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【詩】ならわし

半島に暗い影をおとすばかりの習慣を
改める姿勢が足りなかったのを反芻する
からだに染み付いた祈りを捧げ
十一月の晦(つごもり)にチキンライスを食べる

木造家屋が冷気を纏うのは
よからぬものを近づけさせないため

ふすまはきちんと閉めなさい
滞る暖気の隙間をぬって
魔が差すから
ならわしに従い黙って飯を食う日
おんなは炊事をしてはならない

伯父には幼いむすめがいた
晦に
妻の代わり台所に立っていた最中のこと
北東から迷鳥の鳴き声が聞こえてきた
冷たい空気をさらに冷たくするような
金切り声に
むすめは台所へ飛び込んできてしまった
そのとき憑かれてしまったのだろう

繰り返し食べ物を口に運ぶ
カチカチと食器が立てる音だけが響く
色褪せない信仰心が
開けることない窓辺に宿る


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     写真お借りいたしました
       ありがとうございます

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(ちょっとだけ解説)

 晦(つごもり)は、ひと月の最後の日になり
ますが、住んでいます地域によりまして習慣
というのは存在します。昔からの信仰心であ
りましたり、受け継がれる伝統的な習わし、
また、ご家庭独自のものでしたり・・・

 作品はまったくの作り話です。すこし怖い
方向へ傾いてしまいましたが、フィクション
です。憑かれてしまった「むすめ」も私の頭
の中だけのものです。

 読んでくださいまして、ありがとうござい
ました。

 
 

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