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論点の階層について

コンサルタントの仕事をする上で、避けずに通れないのが「論点」という単語です。実際、「論点」とは色々な意味・文脈で使われますし、コンサルティングの仕事をしていると最も使用頻度が高い単語の一つでしょう。だからこそ、この「論点」という言葉について考察をしてみたいと常々考えていました。以下にその一端をご紹介します。

(そもそも)論点とは何か

私の解釈では、所謂、コンサルティングの現場で使われている「論点」は「論点仮説」を短縮したものである、と捉えています。但し、これだけではまだ定義として広く、正確ではない。「論点」とは、英語でいえば「Key Question(つまり、「問い・質問)」・「Agenda(アジェンダ、目次)」・「Theme(テーマ)」です。論点という便利な日本語は、この「問い」・「アジェンダ」・「テーマ」という異なる概念を併せ持つマジックワードなんですね。なので、人によって用法が結構異なります。

ちなみに私が現時点で最もしっくり来ている定義は、以下です。
「答えると面白くなりそうな (クライアントに受けそう、価値を感じてくれそう) で、答えが出そう」な問いです。

論点の階層(レイヤー)ってなんなのさ

こんなことを日々考えながら、「論点(仮説)」を日々考えたりするわけですが、上記の定義で仕事をしているとなかなかに困ることがあります。
それは、相手によって論点のレイヤーが全然違う、ということです。
(下図参照)

例えば、社長と話をするときは、当然ながらレイヤー1が論点になります。重要な投資の意思決定や、経営資源(ヒト・モノ・カネ)の配分など多岐に渡りますがこの階層が最も企業や組織に対して大きな影響力のある論点を取り扱うレイヤーになります。

一方で、レイヤー2/3はどうでしょうか。実は、この階層が最も複雑で、人間味に溢れ、且つ企業・組織にとって重要な領域だったりします。如何にレイヤー1で綺麗な戦略を描けたとしても、レイヤー2/3が実行出来なければ1円の価値もないからです。従って、コンサルティング業界がレイヤー1だけでなく、2/3に進出しているのは全く必然というべきでしょう。

論点の階層って、何か知っていい事あるの?

論点の階層については、優れたコンサルタントは色んな階層を行ったり来たり出来る力を持っているのかもしれません
(或いは、ハンターハンターみたいに、最上階=レイヤー1まで行けた人が偉い、という話かもしれません)。

私見ですが、論点の階層を2階層以上行ったり来たり出来ることは組織の経営や戦略に携わる上で必須のスキルだと考えています。特に、ミドルが強い日本企業では最上位の戦略レイヤーだけを話していても絵に描いた餅ですし、逆に現場だけを見ているといつまでたっても「出来ること・出来そうなこと」しかやれません。従って、「論点の階層」を行き来できる「想像力」こそが論点の最重要スキルだと思うのです。

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