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SixTONES「CREAK」全曲レビュー/新たな魅力を、ノックするとき。

こんにちは。桜小路いをりです。

今回の記事は、SixTONESの11thシングル「CREAK」の全曲レビュー記事です。

アルバム「THE VIBES」の発売、ライブツアー「VVS」を来年初頭に控えるSixTONES。
彼らの2023年を振り返るような気持ちで、読んでいただけると嬉しいです。

ぜひ最後までお付き合いください。


表題曲

「CREAK」

ドラマ「ノッキンオン・ロックドドア」の主題歌。
解禁されたとき、あまりにも好みのど真ん中に突き刺さって、しばらく抜けませんでした。そのくらい大好き。

「HOW」と「WHY」が交錯する、疾走感とダークな雰囲気、力強い情熱に溢れた楽曲です。

聴けば聴くほど、その世界観に没入させられるような、重厚さと壮大さ。
ぴりりと張りつめた緊張感漂う、凛とした雰囲気が本当に素敵。

MV尺で聴くとクールな印象が強いですが、フル尺で聴くと、秘めた「熱さ」まで感じられるような気がします。

そして、先日公開されたアルバム「THE VIBES」の北斗さんのセルフライナーノーツが秀逸なので、貼っておきます。

ノックから始まるこの曲は、最後までドアは開いていないのではないだろうか。
何かが来たが何かはわからないその緊張感や高揚感、静寂と思考の中の騒音とその全てを終始表現し続けている。
ノックは何故あんなにも人を注目させ静かにさせるのだろう。

(北斗さんって、本当に人を惹き付ける言葉選びをされるなとつくづく感じます。「緊張感」「高揚感」という言葉に、思わず大きくうなずいてしまいました。)

私の感想については、詳しくは下の記事で書いていますので、こちらも併せてぜひ。

初回盤A 収録曲

初回盤A、Bは各メンバーのソロ曲です。
リンクから曲を流しつつ、お読みいただけたら嬉しいです。

「ガラス花」 Hokuto Matsumura

アイナ・ジ・エンドさん提供、松村北斗さんのソロ曲。

初めて聴いたとき、「松村北斗」という存在すら音楽の中に入り込んで、この曲の世界観にすっと溶け込んでいるような気がしました。そして、聴き手すらその中に誘い込んでいくような引力もあって。

北斗さんがセルフライナーノーツで、「真っ透明」という表現を使っていましたが、この曲は確かに「透明感」では足りない「真っ透明」だと感じます。

しかも、「ガラス」は「ガラス」でも、冷たい感じは微塵もなくて、むしろ人間味のある温かさが、ぎゅっと内包されている気がします。
それこそ、大切で大切で、ずっと手で触れていたから、自分の体温が移ってしまったような。そんな「温かさ」です。

私がこの曲から想像したのは、冬の夜に、部屋の中と外の寒暖差で結露した窓ガラス。
水滴を指先で拭ったとき、曇っていたガラスがすっと透明になって、かすかに体温がガラスに移って。代わりに、指先が冷たくなる。あの感じに似た切なさを纏っている気がします。

また、この曲の北斗さんの歌声は、弱さ、脆さ、危うさが強く出ていて、どこか瑞々しい印象も感じます。

切なげで、寂しげけれど、息苦しいような重さは感じない。その魅力は、北斗さんの柔らかく優しい歌声に拠る部分が大きいように思いました。

「MUSIC IN ME」 Yugo Kochi

SixTONESのダディこと髙地優吾さんのソロ曲をひと言で表すなら、圧倒的多幸感。
さらに付け加えるとするなら、「帰る場所」のような安心感でしょうか。

ハスキーな歌声は優しくて、でもしっかりと強さ、頼もしさもあって。思い切り羽を伸ばすことも、ゆっくりと羽を休めることもできる木漏れ日のような曲だなと感じます。

必然と鳴る6つのHARMONY
支えてくれるその声がCHORUSに
同じ夢背負ってくれてるMy buddies
そうさ間違いなく
You’re THE MUSIC IN ME

ここの歌詞、聴くたび胸が熱くなります。

私はこれまで、「絆」というと、「結び止めておくもの」というニュアンスを強く感じていました。
しかし、この曲から感じる「絆」は「仲間を信じて、いつも帰って来る場所を空けて待っている」という、ゆるやかでいて強固な「繋がり」のようなイメージです。

さっぱりと爽やかな朝にも、夕陽が綺麗な帰り道にも、どちらにもぴったりで眩しいこの曲。
聴くたびに、team SixTONESのメンタルサポーターもとい心の拠り所は、間違いなく、この愛に溢れた最年長さんなんだなと感じます。

(そして、一面が黄色のペンライトに染まった会場で、キラキラの笑顔でこの曲を歌う髙地さんの姿が目に浮かびます。)

「Never Ending Love」 Jesee

6人それぞれのソロ曲の中で、いちばん衝撃だったのはこの曲でした。堂本剛さん提供、ジェシーのソロ曲です。

クレジットを確認したら、なんと編曲はGakushiさん。DA PUMPの武道館コンサートで「ただひとりのバックバンド」として活躍されていた姿をDVDで見ていた私は、つい「あっ!」と叫んでしまったほど。楽器の音色のひとつひとつが際立って、輝いているような気がした理由が分かりました。

胸が苦しくなるほど切なげに始まるこの曲の展開は、弱さを両手に携えていたところから、ひとつずつ強さを拾い上げていくようなイメージでしょうか。

台詞のような歌声も印象的ですが、特に強く感じるのは、その包容力。
祈りのようでいて、ただ祈るだけではなく、「闘う」という言葉も、この曲の中できらりと煌めいているように感じます。

強さとしなやかさ、温かさと美しさが見事に絡み合った楽曲です。

初めて聴いたとき、この曲で歌われている「愛」は、「それぞれの心で泉のようにこんこんと湧き出てきて、絶えず流れ続けていくもの」と解釈されているのではないかと感じました。
その「流れ」は、時には他の誰かの「流れ」と重なって、時にはまた別の誰かの「流れ」に寄り添って、自分自身がいなくなっても、ずっとずっと後世に続いていく、というような。

「愛」を、高らかに叫ぶでもなく、ただじっと囁くでもなく、柔らかに、しなやかに、でも確かな真っ直ぐさをもって歌うジェシーの「Never Ending Love」。これからの人生で、その意味を繰り返し自問しながら、大切に聴き続けていきたい曲のひとつです。

初回盤B 収録曲

「We can't go back」 Taiga Kyomoto

「きょも」こと京本大我さん本人が作詞作曲を手がけた、「We can't go back」。

約7年前に作ってから、ずっと温めていた楽曲だったとか。
ソロの「PLAYLIST」も、マイク1本でひとりで歌っているところから、段々とバックの演奏の皆さんが増えていく演出が、この曲が辿ってきた道を表しているようで印象的でした。

ひた向きな想いを、真っ直ぐな言葉と曲にのせて、果てしなく伸びやかに、美しく響く歌声で歌い上げるバラード曲。

きょもの声って、(色んな記事で何回も書いている気がしますが、)どこまでも研ぎ澄まされた刃のような、シャープな歌声だなと感じます。

丹念に磨き上げられたそれは鮮烈に煌めいていて、その切っ先は脆く見えるほど薄く研がれていて。
でも、冷たく鋭利な印象は微塵もなくて、むしろ、強さの中にほのかな儚さもたたえた、唯一無二の魅力があります。

だからなのか、この曲でも、かつての恋への後悔という「弱さ」と、まだ消すことのできない愛情の「温かさ」が共存して、溢れているのではないでしょうか。

セルフライナーノーツには「純度100%」という言葉も使われていましたが、本当にその通り。
北斗さんのソロ曲でも書きましたが、この曲も、どこか「瑞々しい」印象がある気がします。

年を重ねるごとに、小洒落た言葉と余裕のある表情で覆い隠してしまいたくなる部分を、あえてそのまま差し出しているような。

私は、まだそれを実感できるほど人生経験が豊富なわけではないし、それをうっすらとしか感じることはできないけれど。
その潔さと、真っ直ぐさと、音楽へのストイックさ、愛の深さが、きょもの何よりの魅力だと感じています。

「Love is…」 Shintaro Morimoto

平井大さん提供、森本慎太郎さんのソロ曲。

甘さ、温かさ、懐かしさが柔らかく混ざったキャラメルボイスが、これ以上ないほど引き立つ素敵な楽曲です。イヤホンで聴いたら、糖分過多でくらっときてしまいそうなほど。

でも、その歌詞を紐解けば紐解くほど、「君」に対して、そして「愛」に対して真摯に向き合う、芯の通った人物像が見えてきます。

I know You know
お互いの好きなトコロ
最後まできっと貫ける気しかしてないよ

「しかしてないよ」のところで一瞬アカペラになるところ、狂おしいほど好きです。

他愛ない会話の中で、その言葉をふと口に出す瞬間があって。さっきまで、にこにこと冗談を交えながら話していたのに、そのときだけ真剣な眼差しになって、その言葉は決して茶化さずに伝える、というような。
そんな様子を連想してしまいます。

個人的に、初めて聴いたときは、この曲は夕暮れの海や朝焼けの海が見えるお部屋のイメージだったのですが。
「PLAYLIST」で眩しい陽射しの中で丁寧に歌う森本さんの姿を見たとき、この曲そのものの「像」がきちんと現れたような気がしました。

「こんなに爽やかなロケーションもしっくりくるんだ」と、新たな解釈を加えてもらえたような、映像の中で切り取られている自然体で気さくな雰囲気こそ、この曲が本当に聴き手に伝えたいことなんだ、というような。

色んな場面で、すっと生活に溶け込んでくれる曲ではないでしょうか。

「Sorry」 Juri Tanaka

「田中樹」というアイドルにはこういう曲がよく似合う……と、恐らくスト担の皆さんが満場一致でうなずくであろう「Sorry」。

もとはSixTONES全員で歌う候補に入っていたものが、樹さんのソロ曲としてリリースされることになったそうです。
ラップのリリックも樹さんが担当されています。

物憂げで、気だるげで、切なげで、どこか妖艶で、その均衡が危ういバランスで保たれているような。

この独特の色気の中に匂い立つ寂しさ、さりげなく表れる弱さは、「爆モテじゅったん」の名をほしいままにする樹さんの唯一無二の魅力だと感じています。

まだ間に合う Yeah, maybe
お互いもう意地張る場合じゃない
You know that

こんなことを言いつつ、きっと最初に意地を張っていたのは、他でもない自分自身だったのだと思います。
でも、ひとりでいる時間が重なれば重なるほど、相手のことがたまらなく恋しくなって、相手のことがより一層、大切に思えてくる。

(SixTONESが6人で歌う失恋ソングもそうですが、)やるせない気持ちを、こんなにカッコよく表現できるのは、やはり樹さんの苦さと甘さが共存する歌声に拠る部分が大きい気がします。

時折ドキリとするほど甘くなったり、ざらりとかすれたり、裏返ったり、吐息が混じったりと、様々な声色を巧みに操るその表現力も聴きどころ。
これぞSixTONESが誇る最強のラッパー。

さらに、ワンカットの演出を効果的に使ったMVも本当に見事でした。SixTONESお得意のワンカット演出をあえてソロ曲に持ってくるところに、「SixTONESである」ことのプライドも感じます。

通常盤 収録曲


「Eye to Eye」

目薬のCMに起用された楽曲。
爽やかさの中に、真っ直ぐな気さくさと温かさを感じる1曲です。

言わなくていいよ
その目を見れば伝わるから

こんなふうに、「言わなくていい」と何でもないことのように言える関係性って、きっと普段から「言葉で伝えること」をおざなりにしないからこそ成り立つものだと思います。

今まで、何度も言葉を重ねてきて、時にはぶつかり合いながらも信頼を築いてきたから、いざ「どうしても言葉にできないこと」ができたときに、「その目を見れば分かる」と言える。

だからこそ、華やかな印象の中に、どこか寄り添うような温かさを感じるのではないでしょうか。
目と目を合わせたときに向けられる眼差しは、きっと、真っ直ぐながら穏やかで優しいものなんじゃないかなと感じます。

「WHY NOT」

SixTONESの甘く艶やかな声にぴったりな「WHY NOT」。

余談ですが、いつも曲の中で片思いや失恋をこじらせがちなSixTONESには、この雰囲気がバチバチにハマります。

「Hysteria」や「So Addicted」や「Risky」と繋げて聴きたくなる、ほんのりと危うさも感じる1曲です。

どこか陰りのあるアンニュイな曲調、その中に匂い立つ切なさ。
中毒性も抜群で、この世界観には、「浸る」というよりも「溺れる」という言葉のほうが似合います。

ちょっと気障っぽい歌詞もあるので、この曲の主人公は、「Eye to Eye」とは対照的に、相手と目を合わせてはいないんじゃないかなと思います。
なかなか目を合わせてくれないからこそ、その拗ねたような横顔につい魅入ってしまうような。そんなイメージの曲です。

「こっから -Old School Breakin' Remix-」

先日YouTubeで公開された新曲「アンセム」の雰囲気にどこか既視感を覚える……そんなことを思って記憶をたどってみたら、これでした。

あのMVに出てきた「SixTONES University」で流れていそうな、エネルギッシュなリミックスです。(そして、相変わらずSONYさんは伏線を作るのが非常に上手い……)

オリジナルの「こっから」に、さらに遊び心と高揚感をプラスしたような。
より飾らない、より勢いとパワーに溢れた世界観に昇華したような。

私が今年いちばん聴いた曲は間違いなく「こっから」なので、こちらのリミックスにも、引き続き「エンジンをかけたいとき」にたくさんお世話になりそうです。

まとめ

表題曲、リミックス曲も含めて合計10曲、一気にレビューさせていただきました。

これ、もうひとつのアルバムかEPでよいのでは……と思ってしまうほど、豪華で贅沢なラインナップです。

改めて見ると、「CREAK」に入っている曲は、(というより、最近のSixTONESの曲は)根底に「愛」がある曲が多いなと感じます。

「CREAK」が主題歌の「ノッキン・オン・ロックドドア」で北斗さんが演じていた倒理くんは、いつも憎まれ口を叩きつつも、その中に相棒や周りの人を想う気持ちが確かにある、温かいキャラクターでした。

各ソロ曲も、それぞれ形や色彩は違えど「恋」や「愛」を歌っていて、どれも誰か、何かのことを大切に想う気持ちが溢れた世界観になっています。

「Eye to Eye」も「WHY NOT」も、言うまでもなく目の前の相手に対して、自分の想いを、真っ直ぐに、あるいは少し斜に構えて告げる曲。

「こっから」も、悔しさや劣等感に苦しくなるのは、自分が今頑張っていること、ものにそれだけ一生懸命で、自分の情熱をかける対象が、これ以上ないほど好きだから。

SixTONESの曲の全てに共通するのは、どんなものにも、どんなことにも、どんな人に対しても、自分の喜怒哀楽や、それに収まらない数多の感情を、全力でぶつけているところなんじゃないかなと思います。

彼らの歌声がいつも全力で曲に向き合っているから、聴き手も、「全力で受け止めよう」という気持ちになる。
そうさせてしまう魔法のような力が、彼らの6つの音色にはあるんじゃないかな、と。
最近、そんなふうに思っています。

さて、ここまでお読みいただき、ありがとうございました。約6000文字の記事にお付き合いいただいたあなたに、心からの感謝を。

既にSixTONESが好きな方も、「もっと知りたい」と思って訪れてくださった方にも、この記事から、心に残る何かを掬い取っていただけていたら嬉しいです。

また私のnoteで、お会いできますように。

今回お借りした見出し画像は、マクラメアクセサリーの写真です。「マクラメ」とは、糸や紐を編んで色々な模様を編む手芸のこと。どの曲も、形は違えど「繋がり」や「結びつき」を感じる曲だったので、「結ぶ」イメージでこの写真を選ばせていただきました。


最後までお読みいただき、ありがとうございました。 私の記事が、皆さんの心にほんのひと欠片でも残っていたら、とても嬉しいです。 皆さんのもとにも、素敵なことがたくさん舞い込んで来ますように。