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大糸線(3)地域にお金を落としたい鉄道ファンの例

はじめに

2023年5月24日(水)に令和5年の大糸線活性化協議会通常総会が開催されたようだ。

糸魚川市のWebsiteには2023年5月26日(金)時点ではまだ議事録等は公開されていない。

新潟日報、信濃毎日新聞などは軒並み有料会員でないと記事全文が読めない仕組み(経済原理的には正しい)だが、Yahoo!ニュースが新潟総合テレビから引用している5/25(木) 9:43配信の「大糸線の利用促進 訪日外国人客や鉄道ファンの取り込みへ【新潟】」という記事では、題名にもある通り「訪日外国人客や鉄道ファンの取り込み」というテーマが総会で提起されたとのこと。

インバウンド

インバウンド対応については、白馬などの雪山観光が国内外で広く宣伝され、現時点でも来客は多いと思われる。(データを引用すべきところだが、どこか機会があればデータを元に語ってみたいと思う)
既に魅力的な自然資源に加えて、観光客に対して質の良いサービスを提供し、リピーター獲得まで結実すると御の字であろう。
円安なので、海外からの観光客へは、日本人観光客とは別体系の高い価格帯の宿泊・体験を提供してみると、しっかり外貨は稼げる。当然、価格に見合う高品質のサービスを提供する必要がある。観光・サービス産業の品質向上と高い付加価値に見合う適正な価格設定(安売りしない)によって、地域経済の活性化に結びつけることは可能ではないだろうか。

鉄道ファン

広く一般には「鉄道ファン」というと撮り鉄(被写体として主に鉄道車両・鉄道設備・鉄道従事者などを選び、遭遇機会の少ない運用の鉄道や自然、都会造形と重ね合わせて芸術的・審美的な写真作品を創造する)、乗り鉄(その時点で運行されている鉄道路線に乗車し、沿線風景や当該路線を走る鉄道車両、施設などを観察する)、蒐集鉄(記念乗車券、鉄道会社が発行・監修するグッズなどをコレクションする)といった類型が広く知られる。

私も一応は「鉄道ファン」のカテゴリーに類する者と自認している。
「私は鉄道は好きだが、安全最優先で公共性を尊重し、自分のペースと関心を軸に鉄道文化や鉄道文化の辺縁系の娯楽分野を楽しむ」という考えが根底にある。
なおカメラはiPhoneで記録することで満足している。写真に対して、私は今のところ強いこだわりはない。この点で、私は他の一般的な撮り鉄・乗り鉄等とはやや趣を異にしている、と自認している。

例えば「乗り鉄」は鉄道を移動手段として活用することに楽しみが見出せて満足している人が多いように思える。
沿線観光や、沿線の地理歴史面の知識に基づく学びの機会の獲得に関心を持つ「乗り鉄」がどれだけ居るかは私もファクトを持ち合わせていないので推察しかできないが、majorityではないように思う。
一般の「乗り鉄」は、地方鉄道で乗り継ぎに1〜2時間、間が開いた際に駅前や駅からアプローチできる範囲の観光スポットを訪問することは、実際にされているかもしれない。地域の地理・歴史・文化・政治経済について関心を持って掘り下げるような旅をされている「乗り鉄」も、多くも少なくもない、ほどほどのボリュームで居るのでは、と推察する。
ただ、訪問先で時間を割き、当地にお金を落とすケースは、「鉄道ファン」全般に広げて考察すると、そう多くないのではないかと考える。

えちごトキめき鉄道の事例

えちごトキめき鉄道は直江津にD51レールパーク(入場料大人1,000円)を開設したり、国鉄型車両で観光急行という臨時観光列車を運行したり、さらにはレストラン列車「雪月花」を運行し、「鉄道ファン」の来訪を見越したサービスを設計している。

直江津のD51レールパークの目玉、D51

「鉄道ファンは地域に金を落とすか」という命題に対して、えちごトキめき鉄道のサービスは、今のところ「中高年で子育て等が一段落したが、趣味にかける費用は相応に拠出できる方」「独身で時間と可処分所得が多い方」に狙いを定めているものが目立つように思う。
学生さん向けに直江津駅ホームに自習室を設けるなど、地域の利用者に有益なサービスも行っているようだが、地域外の観光客が地域にお金を落とすことで、地域の利用者向けサービスに還元・循環させる流れを維持することは重要だと思う。

えちごトキめき鉄道の決算資料を見ると、COVID-19の影響はもちろんのこと、沿線人口の低下等もあり苦しい経営が続いている模様である。

私も大糸線を契機にえちごトキめき鉄道沿線にも立ち寄る機会が増え、上越市・妙高市などにもよく寄るようになった。
いち旅行者として、地域の産物などを当地で消費し、僅かでも地域にお金を落としていくことを心がけて旅を続けていく。

糸魚川でよくお世話になる駅のセブンイレブン

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