見出し画像

「まず、作ってみる」重要性

くじらキャピタルでは、デジタルでの事業再生を実現するため、新しいWEBサービスやアプリを「まず、作ってみる」ことを最重要視しています。

デジタルプロダクトの最大のメリットの1つは、すぐに作れ、修正しながら完成度を高められること。

事前にきっちり仕様や要件を固めてから動こうとすると、どんどん些末な論点に入り込む上に工数もかさむので、時間がかかる割に顧客体験軸での議論が放置されがちです。これでは、ちゃちゃっと作れるデジタルのメリットを活かしきれず、非常にもったいない。

「自分が顧客だったら、こういうUIの、こういうサービスであって欲しいんだけどさー」という想いを関係者と共有し、巻き込んでいくためには、具体的なプロダクトの形で表現するのが一番早く、分かりやすい。

これは、PowerPointの紙芝居でもいいのですが、WEBサービスやアプリであれば挙動や遷移、画面サイズ別(ピクセル数)の見え方の問題もあるので、やはり実際に作ってみるのが一番です。

制作ツールがこれだけ充実していて、ほとんどPowerPointと変わらない手数で現物が作れる世界において、敢えて紙芝居を一度噛ませる必然性はほぼゼロと思います。

そして一旦作り始め、自分のスマホ等で触り始めると、どんどん課題が露になってきます。これが、いい。

例えば、あるインターフェースを作ってみると、実現したいビジネスの性質と整合せず、導線が不自然になる。

あるいは、世界観を重視し、美しいビジュアルを多用したランディングページを作ってみると、サービス内容や料金体系の説明をするスペースが不十分で、何を売っているサイトなのか分かりづらい。(特に、従来にない新しいタイプのサービスではこれが起きやすい。)

あるいは、広告導線からの不自然なギャップに気付く。

あるいは、実際の購入画面で、サービスの致命的な弱点に気付く。(「これを買うと、今所有しているモノはどうなる・・?」)

あるいは、顧客目線で購入ボタンを押そうとすると、値段が高くて躊躇する。高すぎて買う気になれない、事業モデルそのものを練り直す必要があるのでは・・・。(ちなみに、動的なモックアップにおいては、えいや!でもいいので商品の実金額を記載すべきです。そうでないと、顧客体験が成立しないからです。)

あるいは、商品検索の仕方を見て、データテーブルの設計を根本からやり直す必要があることに気付く・・・等々。


単なるサイトのリニューアルではなく、新しいプロダクトやサービスを作り上げ、その認知・CV・サポートに至る一連の顧客体験をデジタルで再設計しようとしている訳なので、何もかもを事前に把握するのは極めて困難ですし、効率性の観点からも、それは得策ではありません。

であれば、すぐにモックアップなり実際のサービスなりを数日単位で作ってしまい、それをみんなで触りながら超高速で改善していくことこそがデジタルの本質にも叶い、事業性の見極めにも有用であると考えます。

デジタルの専門家でなくても、実物が目の前にあれば、それを使いたいかどうかは判断できますし、ユーザビリティの評価も具体的にできます。これにより、「フィージビリティを見極めて『から』作る」のではなく、「フィージビリティを見極める『ために』作る」ことが可能になり、プロダクトの成功可能性、ひいては事業や会社自体の再生可能性が大きく上がると我々は考えています。

ただし、この営みを実現するためには、いくつかの重要な前提条件があります。

1)その場で、全てを最終決定できるリーダーがいること。

右へ行くか左へ行くかを瞬時に決めないと、このプロセスの良さが全く活きません。判断の結果が間違っていればすぐに修正すればいいので、まずはその場で決めないことには一歩も進みません。「近いうちに親会社の幹部に確認します」などの答えが出そうな人は、絶対にリーダーに据えてはいけません。

2)そのリーダーに、具体的なゴールイメージがあること。

リーダーが瞬時に決断するためにはその最終的な権限を有していることも必要ですが、それ以上にそのリーダーの具体的なゴールイメージが重要です。具体的にどのようなサービス・プロダクトにしたいのか、このイメージを明確に持っていないと大きな分岐点で身動きが取れなくなるからです。

3)そのリーダーが、プロダクト成立に必要な技術的・ビジネス的要素を概ね理解していること。

自分でコーディングまでできる必要はありませんが、たとえば、『購入頻度や接触回数が少ないサービス』を作ろうとしているにも関わらず、「(WEBサービスではなく、わざわざDLが必要な)アプリ化しよう」などと言い出すリーダーで「ない」ことは死活的に重要です。

大筋の戦略が間違っていると、その後の戦術ではリカバリーができません。上記のケースでは、どんなにアプリの使い勝手を高めても、DLされることはないでしょうし、それを克服しようとアプリのプロモーション費用を投じたり、その過程で無意味なKPIを追いかけたり、どんどん間違った方向に進んでいく未来が見えます。

あるいは、「ちゃちゃっと作って」という言葉の意味を理解していないリーダーも危険です。どのツールを使い、どの程度の実際の挙動まで見せたいのか(今はなくてもよい機能は何か)、写真やその他の素材はどうするのか(アテで入れるにしても、どのようなイメージのものを、どこから購入するのか)が理解できていないと、チームは動きようがないからです。

4)イメージを共有できる仲間がいること。

上記を備えたリーダーがいても、それを共有できるエンジニアやデザイナー、ディレクターがいないと何も実現しません。

これはある程度、一緒にプロジェクトをやらないと難しいかも知れません。

5)メンバーがある程度自由に動けること。

これも非常に重要です。とりあえず作るためには、多くの試行錯誤が必要になります。そもそも最終的に商品化・商用化されるか不明な中で人を巻き込み、ガンガン動いてもらう訳なのですから、「顧客に請求できない稼働は原則ゼロにせよ」というタイプの受託会社では、このプロセスは構造的に絶対に成立しません

「時間」を売ってカネを貰う受託会社やコンサルティング会社は、空振りした稼働を後から取り戻すことはできないので、オフィス内を歩いている(細かく有償稼働率を管理されている)デザイナーを捕まえて、「ちょっとこれ、手伝って」とは絶対に言えない構造だからです。

「まず、作ってみる」ことが許されるのは、「成果」に利害を持つ事業会社、もしくはランニングのフィーで稼ぐことを目的としていない(成果を上げてEXIT時に報われればいい)我々ファンドだけです。

だからこそ、我々くじらキャピタルは「まず、作ってみる」ことに拘り、それを成果につなげようと日々戦っています。これこそが、デジタル時代のバイアウトファンドのあるべき姿だと信じています。

#くじらキャピタル #事業再生ファンド #デジタル時代のバイアウトファンド 






この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?気軽にクリエイターを支援できます。

ありがとうございます!うれしいです!!
8

竹内真二@くじらキャピタル

くじらキャピタル株式会社代表取締役。2018年4月、「人を幸せにする資本」を理念に事業再生ファンドを立ち上げ。元IMJ社長。投資銀行(リーマン・ブラザーズ、モルガン・スタンレー)出身。4度の起業経験、2度のEXIT経験。43歳。https://www.quzilla.co.jp/

くじらキャピタル創業記:「人を幸せにする資本」への挑戦

「人を幸せにする資本」「世界を素敵な会社で埋め尽くす」を理念に立ち上げた新しいバイアウトファンド、くじらキャピタル。創業理念や日々の戦いをリアルタイムに発信していきます。