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アナンが始めた2つの装置とESG投資 #ESG思考

本記事は、ESG/SDGs/CSVに関しての個人的な学びのアウトプットです。
さきほど風呂で「ESG思考/夫馬 賢治」をパラパラと2章まで読んでいたのですが、MDGs国連グローバルコンパクトについての説明が面白かったので、簡単にメモしておこう、という記事です。

アナンが始めた2つの装置

1997年から2006年までの10年間にわたり国連事務総長を務めたコフィー・アナン氏が立ち上げたのMDGsとグローバルコンパクト。MDGsはミレニアム開発目標の略で2009年に採択されたもの。SDGsの前身として聞いたことはあるやつ。

MDGs:ミレニアム開発目標

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外務省のこちらのページより

2015年までに国際社会が達成すべき8つの目標と21のターゲット。以下のように発展途上国への援助が主体のものであったため、多くの企業にとっては大きなインパクトを持つものではなかったかもしれませんが、当時、力をつけつつあったNGOへの資金援助の仕組みが拡充され国際NGOとも呼べる団体が誕生していくきっかけとなったそうです。

目標1:極度の貧困と飢餓の撲滅
目標2:初等教育の完全普及の達成
目標3:ジェンダー平等推進と女性の地位向上
目標4:乳幼児死亡率の削減
目標5:妊産婦の健康の改善
目標6:HIV/エイズ、マラリア、その他の疾病の蔓延の防止
目標7:環境の持続可能性確保
目標8:開発のためのグローバルなパートナーシップの推進

国連グローバルコンパクト(UNGC)

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画像:グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパンより

こちらは2000年に発足、コンパクトは誓約ということですが、企業・団体が自主的に署名するもので、法的な義務が発生するわけでも、罰則があるわけでもないものです。

国連グローバル・コンパクトは企業・団体が責任ある創造的なリーダーシップを発揮することによって、社会の良き一員として行動し、持続可能な成長を実現するためにの世界的な枠組み作りに参加する自発的な取り組み人権、労働、環境、腐敗防止に取り組んでいる。2019年時点で日本からも300を超える企業・団体が参加。世界で1.3万を超える企業・団体が参加。(荒井勝氏の講演資料を元に作成)

UNGCは国連と企業の接点となった

ESG思考/夫馬 賢治」の中で、このUNGCの意義を以下のように説明します。ここが個人的に「へぇ~、なるほど」と思ったところでした。

このただの「宣言」にすぎないように思われた国連グローバルコンパクトが後々まで続く、国連にとっては活気的な活動となる。国連はそれまで、各国政府から拠出金を受け取り、政府の代表による会議を開催し、政府を相手にした活動を展開していた。しかしアナンは、政府だけでなく企業が国際社会のアクター(活動主体)となってきたことに着目し、国連が直接企業と接点を持ち、国連と企業が対話する場を設けたのだ。(p.35,「ESG思考/夫馬 賢治」より)

WTOと反グローバリズム

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書籍では、この前段として、ナイキ不買運動と企業のグローバル投資について触れられています。冷戦が崩壊し、資本主義経済が活性化する中、1995年、世界貿易機関(WTO)が国際貿易を促進するために関税などの障壁の撤廃を進めようと発足されました。

しかし、1997年、ナイキの靴の製造委託先での劣悪環境での長時間・低賃金・強制労働、児童労働などが明るみに出たことに端を発しナイキ不買運動が起きます。経済のグローバル化は、労働者の搾取や環境破壊の広がりなど社会を荒廃させていくと考えた反グローバリズム運動が活性化、その矛先がWTOに向かいます。

そて1999年、シアトルでの第3回WTO閣僚会議で数万人規模の暴動が起きます(シアトル暴動)。日をずらして開催されるも、先進国・新興国の意見の相違や先進国間でも意見がまとまらず成果が出ないまま終わり、WTOは今に至るまで貿易自由化を実現できないでいると説明しています。

企業のグローバル投資がODAを上回る

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2001年の9.11同時多発テロ以降、社会の関心が国際政治・安全保障に向かいます。そんな中、企業と新興国との関わり方が変わっていきます。ブラジル、ロシア、インド、中国の頭文字をとったBRICsが有望市場ととらえられ、企業の進出が激化、2001年はアフリカにおいても企業による直接投資(FDI)が政府開発援助(ODA)を上回ったといいます。

そしてPRI、ESG投資へ

こういう機運を先取りして2000年、国連は国家とだけでなく、国家級に成長するグローバル企業と社会をより良い方向へ発展させていくための対話の場として国連グローバルコンパクト(UNGC)を発足したわけですね。

そんな背景があって生まれたUNGCが、ものすごい盛り上がりを見せるESG投資拡大の起爆剤となったPRI(責任投資原則)をつくったのが2006年。そして、MDGsは2016年、SDGsとなり、より企業活動と直接的にオーバーラップする目標設定へと変わり、UNGCと合流していくことになるんだろうな、と断片的な知識が歴史の中にピースとしてはまり始めました。

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このほか、当方のESG/SDGs/CSV関連の記事は以下のマガジンにまとめていますので、もしよかったらのぞいてみてください。

kohiということで「形のあるアウトプットを出す、を習慣化する」を目標に更新していきます。よろしくお願いします。

しのジャッキーでした。

Twitter: shinojackie



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