見出し画像

Instagramの歴史から紐解く機能の変遷とこれからの可能性

このカバー写真はInstagramで最も有名な投稿の1つです。何だかわかりますか?その答えは後ほど💡

月間アクティブアカウント数が10億を超えたInstagram(2019年10月実績なので自粛期間を経て大きく数は増えていると予想されます)。

ショッピング機能や複数名での同時ライブ配信、地図検索など、毎月どころか毎週さまざまな機能を拡充しています。このnoteではInstagramの成り立ち、Facebookにおける買収、そして創業者なき後目指す方向性について見ていきたいと思います。

9/18に出版予定の#インスタ本に掲載予定の内容でしたが、ページ数の関係でナシとなってしまったコンテンツです。25万文字から削りに削った320ページ、渾身の書籍となっていますのでInstagramでブランドの売上アップ、コミュニティ作りを行いたい方はぜひ!(初心者向けの内容にはなっていません笑)

本の内容を抜粋してニュースレターでもお届けしていきます。更新のタイミングでメールで届くため見逃しがありませんのでオススメです。


1.Instagramの誕生 (2010年〜2011年)

答え合わせ:Instagramで一番最初に投稿された歴史的な1枚📸 

Instagramの誕生は、創業者であるケビン・シストロムとマイク・リーガーが開発した前身のアプリ「Burbn(バーブン)」がきっかけです。

画像1

このアプリには、ユーザーが訪問した場所が分かる位置情報サービスやスケジュール管理などいくつもの機能が備わっていましたが、なかなかユーザーが定着せず、機能改善を考えていました。データをもとに着目したのが、「位置情報」機能ではなく「写真共有」機能の一番利用率が高かったことでした。

2010年、2人はわずか8週間でInstagramを開発しました。2010年10月にリリースして、たった2カ月でユーザー数が100万人を達成し、2011年6月には500万人を突破。破竹の勢いで登録人数を増やし、リリースから1年満たない2011年9月には1000万人に到達しました。

これだけ飛躍的な成長を遂げたのは、大きく3つの理由が考えられます。

画像4

1.フィルター
1つ目は、リリース当初からフィルター機能を搭載し、ポラロイドのような懐かしく風合いのある写真を投稿できたこと。これは、創業者のケビン・シストロムが大学卒業後、イタリア・フィレンツェで写真を学ぶために留学した経験が活かされています。

これにより当時の画質が悪いiPhoneでも、センスある写真を誰でも撮影することができ、これは多くのスマホユーザーに写真撮影の楽しさを気付かせるきっかけとなります。

2.マルチポスト
2つ目は、FacebookやTwitter、Tumblr(覚えていますか?w)などの他のSNSに画像を一括投稿できる機能が備わっていたことです。それまでは色々なSNSを使っていると、それぞれに都度同じ画像をアップロードしなければいけなかったので手間がかかっていました。

それがInstagramで投稿さえすれば、写真の仕上がりもよく、他のSNSに簡単にシェアできるので、写真シェアのハブツールとして便利になりました。

3.ソーシャル
3つ目は、リリース当初から他のユーザーの投稿に「いいね!」や「コメント」ができるソーシャル機能があったことです。

これが、他の写真加工サービスとは大きな差別化になっていて、後発のサービスにもかかわらず急成長できた要因だと思われます。ちなみに「ハッシュタグ機能」は2011年1月に追加され、限られたコミュニティでしか会話が生まれなかったInstagramがより開かれたプラットフォームへと進歩しました。

このソーシャル機能は非常に強烈でした。それは当時の数百万ユーザーを抱えるHipstamaticが消えた理由でもあります。

2010年のベストアプリにも選ばれるなど、Instagramローンチ前に写真加工アプリとして一世を風靡していたのが「Hipstamatic」です。フィルターも素晴らしく写真加工アプリの決定版と呼ばれていたプロダクトですが、あくまで加工を行うツールとなるアプリでした。そこに「ソーシャル」な機能を加えたInstagramが登場することで、その地位は一瞬で崩壊したのです。

この3つの要因が理由と一般的には言われていますが、個人的にはツイッター創業者のジャック・ドーシーの存在が大きかったと考えています。リリース前からケビン・シストロムを応援していた彼は、Instagramの初期の熱狂的なユーザーであり、ツイッターにいる100万人以上のフォロワーに向けてインスタグラムを積極的にシェアしていました。

こちらジャック・ドーシーの2012年4月にしたInstagram最後の有名な投稿。ジャックに相談なくFacebookに買収したことを残念に思いInstagramの利用をやめてしまいました。

もちろんプロダクト自体が素晴らしいのが前提ではありますが、このようなシリコンバレーの繋がりが、今のInstagramを作った大きな要因であるともいえるでしょう。

使ってくれる人数を増やそうとやっきになるのではなく、クリエイティブな人やデザイナーなど、フォロワーに口コミを広げてくれそうな人を選んで使ってもらった。投資家に対しては寡占性を売り込んだ。成功すると思う投資家などいないに等しい状態で、だ。ここは、洗練された雰囲気や趣を醸す高級ブランド的な戦略である。

サラ・フライヤー. インスタグラム:野望の果ての真実 (Japanese Edition) (Kindle の位置No.939-942). Kindle 版.

ケビン・シストロムはマーク・ザッカーバーグとも学生時代からの友人でありFacebookに誘われていたといいます、その後Twitter前身のOdeo(ジャックに非常に可愛がられていたみたいです)、Googleなどで働くなど、シリコンバレー内でのネットワークを従来からもっていたという点はInstagram成功の大きな要素を占めていたと感じます(もちろんプロダクトの素晴らしさは前提として)。

正式リリース前の2010年7月に投稿されたケビンシストロム自身の写真。


2.フェイスブックによる買収(2012年〜2014年)


2012年4月には、フェイスブック社がInstagramを10億ドルで買収を発表。当時は、月間アクティブユーザーは3000万人ほどで、社員もわずか13名、売上もほぼゼロの状態でした(当時旅行先のマレーシアの安宿でこのニュースを知ってまじでびっくりして声を上げて興奮したのを覚えていますw)。

2013年2月には月間アクティブユーザーが1億人を突破。日本語アカウントがリリースされたのは、2014年2月。

筆者は2013〜2016年の期間ネットショップ作成サービスを運営するBASE株式会社に在籍していましたが、BASEを利用するブランドオーナーさんは当時からInstagramを積極的に活用して売上を上げているのを目の当たりにしていました。アクセスが殺到するタイミングがあり、その流入元を探るとInstagramだったことが多々あったのです。

画像2

ブランドオーナーの方々はInstagram上で自分の作品の制作過程や着用の写真を日々シェアしてファン(フォロワー)を積み上げていました。

そうすると一定のエンゲージメント率が出てくるタイミングからからファンから「それ買いたい!」という声が上がってくるのです。

ブランドオーナーさんは、十分に熱量が高まってきたタイミングを見計らって「来週の木曜日の朝10時にショップをオープンしますのでぜひ来てくださいね」と具体的な販売日時を投稿するわけです。個人で作品作りをしている方ばかりなので、販売点数は多くありません。

そこで早いもの勝ちの心理が働いて商品は即完売し、購入できなかった人たちが溢れることで作品への希少性、限定性が高まりハンドメインド作品からブランドへと昇華される過程を何度もみてきました。

その内容をまとめたブログがありましたのでよかったらどうぞ。懐かしすぎる...

今では当たり前のストーリー機能もまだない時代、ネットショップへのリンクはプロフィールからのみしか貼り付けられませんでしたが、このようにInstagramでコミュニティを形成し、集客、売上へと繋げている方が多くいました。
 

3.マネタイズのフェーズに(2015年〜2018年)


2015年以降は、Instagramにさまざまなツールや機能が導入されていきました。「インスタ映え」という言葉がユーキャンの流行語大賞を獲得したのは2017年12月です。

なお、「インスタ映え」は日本で生まれ、英語に輸入された言葉である。服にせよサンドイッチにせよ、インスタ映えすればするほど、社会的あるいは商業的に成功する可能性が高くなる。

サラ・フライヤー. インスタグラム:野望の果ての真実 (Japanese Edition) (Kindle の位置No.269-271). Kindle 版.

この頃の特筆すべき点として、まずは2016年5月「プロアカウント(旧ビジネスプロフィール)」の導入です。これにより、Instagram上で広告を出稿できるようになりました。広告スタートからしばらくはケビン・シストロム自身が広告クリエイティブの管理を行っていたと言います。

シストロムは、インスタグラムの技術が成熟しているかどうかより、写真の質を気にする。そのせいで問題が起きることもある。広告が初めて掲載された日、マイケル・コースから苦情が入った。

腕時計は5時15分ではなく5時10分を指しているのでキャプションを編集したいのだが、それができないというのだ。実は、このころのインスタグラムでは、ユーザーがキャプションを編集することもできないし、インスタグラム側でユーザーのキャプションを書き換えることもできなかった。

だから、まちがいのまま放置するしかなかった。インスタグラムの初広告を報じた各社がまちがいに気づかなかったらしいのは、幸運だったと言えよう。

サラ・フライヤー. インスタグラム:野望の果ての真実 (Japanese Edition) (Kindle の位置No.2923-2925). Kindle 版.

さらに投稿へのリーチ数(投稿を見た数)やプロフィールへのアクセス数、フォロワーの性別や年齢、所在地なども確認できる分析ツール「インサイト」も利用できるようになり、ブランドはその運用改善が行えるようになりました。

特筆すべきは、Snapchatの対抗策として生み出された2016年8月での「ストーリーズ」機能の導入でしょう。

画像3

当時、Instagramはカメラマンやデザイナーなどのクリエイティブな人たちを支援するツールとして展開しており、おしゃれな写真やスタイリッシュな写真が大半を占めていました。そのため場所を選んだり、写真を作り込んだりする一般ユーザーも増え、多くのユーザーが気軽に投稿できなくなっていました。

そこで、投稿のハードルを下げるために、24時間で消える「ストーリーズ」を導入されたのです。実際、「ストーリーズ」機能が追加されたことで、これまでほとんど投稿しなかったようなユーザーの投稿回数が一気に増えたり、フォロワー(知り合い)に自分の素の部分を動画で共有するような鍵アカウントユーザーも増大しました。

DM機能の追加など、ストーリーズをフックに、ユーザー同士の密なつながりが生まれやすくなり、ロイヤルカスタマー(スーパーファン)を育てやすい土壌ができてきました。

実は当時、Facebookが何度もストーリーズ導入の失敗を繰り返していたことからケビン・シストロムはその導入には強く反対だったみたいです。Instagramは「食べかけのサンドイッチを投稿する場所じゃない」と。

「ストーリーズ機能を入れるつもりは一切ない。入れるべきじゃない。いや、入れちゃいけない。インスタグラムユーザーの使い方に合わない」とにべもない。スナップチャットとインスタグラムはまるで違う、我々は我々らしいやり方を考えなければならないというわけだ。

サラ・フライヤー. インスタグラム:野望の果ての真実 (Japanese Edition) (Kindle の位置No.4377-4380). Kindle 版.

その後、同年12月には投稿の「保存」機能の導入や、2017年3月にはストーリーズでの広告配信がスタート。この辺りから、発見タブの機能も充実し、若い世代を中心に「ハッシュタグ」で観光スポットや飲食店を探すことが当たり前になってきました。

「ググる」ではなく「タグる」という言葉が話題になり、テキスト情報からではなく、写真や動画からのビジュアル情報から検索する人が増えてきたのも、この頃からです。

その後InstagramとECサイトを連携できる「ショッピング機能」も導入。2018年にはストーリーズでも「ショッピング機能」が活用できるようになり、さらに1万人フォロワーを超えるとストーリーズからリンク機能を使って外部のサイトへ誘導できるなど、Instagramで収益(マネタイズ)が生み出せる環境が整ってきました。

また、動画コンテンツの投稿が増えてくるようになって、影響のあるユーチューバーやティックトックのインフルエンサーなどを取り込むために、2018年6月には長尺動画が投稿できる「IGTV」もリリースしたのも大きな動きといえます。

4.インターネットそのものを目指す(2019年〜)

※創業者2人が去った後のInstagramの責任者アダム・モッセーリ氏

Instagram創業者であるケビン・シストロムとマイク・クリーガーが2018年に同社を去った以降、プロダクトへのマーク・ザッカーバーグの意見が通りやすくなり収益化に繋がるビジネス向けの機能のアップデートが盛んでした。

2019年3月には、アメリカ国内23のブランドだけですが、Instagramのショッピング機能内で決済まで完了できるようになりました。

日本版インスタグラムのショッピング機能では、ユーザーはInstagramにある投稿写真から商品の詳細画面に行って、そこにある外部URLのボタンから自社のECサイト(またはモール型サイト)へ飛んで、注文する必要があります。

その都度、サイトごとにクレジット情報などを登録しなければならず、注文する前に、多くのユーザーは離脱してしまう可能性があります。それがInstagram内で決済まで行えるようになればコンバージョン率も上がり、CPA(顧客獲得単価)も抑えることができます。

間違いなく近い将来、日本のInstagramにも導入されるので、ショッピング機能をまだ未登録の企業は、この機会に登録をお勧めします。その他には、「ストーリーズ」広告にアンケート投票などインタラクティブな要素を追加できる機能が整備されたり、「発見タブ」の広告提供もスタートしました。

そして今、最も特筆すべきは2020年8月にリリースされた「リール」でしょう。Instagramも強くプッシュしており、リールで動画を投稿すれば、高確率でアカウント露出がされるボーナス時期もあったほどです。

画像6

リールボタンは画面の中央に配置されており、2021年8月下旬ごろからInstagramマーケティング界隈では「リール活用はマスト」と騒がれており、グロースには必須の機能となっています。

ストーリーズでSnapchatを打ち負かしたように、リールもTikTokの対抗策として最も使ってほしい機能であることは間違いありません。

今後Instagramのあらゆる画面で、リールのようなフルスクリーン動画再生を可能にしていくとのことで、ブランド側は縦型動画への対応はマストといえるでしょう。

また補足として同年には、商品やスポットなどのテーマでまとめコンテンツが作れる「ガイド」機能も導入されました。

今後Instagramは、1つは同アプリ内で商品の認知から購入決済までできるECプラットフォーム化を目指していくでしょう。

それともう1つは、検索機能の充実です。2021年3月には「地図検索機能」のテストが開始され、ハッシュタグで検索すると、Instagramのアプリ内でスポットの表示や現在地からの経路の確認なども行えるようになりました。弊社で展開しているアプリと全く同じ😅

画像5

さらに検索機能も大幅アップデートされ。これから複数キーワード検索に対応される予定ですので、将来的にはグーグルに代わってユーザーの全てのニーズに応えられるプラットホームとして活用される未来がそこまで来ています。

そして2021年7月、Instagram開発責任者のアダムモッセーリは今後クリエイター、動画、ショッピング、メッセージの4つを強化していくとアナウンスをしていました。特に動画の優先度上げていくと言います...リールは本当にマストですね!

「大切な人や大好きなことと、あなたを近づける」というミッションをベースとしながら、これら4つの軸で大きなアップデートはこれからも続くでしょう。

✅Instagramはリリース当初から写真の加工技術やシェア機能、ソーシャル機能が充実
✅ストーリーズが導入され、一気ユーザーの投稿が増大
✅「ショッピング機能」の導入やストーリーズからの外部URLへの誘導により、収益が生み出せる環境が整ってきた
✅ストーリーズをフックに、ユーザー同士の密なつながりが生まれやすくなり、ロイヤルカスタマーを育てやすい土壌ができた
✅今後購入決済サービスや複数キーワード検索などが追加され、グーグルやアマゾンと同等の機能が備わってくる

弊社では企業のInstagramマーケティング支援を一括で行っています。もしご興味ある方はこちらご覧になってみてください。


おまけ

最初に投稿された写真として有名なカバー写真ですが、ケビンシストロムのアカウントを遡るとそれよりも前に投稿されている写真が2枚ありました... 以前自分でも確認したときは確かに犬の写真が最も古かったのですが参考までに貼っておきますね。

投稿URL( https://www.instagram.com/p/M/ )がアルファベット一文字なのがエモすぎます...

現状見る限りでは犬ではなくこれが本当の最初の1枚です。これなんだろう...笑


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?