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「天元突破グレンラガン」を観たので、ギガドリルブレイクについて語りたい

 アニメスタジオの中で一番、TRIGGERが好きだ。

 
一番好きなアニメは『キルラキル』だし、一番泣いたアニメは『サイバーパンク・エッジランナーズ』だし、一番好きなアニメ映画は『スパイダーマン:スパイダーバース』…じゃなくて『グリッドマンユニバース』だと言っても良い。(もちろん『プロメア』も好き)(あと『リトルウィッチアカデミア』も好き)

 そんなTRIGGERの制作陣が、TRIGGERを設立する前に作ったアニメがあるらしい…ということはなんとなく知っていた。

 観たいけど…アマプラかネトフリで無料で観れるようにならないかな…と浅ましい考えを抱いて先延ばしにしてきたが、

 人生いつでっかい隕石が落ちてきて終わるかわからないということに気づいたので、今回観る覚悟を決めた。

 笑いあり涙あり、そしてもちろん熱さありの全27話を通して、僕がどのような感情を抱いたかは、きっとこの記事を呼んでいる人にとって周知の事実だろう。

 だから今回は、僕が特に感銘を受けた、グレンラガンの必殺技である「ギガドリルブレイク」について語りたいと思う。

※以下ネタバレあり




 物語の序盤、主人公シモンとその兄貴分カミナが乗るグレンとラガンは合体し、グレンラガンとなる。勢いそのままに並み居る獣人たちを蹴散らしていくのだが、ここで視聴中の僕の心には、わずかな物足りなさがあった。

 「グリッドビーム」や「繊維喪失」のような、必殺技というか、「キメ」というか、それが足りないように感じたのだ。一応、グレンがラガンをぶん投げる「ラガンインパクト」なる技はあるけど、なんか地味だし…と思っていた。

 その物足りなさが払拭されたのは第8話。明らかな致命傷を負いながら、それでも立ち上がったカミナがシモンとともに放つ、待ちに待った必殺技、ギガドリルブレイク。

 待ち望んでいた必殺技のアツさと、大事なものを失った喪失感で情緒をめちゃくちゃにされたのはさておき、ドリルがでっかくなる、ただそれだけなのにとんでもなく格好いいグレンラガンの姿に、僕はこの時完全にハマった。

 そして第11話。3話をかけて丁寧に描かれたシモンの復活、そのクライマックスに、再び現れるギガドリルブレイク。(ヨーコの「あの技は!」、完全に同じことを思っててブチ上がっちゃったな)

 俺はアニキはなれない。そんな当たり前の事実を受け入れ、シモンは穴掘りシモンのまま、大切なものを守るために戦う覚悟を決める。しかし確かに、その姿にはカミナの姿が重なって見える。

 アニキと二人で撃った必殺技を、シモン一人の力で撃つ。シモンの成長と継承を示す方法として、これほど美しい流れがあるだろうか。

 さあ満を持して、ここからギガドリルブレイク無双が始まる…と思いきや、意外にもその発動回数は少ない。四天王戦、螺旋王戦、月との戦いまで含めても、文字通りの「必殺技」として使われることはほぼないのだ。

 これはおそらく、「天元突破グレンラガン」という作品における必殺技、あるいはテーマが、ギガドリルブレイクではなくシモンのドリルであることが原因なのだろう。敵を倒すのは、本質的にはグレンラガンではなくシモンのドリルなのだ。だから毎回ギガドリルブレイクで敵を倒す必要はないし、ロージェノムにとどめを刺すのもコアドリルの一撃なのだ、と僕は解釈した。

 それはそれとして、でもやっぱり、必殺技が見たい。でっかいドリルで、叫んでほしい。そんな我儘な思いに応えるように、迎えた第25話。アンチスパイラルとの戦いの中、仲間たちは次々に斃れ、キタンの命懸けの特攻も無に帰したのか、と思われたその瞬間、飛び出したキングキタンの手に握られていたのはあのドリル

ギガドリルブレイク

 これはさあ、ずるい。ずるいよ、こんなの。だって感動するしかないじゃん、こんなのさあ。

 あくまで脇役の一人として、ずっと前線で戦いながらも明確な活躍は少なかったキタン。そんな彼もまた、カミナに、シモンに憧れを見て、その背を追い続けてきた存在だった。だからこそ最後のあの瞬間、ギガドリルブレイクを撃ったその瞬間に、彼もまた二人の英雄に追いついたのだ。それが、必殺技という格好よさの塊を通して、視聴者たちの心にも伝わる。

 そして始まる、最後の戦い。仲間たちの想いを乗せ、天元突破グレンラガンと化した(タイトル回収のアツさに関しては言わずもがなだ)グレンラガンとアンチスパイラルとの激闘、その最終局面。

 捕獲された天元突破グレンラガンから飛び出す超銀河グレンラガン。さらにそこから飛び出すアークグレンラガン。さらにさらにそこから飛び出すグレンラガン。冷静に考えるとマトリョーシカみたいでシュールなのに、アツすぎて全く疑問を抱かない最高の展開。

 今までの進化を逆転するように、少しづつ自らの体を削りながら、グレンラガンはアンチスパイラルの元へと接近する。あと一歩、ここでギガドリルブレイクを…!と思ったのも束の間、グレンラガンすらも敵の攻撃に捕まってしまう。これでは必殺技が使えない、万事休すか…と思った瞬間、グレンがラガンをぶん投げる。

僕「あの技は!」

一応、グレンがラガンをぶん投げる「ラガンインパクト」なる技はあるけど、なんか地味だし…と思っていた。

 ラガンインパクト

 ここでそれを、最後の一撃に持ってくる、その凄さ。エモい、だとか、アツい、のような、むしろそういう具体性を欠いた言葉でないと表現できないような、そんな本能的な感情を呼び醒まされる感覚。

 僕がTRIGGER作品を大好きな理由であるその感情の高ぶりは、「天元突破グレンラガン」にもしっかりと息づいていた。(当たり前の話ではあるのだけれど)

結論:ギガドリルブレイクも良いけど、ラガンインパクトも良い。お前が信じるドリルを信じろ。

 劇場版の再上映があるようで、映画館で観れたら良いなあ…。

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