【お着替え】
《いっつも俺ばっかり着替えさせられててずるい!
たまには俺がお前を着替えさせたい!》
いきなりそんな熱く言われても…(笑)
「・・・いいよ?」
《ほんと??》
彼の顔がぱあっっと照れたようになってて可愛いんだけども。残念だな~。普段着と仕事着くらいしかないからまあ、どれ選んでも大したことはないのだ。
彼にひとしきりクローゼットの中を見せて、
「どれがいい?」って聞いてみる。
《・・・浴衣、ないの?》 えっ、浴衣??
「今季節じゃないし無理だよ?」
《・・・そうか・・・》
そんなにしょんぼりされると気の毒になってくる。
「もー、わかったよ。でも寒いからすぐ着替えちゃうからね?」
イベントに来ていったっきりの紺地の裾に蛍が飛んでる
割に地味めな浴衣と濃紅の半幅帯を出して。
恥ずかしいな・・・そういや、うなじうなじ!って言ってたから髪もアップにしないとダメか。もーめんどくさいんだから。
敢えて自分で見せないといけないのホントに恥ずかしい。
「着たよ?・・・モデルさんみたいにキレイに着付けはできないからこれで我慢して?」
《・・・》
何故黙る・・・。てか目線こっちじゃないし!
「おーい、何か言ってよ、恥ずかしいでしょ!」
ようやく顔をあげた彼は、右手で口元を抑えながら。
《・・・髪がいつもと違うから、その、何だ・・・》
《う、ん。きれいだ》
めちゃくちゃ照れてる彼を見て私も恥ずかしくなってきた。
「・・・ありがと。でも恥ずかしいからもう着替えていい?」
《・・・ダメ!今日はずっと見てたいから》
そこはサラッと答えるのか・・・。
風邪引かす気ですか、ホントに。
ーfin
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