見出し画像

チューリップの季節に

 先日、桜を見に行ったら、花壇ではチューリップがきれいに咲いていました。


 そういえば、生まれ育った札幌の家には小さな庭があり、おそらく祖父が植えたらしいチューリップが、祖父が引っ越してしまってからも毎年花を咲かせていました。
 花はシンプルな卵型で、赤いのが大半でした。その中に、数本だけ黄色いのがあった気がします。
 球根を掘り上げて植え直す人がいないので、つまり植えっぱなしだったため、年々花が小さくなっていくようでした。
 それでも丈夫なもので、雪がとけたあとの湿った土からかわいい芽を出し、つぼみをつけてくれたのです。
 その家と庭は、いまはもうありません。

 祖父は私を随分かわいがってくれましたし、私も祖父が大好きでした。思えば、私の園芸好きは祖父の血かもしれませんね。

 美しい花壇に咲き競う、立派なチューリップも素敵です。けれども、わたしの中でチューリップといえば、実家の庭で毎年咲いていた素朴なあの花なのですよね…。
 懐かしくて、少し切なくなります。

この記事が参加している募集

ふるさとを語ろう

ありがとうございます。みなさまのサポートは、詩や文章を生み出すための糧として、大切に使わせていただきます。また、お仕事のご依頼はページ下部の「クリエイターへのお問い合わせ」からお願いします。キリスト教メディアの出演・執筆依頼も歓迎です。