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#1 アニメ制作にかける想い

はじめまして。

このページを開いていただき、ありがとうございます。

沼田心之介(ぬまぴー)と申します。

アニメ制作を生業としております。

このnoteではアニメに関する情報や制作の裏話、体験談を綴っていきたいと思います。

今回は、はじめましてと言うことで、簡単な自己紹介とアニメ制作にかける想いみたいなものをまとめたいと思います。

僕は物心ついた時からアニメに囲まれた生活でした。それは、決してアニメばかり見ていたというわけではなく、父がアニメ制作をしていたのです。

家には、今となっては貴重なセル画があったり、アフレコ台本などが転がっていました。ちなみに子供の頃ナレーションの仕事をしたこともあったりします。

そして、僕が一番好きなアニメは杉井ギサブロー監督の「タッチ」なのですが、そのタッチも父が所属していたグループ・タックというアニメ制作会社が作っていました。

僕が今所属している株式会社トマソンはそんな父がグループ・タックから独立して作った会社なんです。

社名のトマソンの意味は、ご存知の方もいらっしゃると思いますが、作家で芸術家の赤瀬川原平さんが提唱された芸術上の概念です。

役に立たない、無駄なもの、「無用の長物」って意味なんです。

しかも、創立日は仏滅のエイプリルフールとふざけたような会社ですが、今年で30周年と年月だけは中々の老舗です(笑)

トマソンでは、日本の昔ばなしをはじめ子供向けコンテンツを中心に作っているんですけど、子供向けって一言で言っても奥が深いんです。もちろん対象年齢によっても作り方が全然違ってきますし、単にワーキャー騒ぐだけじゃなく、教育的な要素や知的好奇心を刺激する必要があります。

でも、あまり教育的な要素に偏ってしまうと娯楽性がなくなってつまらくなってしまう、知的好奇心を追求しすぎると専門的になったり難しくなってしまう。そのあたりのバランスがとても難しいんです。

大人が作る子供番組なので、子供はこうだと決めつけると痛い目に合います。

また、観ていただくのは子供だけじゃなくて家族全員が見ることも多いから、結構シビアなご指摘をいただくこともあったりします。

以前、日本の昔ばなしの中で、自己犠牲をテーマで描いた作品を描いたことがあって、最後お父さんの為に川に飛び込んでしまうというものなのですが、日曜の朝からなぜこんな悲惨な話を見なきゃいけないのか?子供が怖がってトラウマになる等々のご指摘をたくさんいただきました。

これはテレビ放送の自主規制問題とも絡んでくるので、少しズレてしまいますが、とにかく娯楽と教訓と刺激のバランスが大切ってことで、それが非常に難しいのです。

アニメって実写じゃないから極端な話し何でも表現ができちゃう、それがアニメの最大の魅力なんですけど、だからこそ細心の注意も必要です。

ありきたりの映像やストーリーでは人は満足しない、でもエッジをきかせすぎたり、過激な表現が入るとクレームがくる。

でもそこを気にしすぎることで、面白みのないコンテンツが出来上がってしまったらみなさんには満足してもらえないし、自分自身の存在価値もなくなってしまう。

制作するアニメや僕自身が無用の長物(トマソン )にならないように日々ギリギリのラインで自分と戦ってます。

アニメ業界に身を置いて約10年、今はプロデューサーや監督という立場で携わらせてもらってますが、特にシリーズのアニメは決して1人じゃ作れません。本当にそれぞれのポジションのプロフェッショナルが力を発揮して1つの作品を仕上げていきます。

みんなが一つのゴールを目指し共同作業した賜物として、世に作品を送り出す。そして、最後に見る人がいて、作品は完成します。こんな刺激的で面白いことはありません。

中には、批判やご意見をもらうこともあると思います。どんな批判を受けたとしてもそのことを糧にもっと良いものを世の中に届けたい!という心意気を忘れずに新しい作品を作っていきますので、応援よろしくおねがいします。

#アニメ #トマソン #監督 #お仕事紹介

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