見出し画像

「正義正論を貫くための母体が欲しい」 くじらキャピタル創業の理由

なぜ、くじらキャピタルを立ち上げようと思ったのか。

「経営力や倫理観の欠けた経営者から、世の会社を救いたい」ということに尽きます。

会社という存在の社会的インパクトは、実はとてつもなく大きい。たとえ中小企業であっても、雇用や取引を通じ、多くの人とその家族の人生を決定的に左右しうる立場にあります。ましてや大企業ともなれば・・。

その中にあって、経営者の能力不足で利益が上げられない会社があり、あるいは倫理観の欠如で不正がまかり通る会社があり、そのせいであまりにも多くの人が巻き添えにされ、不幸になる実例を目撃してきました。

その不条理への怒りが、自分を突き動かしています。

例えば、ある会社の話。上場準備の過程で、過去の労働債務の問題が発覚したことがありました。

具体的にいうと、「全従業員に占める管理監督者の割合が高過ぎる。これは、残業代の支払いを逃れるための意図的な方策ではないか。(管理監督者は残業代支払い対象ではないため。)上場審査を通過するためには、明らかに管理監督者に該当しないと思われる(=本来は残業代を支払うべき)社員に対して、過去2年分の残業代「理論値」を支払え。その支払いと引き換えに従業員から「債権債務不存在の覚書」を取るように」との指摘を主幹事証券会社から受けました。

そのような状態を長らく放置していた会社に、まず仰天。そして、すぐに瑕疵を治癒すべく残業代支払い準備を始めたら、さらに驚くことが起きました。

まず、支配株主が大反対。「自分の会社ではもっとひどいブラック労働を強いている。お前だけいい子になるのは気分が悪いし、そもそもこちらに飛び火したらどうするのか」と。

さらに、この問題を実質的に主導した前任社長(その時点で会長として残留していた)も、大反対。「過去に遡って残業代を支払ったら、自分在任時の業績が下方修正される。(注:実際、利益額は半分になるはずでした。)自分の業績を否定したいのか?!従業員の方から不満を言ってきた訳じゃないんだから、何も言わなければ分かりやしない」。

結局、これがトリガーになり、上場断念となりました。

倫理観のカケラもない権力者によって、運命を左右されてしまう会社。特に、上場準備のために採用した管理系メンバーが、一瞬にして不要になってしまう不条理。

怒りで全身の血が逆流するのを感じました。


別の、あるベンチャー企業を支援していた時のことです。

多くの苦難を乗り越え、ようやく売上・利益を安定的に拡大できるフェーズに入った途端、支配権を持つ法人株主が突如、経営に介入を始めましたた。

曰く「そちらにうちの社員を派遣するので、受け入れてトレーニングせよ。人件費はそちら持ち」。曰く、「そちらもグループ企業なのだから、人事制度は親会社と統一せよ」。曰く、「経理制度が一番大事。内部統制に必要な人員を派遣する。費用はそちら持ち」。

設立数年、売上高数億円のベンチャー企業に対して。

その当時、その法人株主は構造不況に直面し、業績不振に喘いでいました。クビにしたくもできない過剰人員を受け入れてくれる、いわば「植民地」を常々探していたのでしょう。

抵抗しましたが、支配株主ではないので、最後は屈服せざるを得ません。断腸の思いで自分一人退き、彼らに経営を委ねましたた。

すると、どうなったか。

法人株主から出向してきた新任の社長は、初月からむちゃくちゃな経費を使い倒し、「こんなに経費が使えるなんて、社長になってよかった!」と社内外で公言。成長のために埋め込んだ仕組みを、「自分流でやりたい」という理由で破壊。従業員の士気を下げることを徹底(会議に来ない、人事評価をタイムリーに行わない、パワハラ、セクハラ)。難しい判断からは徹底的に逃げて何も決めない。

その一方で、硬直的な各種制度を強制的に導入。

ベンチャースピリットは完全に失われ、パワハラが横行する小さな区役所に生まれ変わりました。

結果、絶望した幹部社員は会社を去り、成長はストップ。赤字に転落し、新たな投資計画は全て中止に。事業は縮小均衡に陥り、今に至るまで往時の輝きは取り戻せていません。


あの時、自分が支配株主であれば、どちらの会社も助けることができた。

無能・強欲な人間に、経営権を譲る必要もなかった。

仲間を不幸にせずにすんだ。

その時の後悔、絶望が、自分の原点です。

経営力・倫理観がない経営者から会社と従業員を解放し、その会社が本来持つポテンシャルを解き放ち、関係者全員をハッピーにしたい。そのための力が欲しい。構造が欲しい。

そうでないと死んでも死にきれないし、志半ばで袂を分かった昔の仲間に申し訳が立たない・・・。

その苦しみの中から「人を幸せにし、世界を素敵な会社で埋め尽くす」という言葉が生まれました。

これを自分の一生のミッションにしようと決め、くじらキャピタルがスタートしたのです。

#くじらキャピタル #人を幸せにする資本 #世界を素敵な会社で埋め尽くす



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?