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投球時 胸の張り・肩最大外旋に必要な身体の動き

投球時の加速期(アクセラレーション期)に胸が張り肩関節の最大外旋がおこなわれ肩関節が180°程外旋しているように見えます。

加速期 肩最大外旋

実際には肩関節は約110°ほどしか外旋はしていません!なぜ?180°外旋しているように見えるかというと身体の様々な関節が動いて複合で180°の動きをしてるからです。
今回はこの動きができなくなる原因を書いていきます。

各関節がどのくらい動いているのか?

全ておおよその数値です
肩関節外旋   110°
胸椎・胸郭伸展 15°
肩甲骨後傾   15°
肘や前腕の回旋 20°
その他     20°

肩関節自体は最大でも115°程までしか外旋はしません。それを超える外旋をしてしまうと可動域の限界を超えた動きになるので靭帯などの組織を壊してしまいます。そのため、胸椎・胸郭や肩甲骨の後傾などの動きが大切になります。
複合的に180°に動きが必要になるために上に挙げた関節の可動域の低下や動作不良をおこすと肩や肘が足りない可動域を補う動きをするために限界を超えた動きをしてしまい肩や肘の故障につながります。

身体の様々な関節が作用する

関節可動域の低下や動作不良を起こす原因

主に関節の可動域の低下する原因を書きます

肩関節

単純なのが肩後方疲労によるタイトネスで肩外旋可動域が低下です。そして動作不良により肘が下がることにより肩の外旋運動が十分にできなくなってしまうことが多くの原因になります。厳密には肘が下がることにより肩の外旋ではなく肩甲骨の後傾が十分にできなくなり肩の外旋が結果的に少なくなってしまいます。肩の外旋運動には肩甲骨の後傾運動が含まれる複合的な運動になります。肩関節の外転角度が80°以下(肘が下がる)になると肩甲骨後傾運動が制限されてしまいます。

肘が上がった状態
肘が下がった状態

胸椎・胸郭・肩甲骨

フォーム不良などの身体の使い方ができていない事が多いですが今回はそれと同じくらい多い可動域の不足について書きます。単純に身体が硬い選手が多いのですが同じくらいにズバリ猫背!に普段の姿勢になっている為に可動域の低下や動作不良を起こしている選手が多いです。

胸椎伸展・肩甲骨後傾が必要

猫背になってしまうと投球に必要なすべて動きが阻害されてしまうと言っても過言ではありません!!
まず胸椎・胸郭・肩甲骨に必要な動きの反対の姿勢になってしまいます。

肩甲骨前傾 胸椎屈曲

背中が丸くなり肩甲骨前傾が前傾して胸椎が屈曲してしまうので本来必要な胸椎の伸展や肩甲骨後傾の可動域や動きが制限されてしまいます。普段から猫背になっている選手に投球の時だけ胸を張る動きや胸椎伸展・肩甲骨後傾の動きをしろと言っても無理です。
そして次に繋がりますが猫背になると肩最大外旋時に必要な「胸の張り」ができなくなります。

胸を張る

始めに書きました投球時の加速期(アクセラレーション期)に胸が張り肩関節の最大外旋がおこなわれ肩関節が180°程外旋しているように見えます。
この時に「胸を張る」動作が重要になります。これができないと全ての可動域の不足に陥ってしまいます。

猫背になると胸を張るとは逆の動きになってしまう

猫背になると肩甲骨が脊柱から外側に開き肩が前方に巻きます。そして肩甲骨が前傾して背中が丸くなり脊柱が屈曲位になります。

肩甲骨が開く


肩甲骨前傾・肩前方偏位・胸椎屈曲

そのため胸を張る為の可動域が低下+普段から胸椎伸展や肩甲骨後傾の動きをしていないために動作不良を起こしてしまいます。それと胸を張る為には肩甲骨を脊柱に寄せる必要がありますが肩甲骨が外に開いている為に肩甲骨を寄せる事が上手くできなくなってしまいます。

骨盤の前傾が必要

投球時に「胸を張る」際には骨盤が前傾している必要があります。
骨盤が前傾することにより腰椎が前方に入り腰椎の前彎を作り胸椎の伸展に繋がります。

骨盤の前傾により腰が入る

しかし骨盤が後傾してしまうと腰が丸くなり背中も丸くなってしまいます。

骨盤が後傾すると腰や背中が丸くなる

姿勢の話に戻ると猫背になると骨盤が後傾してしまうために骨盤の前傾が作れなくなってしまいます。

股・足関節が硬い為に骨盤の前傾が作れない選手が多い

加速期(アクセラレーション期)右投手です。左足に体重移動をしていく時に股関節や足関節が硬くて可動域がないために左股関節や足関節に体重を乗せることができずに骨盤が後傾してしまう選手が多いです。
十分な投球動作をする時には最低限の股関節と足関節の可動域が必要になります。下記の2つの動作ができる事が必要になります。
1.両足をそろえて踵が浮かないようにして下までしゃがむ
2.膝を胸に着くまで抱える。反対の股関節や膝は伸展させる

この2つができないと下の画像の左股関節屈曲と右股関節の伸展が十分にできなくなります。

胸を張る為には骨盤を前傾させる必要があり骨盤を前傾させるためには左股関節屈曲と右股関節伸展が十分にできている必要があります。
そのため足・股関節の可動域を十分に確保する必要があります。
フォーム不良によりできない選手も多いですが別の機会にさせていただきます。

胸を張る・肩を最大外旋させるためには様々な要素が必要になります。今回で書ききれない事もたくさんありますが参考にしてみてください

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