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【妖怪百科】べとべとさん

 幼少の頃読んだ水木しげるの妖怪なんでも入門で、最も好きな妖怪といえば小豆洗いとべとべとさんであった。現在有名な像ではなく、唇のような赤く小さい像が描かれていた。まだ小学生にも満たない年齢の自分にとって、「べとべとさん」という名前がなんとも気に入ったように記憶している。

旧べとべと像

 砂かけ婆やあずき洗いなど、妖怪にはよくある話だが、誰も見たことがない系の妖怪べとべとさん。その像を水木しげるが結び、我々の共通のイメージになる。すねこすりにおいては、「犬のような」といった記述もあり、既存の動物の像をもとに水木像と異なったイメージを描くことができたが、べとべとさんにおいては、水木像の存在感が強すぎ、独自のイメージに挑戦していらっしゃる漫画家さんも多いが、私は水木像を踏襲した。水木しげるのべとべとさんのイメージを変えるにはあまりにも愛されている。

ペン画

 動画には記載しなかったが、「べとべとさんお先にお越し」といったが、「暗くて進めないよ」と返事があり提灯を差し出した逸話は非常に面白い。そもそもべとべとさんには目がないという点は置いておいても、文脈から私は勝手にべとべとさんの目的は人の足音を真似て驚かすことだと思っていたが、灯りを借りたいということは、驚かすことが目的ではなかったのではないかと推測する。妖怪なので、何のために歩いているのかわからないが、驚かすために現れるのではなく、たまたまべとべとさんと同じ道を歩いた人が勝手に驚いているということになる。べとべとさんは、人はいようがいまいが、驚こうが驚くまいが、とりあえず、徘徊するのだ。そして、促されるまで追い抜かないのは性格だろう。なんとなく、前を歩く人がいるとついて行きたくなるのだろうか。

 動画について触れておこう。今回は基礎として、いつも通りのペン画と、べとべとさん単体で切り抜いた物を写真と合成している。現在の子供は主にスニーカーで歩くため、べとべとさんにも足音を真似るためにスニカーを履かせてみた。音楽については、ピアノ中心で尺八と太鼓を足した。どこか寂しげな雰囲気と、べとべとさんの口元の空明るい感じが面白いコントラストになってるのではないだろうか。



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