信は安定していないようですが、天候次第ではダウンリンク速度は 175Mbpsにも達し大雪などの悪天候でも 10~100Mbpsのダウンリンクが得られたそうです。アップリンクは概ね 15~ 20Mbps、遅延も十数ミリ秒とのこと。主な参加者は都市部から離れた遠隔地に住む、今まで困難な通信環境の人たちのようで、ベータテストの参加者はテストに関する情報を公開してはいけない機密保持契約を結んでいるずなのですが、参加者が次々と SNSにコメントを書き込むほど嬉しいようです。
 SpaceX の Starlink は最終的に 4万基もの小型通信衛星を低地球周回軌道上(LEO: Low Earth Orbit) に配置する計画で、2019年5月に最初の衛星が打ち上げられてから既に 16回の打ち上げで 1,000基弱が軌道上に送られています。これでもまだ最終計画の数%にしか達していません。SpaceX は今後も小型通信衛星の打ち上げを継続する計画で、米国南部のテキサスなど 2021年早々にベータテストが拡大される計画です。
 Amazon の衛星ブロードバンド プロジェクト「Project Kuiper (カイパー)」は複数の衛星打ち上げパートナーと交渉を進めている模様で、若干出遅れているようです。Project Kuiper は最終的に 3千基強の衛星を打ち上げる計画で、26.5~40GHz帯(Ka band) の電波を使い 4K映像も視聴できる 400Mbps前後のダウンリンク サービスも予定しています。Amazon は最終的な利用者価格にこだわっているようで、Alexa には及ばずとも手頃な価格で衛星通信サービスが提供されるのではないかと期待しています。 一方ロンドンに本拠地を構える OneWeb は昨年資金難からイギリス政府からの支援などを受けて事業を継続しており通信衛星の打ち上げをなんとか継続しいるようですので、こちらも今後の展開に注目です。しかし esa(European Space Agency、欧州宇宙機関) もブロードバンド通信衛星の打ち上げ計画に着手しており、OneWebの事業環境は今後も苦しそうですが、インターネットのスピリットを感じる OneWebにはがんばって欲しいです。
 ちなみに国際宇宙ステーション(ISS) は同じ低地球周回軌道でも地上およそ 400Km上空を周回しており、小型通信衛星は ISSのさらに 100km以上上空を周回していますので、小型通信衛星が故障して落下してこない限り心配する必要はなさそうですが、数万もの小型通信衛星が周回していればいくつかは故障するでしょうから監視と事前対策が重要ですね。

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