Vaundyと浜崎あゆみとフラワーカンパニーズとちあきなおみの尺


 ちょっと仕事上の必要に迫られて、Vaundyの「怪獣の花唄」の、2020年9月9日日本武道館のライブ映像(オフィシャルYouTubeチャンネルにアップされているやつ)と、浜崎あゆみ「Free & Easy」のMVを、続けて、何度も、じっくりと観た。どんな仕事なんだ、というのは置いといて、それで気がついたのだが。
 「怪獣の花唄」で、Vaundyが「♪口ずさんでしまうよ」と一回目のサビを歌い終わるまでと、「Free & Easy」で、イントロが終わって浜崎あゆみが「♪Woo〜」と第一声を発するまでの尺、ほぼ同じなのね。
 サブスクの音源でちゃんと計測したところ、前者が1分2秒、後者が1分00秒。「怪獣の花唄」は2020年の曲で、「Free & Easy」は2002年の曲。おそらくVaundyと浜崎あゆみだけじゃなくて、このくらいの時代差であれば、誰と誰を比べても、こんなふうになることはあるだろうが、にしても。
 今はイントロがあると曲を飛ばされてしまう、いきなり歌で始まらなきゃ聴いてもらえない、とか、なるべく早くサビを出さなきゃいけない、とかよく言われるけど、ほんとにそうなんだなあ、ちゃんと1分なんだなあ。とも思うし、イントロ1分って長えよ、いくらなんでも! とも思う。

 で。そのような「イントロなし」「すぐサビまで行く」のって、サブスクの時代になってこそである、そうなる前は違った、のかというと、必ずしもそうでもなかったりすることを、思い出した。
 たとえば、フラワーカンパニーズに「ビューティフルドリーマー」という曲がある。2013年に、大根仁監督によるテレビ東京の深夜ドラマ『まほろ駅前番外地』のオープニングテーマのオファーを受けて書かれた曲で、ドラマの最初に流れる尺の間にサビが出てくるようにしてください、という発注だったので、イントロなし・いきなりサビで始まる・もう一度サビが出るまでに1分9秒、という構成にしたのだ、と、ボーカル鈴木圭介にきいたことがある。
 大根仁監督とフラカンですらそういうことがあるんだから、きっと他は、もっとそういうことだらけなんだろうな、と、推測します。ちなみに「ビューティフルドリーマー」、僕は大好きな曲で、もっと頻繁にライブでやればいいのに、と、いつも思っている。

 そのあと、銭湯に行って、サウナの中で、ここまで書いたようなことをうだうだと考えていたら──その銭湯のサウナのBGM、いつも有線の演歌や昔の歌謡曲のチャンネルなのだが──ちあきなおみの「喝采」がかかった。
 これは普通にイントロあるけど、やはり、一回目のサビ(「♪あれは三年前」から始まるブロック)が終わってAメロに戻るまで、1分ちょっとしかかかっていない気がした。
 なので、家に帰って調べようとしたら、ちあきなおみってサブスクにないのね。YouTubeとかに、誰かが勝手にアップしているやつはあるけど。
 なので、宮本浩次がカバーしている「喝采」で、計測してみた。イントロが20秒、一回目のサビの「♪ひとり飛び乗った〜」の小節が終わるまでが1分9秒でした。
 そのあと、YouTubeで見つけたオリジナル音源で計測したら、どちらもぴったり同じだったので、この宮本浩次のカバー・バージョンは、オリジナルとテンポを変えていないことがわかりました。
 だからなんだと言われると、いいえなんでもありません、と返すほかないが。

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