太田伸志(おおたしんじ)

Steve* inc.(steveinc.jp)代表取締役社長。クリエイティブディレク…

太田伸志(おおたしんじ)

Steve* inc.(steveinc.jp)代表取締役社長。クリエイティブディレクター、作家、唎酒師。TOKYO MX 『アニメ 大福くん』脚本執筆/Pen Online『日本酒男子のルール』連載/七十七銀行FLAG『大学で教えてくれないことは東北の居酒屋が答えをくれる』連載

マガジン

  • 大学で教えてくれないことは、東北の居酒屋が答えをくれる。

    「僕にとっては居酒屋の扉を開けた瞬間が授業開始なんだ」そんな作者の勝手な思いを、いつも広い心で受け止めてくれる東北の居酒屋での学びを書き留めた、日本酒エッセイ。宮城県仙台市に本店を置く七十七銀行グループにおいて、調査研究・コンサルティング分野を担う「七十七リサーチ&コンサルティング」発行の機関紙『FLAG』で連載された日本酒エッセイを定期的に公開中!

  • スティーブのひとりごと

    • 26本

    『スティーブのひとりごと』は、毎日の生活の中で「これは語りたい」と思ったことを、メンバーそれぞれの新鮮な言葉でお届けします。Steve* Magazineは、クリエイティブカンパニーSteve* inc.(https://steveinc.jp)のメンバーが語るカルチャーマガジンです。

  • Steve* クリエイティブ酒場

    • 10本

    日本のどこかにお酒を酌み交わしながら、腹を割って語り合える一夜限りの酒場があるーー。その名も「Steve*クリエイテブ酒場」。ブランディングや商品開発を企業と一体となり行うクリエイティブカンパニー、 Steve*の代表取締役社長で唎酒師でもある太田伸志が、今語り合いたいクライアントをおもてなしする特別な席をご用意。さて、今夜はどんなお客様を招くのだろうか。

  • 丸森時間差遺産【まるもり - じかんさ - いさん】

    東京での20年間の暮らしを経て、20年ぶりに故郷へ移住したクリエイティブディレクターは何を思うのか。あの頃は特に気にも留めなかったことが、今さら大切だったときづくものとは。宮城県丸森町の広報誌「広報まるもり」にて連載中のエッセイを特別限定公開中!

  • newton radio

    • 6本

    「何かに惹かれて生きてきたボクらが、どうしようもなくキミに惹かれる理由。」をテーマに掲げ、様々な領域で活躍するクリエイターや企業のブランド担当者をはじめとする、私達がどうしようもなく惹かれるゲストを招き、そのゲストになぜ惹かれるのか?という「引力」の解明を目指す音声番組です。

最近の記事

大学で教えてくれないことは、東北の居酒屋が答えをくれる。 1時限目「完璧の正体とは」

 夕方から霧雨が降り続いたせいか、いつもはギラギラすぎる数多のネオンが、キラキラくらいには柔らかく見えた。まるで『銀河鉄道の夜』に書かれている夜空に浮かんでいるかのような心地よさを覚えながら霧の中を進むと、なんと、銀河の旅を夢見た小説の主人公、ジョバンニが正面から近づいて来るではないか。一瞬驚いたが、良く見ると単に銀河のようなスーツに身を包んだ客引きの店員だった。  仙台市・国分町。古くから東北一の繁華街として栄えたこの街の、稲荷小路と呼ばれる細い路地。派手な看板が多い国分

    • 丸森時間差遺産 第9話「あたりまえの鉄道」

       ガタンゴトンッ。ガタンゴトンッ。心音のように繰り返す心地よいリズムを感じながら、窓の外を眺める。新車両に切り替わっても変わらない、どこか懐かしいボックスシート。気のせいか、周りの家族連れや若者、おじいちゃんおばあちゃんも穏やかな表情に見える。みんなどこへ行くのかな、なんて想像しながら、久しぶりに乗った電車の魅力を改めて味わっていた。  「あぶきゅう」の愛称で知られる阿武隈急行との出会いは小学生の頃。シンプルな白い車体に描かれた青と緑のラインに一目惚れ。どこを走っていても絵

      • 丸森時間差遺産 第8話「新春初詣ドライブ」

         忙しかった一日。永遠に続きそうな仕事を何とか無事に終えて車で家へ帰る途中、冷え込んできたなと思ったらヘッドライトに白く光るものが反射した。雪である。僕は暗闇をふわりと舞う雪を見ながら、祖父と初詣に行った日のことを思い出した。  昔、野球でキャッチャーをしていたという大柄な体格のイメージとは似つかわしくない、柔らかな物腰の祖父が僕は大好きだった。18歳となり車の免許をとってからは、よく祖父をドライブに誘っていたのだが、断られた記憶が無く、いつも喜んで時間をとってくれた。悩ん

        • 丸森時間差遺産 第7話「ある散歩の想い出」

           休日にはよく散歩をする。と言うと、周りの人たちから「車ではなく?」と聞かれることが多いのだが、テクノロジーがいくら進化したとはいえ、歩いている車は未だに見かけない。散歩はまだまだ人間だけの特権のようである。散歩。それは、変化し続ける景色との出会い。そして、それを共にする家族との会話など、さまざまな発見がある特別な時間なのだ。  歩く車は冗談だが、確かに移動という効率性から考えれば車は便利である。寒い日は暖房を、暑い日はクーラーを。子どもがゲームをしていようが機嫌が悪かろう

        大学で教えてくれないことは、東北の居酒屋が答えをくれる。 1時限目「完璧の正体とは」

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        • 大学で教えてくれないことは、東北の居酒屋が答えをくれる。
          1本
        • スティーブのひとりごと
          26本
        • Steve* クリエイティブ酒場
          10本
        • 丸森時間差遺産【まるもり - じかんさ - いさん】
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        • newton radio
          6本

        記事

          丸森時間差遺産 第6話「受け継がれる蕎麦」

           最近、筆甫へよくドライブをする。理由は今年新しく出来たそば屋、清流庵である。筆甫地区の美しい自然と川のせせらぎと、運が良ければカワセミの美しい鳴き声を聞きながら、石臼挽き&手打ちの美味しいそばを楽しめる。付け合わせの天ぷらも最高だ。新鮮な野菜を中心に、揚げたてを塩でカラッといただくも良し。出汁の効いた蕎麦つゆに浸してジュワッといただくも良し。滑らかな喉越しのそばとの相性も完璧。締めに成分が溶け出したとろみの強い熱いそば湯で身体を温めた後に、店を出て感じる凛とした森の空気がま

          丸森時間差遺産 第6話「受け継がれる蕎麦」

          丸森時間差遺産 第5話「棚田にて深呼吸を」

          夕暮れの国道349号線。大学での授業を終えて自宅へと車を走らせる途中、思い立って寄り道をした。阿武隈川沿いの側道を坂道に沿って3分ほど登ると、日本の棚田百選・農林水産省選定のつなぐ棚田遺産にも選ばれた「大張沢尻の棚田」が現れる。長い時間をかけて、複雑な地形を試行錯誤しながら開拓して生まれた、人々の努力の結晶である。  見晴らしの良い駐車スペースに車を停めて、秋風が吹き抜ける新鮮な空気を思い切り吸い込んだ。夕陽に照らされ階段状に連なる田んぼを埋め尽くす黄金の稲穂。久しぶりに訪

          丸森時間差遺産 第5話「棚田にて深呼吸を」

          丸森時間差遺産 第4話「風呂上がりの夜風」

            僕は熱い風呂が好きだ。理由は恐らく幼い頃の記憶、建て替える前の実家が五右衛門風呂だったせいかもしれない。当時住んでいた家は台所が土間になっており、祖母と母が夕食の支度をしている隣で、お風呂を沸かす係だった僕はよく薪を焚べていた。徐々に太めの焚き木へパチパチと火を育てていきながら、時々アルミホイルで包んださつまいもを一緒に入れたりして、沸きたての熱い風呂に入った後に、出来立ての甘い焼き芋と冷たい牛乳を喉に流し込みながら、縁側で夜風に当たるのが大好きだった。  そんな風呂好

          丸森時間差遺産 第4話「風呂上がりの夜風」

          丸森時間差遺産 第3話「全力で走り抜けた公園」

           僕は全力で走っていた。とはいえ、太宰治の小説『走れメロス』のように親友との友情を守るためではない。先ほどスーパーで受け取ったレシートが風で飛ばされたため、追いかけていただけである。30mほど先で追いついて無事に回収したが体力は消費した。昔は追いかける側ではなく追いかけられる側だったのになと、息を切らせながら30年以上前のことを思い出していた。  実家には昔、コロという犬がいた。名前の由来は当時僕が夕食時にコロッケを食べているときに思いついたからで、マグロを食べていたら「ト

          丸森時間差遺産 第3話「全力で走り抜けた公園」

          丸森時間差遺産 第2話「時をかける赤い橋」

           夜寝ていると息苦しいことがある。今夜も金縛り……ではないので安心してほしい。寝相の悪い我が子の足が僕の顔に乗っていただけ。いつものことである。家族で一緒に寝ている場合、自分の寝ている範囲を越えないようにという暗黙の了解があると思うのだが、そんな大人の常識で作り上げた境界を軽々と越えて来る息子の自由な本能に感銘を受けるとともに「境界を越える」というキーワードから、ふと、脳裏に丸森橋の思い出が浮かんだ。  丸森町には大きな橋が2つある。2012年に完成した556mの丸森大橋。

          丸森時間差遺産 第2話「時をかける赤い橋」

          丸森時間差遺産 第1話「小高い駅のホーム」

           1996年。18歳の僕は進学のため、仙台で念願の一人暮らしをすることになった。すでに荷物は新居となるアパートに送っており、一人暮らし前としては最後の実家での夕食。この漬物の味ともしばらくお別れだなと、白菜の味を噛み締めていた。最後の晩餐ならぬ最後のばあちゃんの漬物である。お湯1に対してウイスキー3ほどの濃いめのお湯割りが好きだった父からは、丸森からでも通えるだろうとしつこく説得をされたが、故郷への未練1に対して都会への好奇心9という濃いめの自立心に溢れていた僕は「自分の足で

          丸森時間差遺産 第1話「小高い駅のホーム」

          大人なこどもっぽさを、こどもな大人は学ばなければならない話

          44歳の誕生日を迎えた。いよいよ大人である。そりゃそうだろ、というつっこみも多そうだが、それを自分自身で深く認識することが非常に難しいことは「大人になりきれないんだよね(笑)」と、嬉しそうに語るおじさんたちが多いことからもわかるだろう。これを僕は「大人になりきれないんだよね(笑)症候群」と呼んで密かに恐れている。同世代のみなさん、現実に目を向けよう。繰り返すが、いよいよ大人である。せっかくの誕生日なので、今日は夜更かしして「大人」というテーマで、今思うことをまとめてみようと思

          大人なこどもっぽさを、こどもな大人は学ばなければならない話

          他人になかなか言えない職種、クリエイティブディレクター

          2歳の息子が、せっかく買ってあげた仮面ライダーゼロワンのベルトを装着せず、何を思ったのかピーマンやトマトをベルトの丸い部分に乗せてフライパンがわりにユサユサ振っている。どうやら野菜炒めでも作っているつもりらしい。全身に脱力感を感じながら、おいおい、そのベルトは仮面ライダー、、、に変身する主人公と同じように、料理もある意味食材の変身といえるのかもしれないな、、、とぺこぱのツッコミのごとく息子の自由な思考を肯定しながら、改めて思ったことがある。 それ、クリエイティブディレクショ

          他人になかなか言えない職種、クリエイティブディレクター

          「またマンガばっかり読んで!」と言われた時のいいわけ(年間1000冊マンガを読む男):プロローグ

          実はここ数年、年間1000冊を超えるマンガを読んでいる。この記事に使用している画像も僕がデジタルで購入した漫画の一部である。そういう話をすると、マンガにいくらつぎ込んでしまっているのか、、、もっと有意義な使い方があるのではないか、、、というため息が起きるが、そんな話はナンセンスである。断言しよう。マンガは非常に有意義なお金の使い方であり、対価として充分な見返りをくれる。なぜならマンガはネットニュースなどの瞬間消費型の「生活情報」ではなく長期育成型の「人生経験」になるからだ。ち

          「またマンガばっかり読んで!」と言われた時のいいわけ(年間1000冊マンガを読む男):プロローグ

          新しすぎてまったく新しくみえないスティーブの経営理念

          「とりあえず飲もうか」から「とりあえず家にいよう」が口ぐせになった、胃に優しい穏やかな週末。みなさまはいかがお過ごしでしょうか。note初投稿のため、どんな話し方で初めて良いのかわかりませんが、右も左もわからず買った『あつ森』だって、今日シーラカンスを釣りあげられるようにもなったしなぁ。と、初心者にありがちな、ゲーム序盤で得られるショボい釣竿のような自信を片手に初投稿してみます。 noteでは、内容もあまり固定せずにさまざまなジャンルについて投稿できればと思っているのですが

          新しすぎてまったく新しくみえないスティーブの経営理念