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あなたの未来には一切興味がない。興味があるのは過去だけ。

久しぶり、というか3年以上ぶりにnoteを更新します。

最後に更新してからチーム体制が少し変わりました。死の影の谷を、でんぐり返しか匍匐前進で進んで命運が尽きかけた中、神様のようなLP投資家様が現れ、望外のファンドレイズを果たし、投資も3件実行できるまでになりました。

世界一運のいい男だな、と本気で思っています。

あの頃は何一つ人様にお見せできるようなファンド実態がなくて、いわば投資家・投資先・従業員に対する三方詐欺を働いていたような、人生でも指折りの苦しい期間でした。

3年間一向にファンドレイズができないなんて、ファンドとしては間違いなく日本記録レベルのスロースタート。

金融業界にそこそこ長くいる自分でも、聞いたことがないレベルです。

それもこれも、もちろん実力通りではあるのですが、投資家を訪問しても:

「デジタルとバイアウトになんの関係がw」
「マイクロPEなんて日本では成立しませんよw」
「初号ファンドには投資しないのでw」

挙げ句、

「あなたの未来には一切興味がない。興味があるのは過去(トラックレコード)だけ」

と言い放たれ、最初は冗談かと思って元気よくお追従笑いしたらどうやら本気だったようで、気まずい雰囲気にいたたまれず帰路についたことがあります。

「中小企業は前例のない危機にあるのだから、前例のないソリューションも必要では・・・?」と某金融機関担当者におずおず反論すると、

「いやいや、違いますよ。どんなに前例のない危機であっても、対策は『前例』に則るしかないのは当たり前でしょ。目の前の危機がなんであれ、それを解決した『前例』でかつ『再現性』がないとこちらは稟議すら書けない。新しいことなんて、なんとでも言えるし、それは興味がない。あなたがまず先に中小企業を4つか5つ救わないと、弊行も中小企業を救えないんですよ。」

と言われ、自分の頭が悪すぎて何を言っているのか分からずに帰りの地下鉄に乗ったこともあります。

旧知の金融関係者からは

「初号ファンドなんて普通、前職を辞める前にLP投資家と裏で握ってから始めるもんだろ?馬鹿正直に、辞めてから投資家訪問をスタートするやつなんて聞いたことないよ」

「1年間レイズしてダメなら一生無理だからw」

「一度でも金融村を離れた奴はなあ・・・」

と言われ続け、「やっぱり、そうなのかなあ」と思ったことトータルで1000回以上はありました。

(唯一の精神安定剤は、海外の大学EndowmentやFoFから「なぜお前のファンドに投資すべきか述べよ」「お前にあって他のファンドにないアングルはなんだ?」「お前と、他のファンドの違いだけを話せ」と言ってもらえたことでした。自分の投資テーマや将来に関心を持ってくれる投資家が世の中いるなんて!と感動しました。ただ、どこも日本籍の投資事業有限責任組合には投資できない内規だったので実現はしませんでしたが。)

3年以上自分の給与はゼロ。LP候補の担当者もさすがに見かねたのか「それでよく生活できますね」と心配してくれたので、「過去のバイアウト投資で成功し、そのリターンで食べていますので、なんとか・・・」と回答すると、「あ、でも、それは投資家としての実績にはなりませんからね」と食い気味に先回りして釘を刺されたこともあります。

生きるか死ぬかの投資で勝って富を築いた実績よりも、大手ファンドにサラリーマンとして一定期間勤務し、「お作法」と「分かりやすいトラックレコード」を体得している方が投資家としてずっと重要なのだ、とその方には懇々と諭されました。(心底心配してくれての忠告でしたし、自分も大人なのでそのロジックも充分理解できます。)

要は自分の実力不足が原因で、人様に文句を言える筋合いは一つもないのですが、まあまあの地獄っぷりではあったので、今こうしてなんとかファンドをやれていることは夢のようです。

なので、取りあえずもっと頑張っていきます。

#くじらキャピタル #プライベートエクイティ #投資ファンド #デジタルネイティブのバイアウトファンド #中小企業DXファンド

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