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「勇気」を縫い合わせて、「ときめき」で飾って。~『なんでも魔女商会』シリーズ~

こんにちは。桜小路いをりです。

私は、小さい頃から「かわいいもの」が大好きです。

ふわふわのレース、ひらりと踊るリボン、キラキラしたビーズに、ふんわり広がるスカート。

今も昔もお洋服屋さんをのぞくのが好きだし、小学生の頃は「ファッションデザイナーになりたい」と言っているときもありました。

そんな私の原点になっている絵本があります。

あんびるやすこさんの『なんでも魔女商会』シリーズです。

昨年2023年に20周年を迎えた、ロングセラーシリーズ。
小学生の頃、図書館で借りたりブックオフで探したり、両親にねだって買ってもらったりして、小学生の頃、本当にたくさん読みました。

魔女のシルクは、魔法を使わずに、ひとつひとつ心を込めてお洋服のリフォームをする、「なんでも魔女商会」の店主。
黒猫のコットンと一緒に、動物や妖精、魔法使いなどのお洋服を、素敵にお直しします。

そんなシルクの店によく遊びにくるのが、人間の女の子のナナ。
お裁縫の腕を磨きながら、シルクの仕事を手伝っています。

シルクは、ただお洋服をお客さんの要望通りにリフォームするわけではありません。

お客さんが、勇気を出して一歩踏み出せるお洋服。
お客さんが笑顔になってくれるようなお洋服。
お客さんの心を励まして、自信をもってもらえるようなお洋服。
お客さんの特別な日に、美しく華を添えるお洋服。

一着一着に込められたその想い、「お客さんにとって、いちばん素敵なお洋服は何だろう」と考えながら一生懸命に頑張るシルクたちが、私は今も大好きです。

『なんでも魔女商会』に出会って、気づいたこと。

それは、「自分を変えられるのは自分自身だけ」だということでした。

シルクのお直しも、ナナの言葉も、コットンの優しさも、どれも「きっかけ」に過ぎません。
お直しを終えたお洋服を身に纏ったお客さんたちは、そのお洋服に励まされて、「自分自身の勇気」で一歩を踏み出します。

小学生の頃の私は、目立ちたい気持ちを心に懐きつつも引っ込み思案なタイプでした。

人前に出ると緊張でドキドキして、ささいな言葉で自信を失くすこともあって。

でも、どんなときでも、本を開けば素敵な魔法の世界が広がっていることが、何よりの救いでした。

シルクの素敵なデザイン画、明るくて頑張り屋さんなナナの姿、コットンが作る甘いお菓子。
お洋服をきっかけに、新たな一歩を踏み出すお客さんたち。

読むたびに、「私もこう在りたい」という憧れが溢れてきて、それが勇気になって。

そうやって、何度、心に寄り添ってもらったか。
何度、ときめきをもらったか。
何度、この物語が光になったか。

数え切れないほど読み返して、数え切れないほどもらった感動は、今も私の心で温かく輝いています。

シルクがお洋服を素敵に生まれ変わらせるように、私も、その感動を何度だって丁寧に思い返して、時折磨いて光を戻して、これからも大切にしていきたいです。

記事の締めがてら、特にお気に入りの『なんでも魔女商会』シリーズの本を少しご紹介します。

ひとつは、『いちばん星のドレス』。

出来上がったドレスはもちろん、ナナの優しさが溢れているところも好きです。雪が降ると、私は必ずこのお話を思い出します。

もうひとつが、『おきゃくさまはオバケ!』。

オバケのお洋服まで自在にお直ししてしまうシルクの腕が、本当にすごい。これからもハロウィンの季節にもおすすめです。

最後は……迷いましたが、『にっこりおいしい大作戦』。

遊び心溢れるレストラン全体の「お直し」作戦に、当時ワクワクしながら読み進めた記憶があります。こんなレストランが本当にあったら行ってみたい。

「児童書」と聞くと「子供向け」と思いがちですが、私は「小さなお子さん“も”読める本」だと解釈しています。

色んな価値観に触れて、心も身体も大きく成長したからこそ、違う視点で、違う楽しみ方ができる。
ページを開けば、時も空間も越えて「あのとき」に想いを馳せることができる。

だから、私は、「本」という存在が、心の底から大好きです。

最後に、今回参加させていただいたメディアパルさんの企画の記事を。

素敵な企画を、ありがとうございました。

今回お借りした見出し画像は、かわいいミシンのイラストです。シルクが作中で使うのはアンティークの足踏みミシンですが、やっぱりメジャーなのは電動ミシン。『なんでも魔女商会』を読むと、縫い物がしたくなります。

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最後までお読みいただき、ありがとうございました。 私の記事が、皆さんの心にほんのひと欠片でも残っていたら、とても嬉しいです。 皆さんのもとにも、素敵なことがたくさん舞い込んで来ますように。