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建築壁面「削りレンガタイル」記録5、(最終編)

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2015年にプラン立案中の設計事務所よりお問い合わせいただき、2018年完成までフォローさせていただきました。
日頃、工場に出入りしている関係で、「レンガを削る」という案件に以前から経過を考察し、興味をもっておりましたので、このお話を頂戴いたしました時には、驚きでした。

私自身、「レンガタイル」という建築素材を販売するというより、自分自身鳥肌の立つような焼き物の壁面をつくりあげたいという創作意欲が、仕事の前提となっています。

単なる工業製品の一分野のパーツ程度の扱いを受ける依頼には、心に火が灯りません。

今回、責任施工であるからこそ可能となったのですが、製作工程の微妙な関係性からくる意匠への影響を把握し、自ら微妙にコントロールできた結果であると強く認識しています。

自ら、試行錯誤で施工上の微妙な発見もあり、実験を何度も経ながら十分な研究期間もあったことは幸いでした。

2階内部壁は、ほぼ全面自ら削り、あの瞬間の壁面を仕上げるエネルギーは、どこから湧いてくるものか疲れ知らずで完了したことを覚えています。めったに無いチャンスに、自分が鳥肌感覚を得たいという意欲に、アドレナリンが湧いてきたのでしょう。(笑)

記録の1~5は、画像をもとに、概略めいたものですが、実際にはたくさんの問題とストレス、作業員の管理、現場では、自分のようにこの創作にロマンをもった関係者ばかりではない中での施工は、生涯心に残るプロジェクトであったと思います。

「削りレンガタイル」の施工に、大いに研究と参考とさせていただいた、文文京区の「森鴎外記念館」は、焼き方と製法、素材の若干違いこそ有りましたが、大変参考にさせていただきました。
何度も足を運び、比較検討しながら次の過程へ参考とし、研究させていただきました。
同じ様に、足場の上で壁面レンガを削った作業員の皆様にも当社の作業員同様、敬意を表したいと思います。ほんとうに、大変な作業であったと実感していますので、、、。

参考に撮影したときの写真もいっしょに添付致します。
この場所を施工せずとも、現状様々な解説ができるほど詳細に「削りタイル」理解しましたから。

※「モダンリビング 豪邸、拝見!2019 P158~169にて掲載

75x375x20mm    光の角度によって凹凸が浮き上がる
目地共平滑に削り込もうとすると大判タイルだからこそ削り厚差が生じやすい
削りこその新たな素材感
一定の光の角度が出来て、この凹凸が現れる
目地無しの表情に見える
光沢にも見えるが実は違う
ダイヤモンドカップのエグリ跡が表情を豊かに
タイルの起伏を目地高にあわせようと削ると、凹凸に
足場の場所ごとに研磨の程度差が表情となって
打ち放しとは違った独特の質感が
太陽の光によって様々と変化
カップの当たり具合により、この表情
記念館裏手に見本張りを持参し比較検討
目地材の研究

一度は訪れてみてください。

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