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「紙業界」の脱炭素の取り組みなど #超入門カーボンニュートラル に学ぶ8

本記事は、ESG/SDGs/CSVに関しての個人的な学びのアウトプットです。

以前に、「ESG思考/夫馬 賢治」を読んで非常に勉強になりました(まとめ記事①まとめ記事②まとめ記事③)。ということで、同氏の「超入門カーボンニュートラル/夫馬 賢治」も読み始めました。

「第5章 カーボンニュートラル政策による各産業への影響」からの学びをまとめたいと思います。以下の13の切り口でまとめられています。今回は、「8. 紙・パルプ」についてまとめてみました。といっても今回は、自分調べ多めです。

1. 電力:全電力をまかなえるほどの洋上風力発電ポテンシャル 
こちらの記事(まとめ記事④)でまとめました!
2. 交通・運輸:EV化の流れは止まらず
3. ICT産業:AI活用でデータセンター電力消費量を40%削減
>2-3は、こちらの記事(まとめ記事⑤)にまとめました
4. 鉄鋼:製鉄大手でも水素と電炉へ
5. 非鉄金属:資源サイクルの課題克服がカギ
>4-5は、こちらの記事(まとめ記事⑥)にまとめました
6. 石油化学:進むケミカルリサイクル
7. セメント:CO2排出量を70%削減するコンクリート生産法
>6-7は、こちらの記事(まとめ記事7)にまとめました
8. 紙・パルプ:他素材から紙製へのシフト
9. 冷媒:代替フロンからノンフロンへ
10. 建物・不動産:超高層でも鉄筋コンクリート造から木造へ
11. 食品・農業:食料増産の難易度が上がる時代にできること
12. ライフスタイル:サーキュラーエコノミーでの行動変革
13. 製品ライフサイクルアセスメント

上記の切り口は、経産省が2021年6月18日に策定した「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン戦略」で成長が期待される14分野、として提示されているものとは少し異なる切り口となっています。

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出典:2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン戦略

8. 紙・パルプ:他素材から紙製へのシフト

製造工程の熱のカーボンニュートラル化が必要。一方で、ストローやペットボトルなどのプラから紙製へのシフトはニーズ。パルプ需要増加に対して、原料となる森林資源の維持及び増加が伴っているかが重要。

といったことが書籍の中では書かれていました。私は大学では、林学周辺をやっていて(プロフィール参照)、学部的には、製紙業界に行く方も多かったなぁ。ということで、心理的にはなんとなく距離感近く感じる製紙業界。

国民一人当たりの紙使用量の各国比較

紙というと、オフィスなどでのペーパーレス化、電子書籍など進んでいますが、紙の利用量をちょっと調べてみました

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出典:日本製紙連合会HPより

左側のグラフが2009年を100としたときの2019年の紙・板紙(段ボール)の一人当たり使用量。意外にあまり減っていない。また、一人あたりの使用量は諸外国に比べて特に特徴はないんですね。

これは、段ボールがはいっているので、通販の利用はめちゃめちゃ増えているはずなので、段ボールの使用の割合が内訳として増えているんじゃないかと思いました。

古紙回収率と利用率の日・米・独・中の比較

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出典:日本製紙連合会HPより

同じ日本製紙連合会のHPに、古紙回収率と利用率についてもまとめられていました。ドイツについで率が高いんですね。ただ、古紙の利用率が少し少ないのが気になります。

日本の製紙業界のカーボンニュートラル行動計画

2021年度カーボンニュートラル行動計画」という資料もありました。そこに、国内での生産量、エネルギー源について推移があり、直近の2年、生産量の減少に加速がかかっているように見えます。

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「へぇ〜」っと思ったのが以下で、製紙業界では、パルプの製造工程で出る黒液で30%ものエネルギーとなっているんですね。

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植林についても書かれていました。減少傾向にありますが、業界として年間50万haの植林を行っていました。

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以前まとめた以下によれば、世界には9億haの追加植林が可能らしいです。上記のスライドにもあるように植林適地が減っているということなので、植林の拡大には、土壌など環境の改善や品種改良なども必要なのかもしれないですね。

国内の紙の種類別生産量の推移

あと、途中で気になっていた、紙の生産量の内訳を見つけました

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出典:日本製紙連合 2021年 紙・板紙内需試算報告

グラフィック、新聞、塗工印刷用紙などが減少が続く一方、パッケージング、段ボール、白板紙などは横ばい。衛生用紙に関しては微増を続けています。

やっぱり、ECの増加か?と思いましたが段ボールのところのレポートの中身をみると以下のようにあります。

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「通販・宅配向けは簡易包装化が懸念される」とありました。B2Bでの段ボールでの輸送がメインなのかもしれないですね。

あとは、ちょっと国内の林業についても調べておきたいところですが、そこは「10. 建物・不動産:超高層でも鉄筋コンクリート造から木造へ」をまとめるところに取っておこうと思います。

フィンランド「メッツァ社」の非化石燃料パルプ製造

三井物産による「欧州が主導するバイオエコノミー政策と世界的なイノベーションの動き」というレポートに面白いことが書いてありました。太字は篠崎によるものです。

国土の7割が森林のフィンランドは林業、パルプ・製紙産業の、発展を
中心としたバイオエコノミー戦略を策定しており、2000年代のIT化で苦境に陥ったパルプ・製紙産業の、持続可能な素材産業への発展を図っている。2017年にはMetsä Groupが、化石燃料を一切使用しない次世代のバイオ製品施設を開設した。同国の林業史上最大の投資額となる12億ユーロを投じ、それまでの施設を刷新してパルプ生産能力を50万トンから130万トンに増大した

カーボンニュートラルなパルプ生産技術が開発されているようです。2020年の日本全体の紙生産量が約2000万トンなので、パルプ生産能力130万トンってすごそう。生産コストがどうなのかは言及されていませんが、再生紙であるだけでなく、こういった要素も今後競争力の源泉になっていくのかもしれません。

おわりに

今回は「超入門カーボンニュートラル/夫馬 賢治」から「第5章 カーボンニュートラル政策による各産業への影響」の中で紙業界について色々調べたことをまとめてみました。

このほか、当方のESG/SDGs/CSV関連の記事は以下のマガジンにまとめていますので、もしよかったらのぞいてみてください。またフォローや記事への「スキ」をしてもらえると励みになります。

ということで「形のあるアウトプットを出す、を習慣化する」を目標に更新していきます。よろしくお願いします。

しのジャッキーでした。

Twitter: shinojackie

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