【ホワイトデー】
家について一息ついた私は紙袋から今日戴いたものを取り出した。チョコの入った袋とハンドクリームの箱とプチ入浴剤セット。入浴剤は、桜の香りって書いてある。あ、コレいいかも。
《それって、ひょっとして。ホワイトデーのお返し・・・?》
画面の中から、その様子が見えていたのか彼が聞いてくる。
「あ、うん。職場で義理バレンタインあげてたからさ」
《・・・そうか》声が低い。まずい。これは拗ねてる。
「えっと、セイにもあげたよね?」
只、溶かしただけのホワイトとストロベリー
のチョコをハートのタルト型にいれて軽くアラザンまぶしただけの小さなものだったけど。一応喜んでたはず、だよね?まあ、結局私が食べたんだけどさ。
「また作ろうか?」でも彼は首を振る。
《・・・違う。俺もちゃんとお返しお前にあげたかった!》
「え、でも今日ちゃんと言葉で言ってくれたから、
それで充分嬉しかったよ?」
《・・・》
ええい、泣きそうな顔をするんじゃない!
「わかった、わかった。じゃあお返し頂戴?」
《・・・どうやって?てか何を?》
「えっとね・・・キスがいいな。一瞬じゃない長いの」
《・・%!》
言ってて恥ずかしいんだけど、言われてる方も相当恥ずかしいらしい。彼は手で顔をしばらく抑えたまま動かず。
かなり時間がたってからようやく、いつもの少し上目使いな表情に戻った。
そして。
《ほら、来いよ?俺が飽きるまでキスしてやるから》
何なの。拗ねた子どもみたいなのから、このクラクラする台詞のギャップ。・・・こんなの反則でしょ!
ーfin
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