2006年に入塾した東京国際仏教塾は、
やたらとレポートの提出が求められた。

まず橋本治の「宗教なんかこわくない」の感想文、
その後も、座学の授業を受けるたび、
合宿に参加するたび、
専門課程を修了したら、、、と
1年間で10本のレポートを提出した。

当時の自宅近くの目黒区立八雲図書館で、
レポートを書くための資料を探していると、
まるで僕が来るのを待ってたかのように、
本棚の「アンベードカルの生涯」が目に入ってきた。

アンベードカルのことは、
大学1年のゼミで、
上原淳道(ただみち)先生がご推薦された
荒松雄「三人のインド人」を読み、
一番好印象っだったので覚えていたが、
実に30年ぶりの再会だった。

アンベードカルは、不可触選民(アウトカースト)出身でありながら、
インド共和国の初代ネルー内閣で、法務大臣をつとめ、
インド憲法を起草したほど有能な人だった。

「不可触民はヒンズー教のもとでは自由になれない」と考え、
アンベードカルは1956年に亡くなる直前、仏教に改宗した。

その年は、アンベードカルの集団改宗から満50年。
検索エンジンを使って探してみると、
ティルパティという町にある大学のアンベードカル研究所が、
翌年3月頭に学会を開くという。

インド研究者の友人に相談すると、
「僕もまだ行ったことがないけれど、
ティルパティは聖地ティルマラの門前町で、
インド最大の聖地。行く価値あり！」
と太鼓判を押してくれた。 

この一年間の仏教塾の仕上げとして、
僕はこの学会に予稿論文を提出したのだった。

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