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行動指針はシンプルがいい~ブリーフセラピーからの学び~

自分自身の行動指針ってありますか?
 

迷った時や問題に直面した時、このような行動を取ろうという自分のルール。
 
私たちは生きていますと、うまくいかないことや問題にぶち当たることがあります。
そのような時に自分の行動指針を持っていると、解決に向けて進むことができます。
 
人生哲学と言うと大げさですが、自分のルール。
 
そのような行動指針は、複雑なものよりもシンプルな方が良いです。
この世界は、実はシンプルだけど自分でそれを複雑に考えて、問題解決を難しくしてしまいがちです。
 
今回紹介したいのは、ある心理療法の中心哲学。
様々な流派の心理療法があり、それぞれには哲学があります。
 
その中でブリーフセラピーの中心哲学と呼ばれるものが、とてもシンプルです。
しかも、心理臨床だけではなく、生きていく際の行動指針としても使えると思うのです。
 
問題や迷いに対して取るべき行動の拠り所として参考になればと思います。




ブリーフセラピーについて、まず簡単に紹介します。
 
「短期療法」と訳されます。
ブリーフというのは、「短い」という意味です。
 
ブリーフセラピー以前に主流だった心理療法は、クライエントの「問題」に焦点を当てて、掘り下げて解明していくというアプローチでした。
 
精神分析療法がその代表例。
「問題」を解明していくために面接を何度も重ねるため、治療には時間がかかるという難点もありました。
 
そこで新たに登場したのがブリーフセラピー。
 
クライエントの「問題」ではなく「解決」に焦点を当てたアプローチをします。
そのことにより短期間で効果を感じられる心理療法として広まっていきました。
 
ブリーフセラピーの中に「解決志向アプローチ」という手法があります。
 
その解決志向アプローチには中心哲学と呼ばれる基本の考え方があります。
解決に向けてクライエントが取るべき行動を考える際の指針です。
またカウンセラーがケースマネジメント(クライエントの状況の理解・介入)する際の指針でもあります。
 
解決志向アプローチでは、一番上に柱となるこの中心哲学があります。
その下に「発想の前提」と呼ばれる4つの考え方があります。
そして、その下に実践で用いる具体的なテクニックがあるのです。
 
解決志向アプローチは、机上の理論(仮説)から生まれた方法論ではありません。
開発者たちが数多くの事例を積み重ねる中で、うまくいった時のパターンを抽出して理論にしたのです。
 
実践から生まれ効果を確認された方法論。
そして、その中心となる哲学は、なんともシンプルでした。
 
シンプルなものに本質あり。
 
 
解決志向アプローチの中心哲学は3つのルールから成ります。
 
中心哲学―3つのルール―
ルール1 もしうまくいっているのなら、変えようとするな。
ルール2 もし一度やって、うまくいったのなら、またそれをせよ。
ルール3 もしうまくいっていないのであれば、違うことをせよ。
 
どうですか、シンプルじゃないですか?
 
シンプルだからこそ、実践しやすいのです。
 
それなのに私たちはしばしばこのルールに背いて動いてしまいがちです。
何か問題が起こっている時とは、3つのルールのどれかに反している時だとも言えます。
 
ルールの説明、および、心理臨床ではなく日常場面の例を示します。
 
 
ルール1 もしうまくいっているのなら、変えようとするな。
 
迷いがあると、今までうまくいっていたことをやめて、新しい方法を探そうとしてしまいます。
それがルール違反。
 
上司との関係がうまくいかなくて悩んでいるという例。
 
あれこれ対応を変えて試みようとするかもしれません。
しかし、いろいろ試して今のコミュニケーションの取り方が比較的うまくいっているのなら、変えずに続けるのです。
 
 
ルール2 もし一度やって、うまくいったのなら、またそれをせよ。
 
解決志向アプローチでは、物事が一度も全くうまくいかないということはない、と考えます。
一度くらいはうまくいったことが必ずあると。
 
「例外」探しと呼びます。
 
私たちはうまくいったことがあるのに、それに気づかない、まぐれだ、ロジカルじゃないし、といった理由で繰り返さないことがあります。
 
せっかくうまくいったのにもったいないです。
「例外」をなんとか見つけて、またそれをやってみるのです。
 
上司との関係はいつも最悪だと思っているかもしれません。
でも必ず小さなことでも良いからうまくいった時があるので、そのことを思い出します。
そして、その時にやったことをまたやってみるのです。
 
 
ルール3 もしうまくいっていないのであれば、違うことをせよ。
 
うまくいっていないのにやり方を変えないということがあります。
これではだめだとわかっている場合もあるのに。
 
それまでの努力を水の泡にしたくない、迷いたくない、などの理由のためにそのやり方にしがみつきます。
 
思い切って違うことをしてみるのです。
小さなことでもかまいません。
 
上司とうまくいっていないのなら、小さくていいので、行動やコミュニケーションを変えてみるのです。
 
 
シンプルだけど、この中心哲学の3つのルールはとても大切です。
 
迷った時や問題に当たった時の行動指針。
人生を幸せに生きるための3つのコツとも言えます。
 
 
私も最近、この哲学にのっとって、自分の行動を改善しようと思ったことがあります。
 
血行が良くないのです。
冷え性で手足の指がよく冷えます。
 
そこで以前、水を多く飲むようにしていたのです。
そうしたら改善を感じられました。
 
ただし、水を一日にたくさん飲むというのは、結構な努力が必要です。
実行できない日も出てきます。
だんだん大変に思い、やらなくなる。
 
それでまた冷え性が辛くなり、ビタミンEが血行に良いなどと学び、やり方を変えてしまいます。
 
でも、水を多く飲むという方法でうまくいったのなら、変えようとせずに続けるべきなのです。
ですので、最近また頑張って水を飲んでいます。
 

 
今回はブリーフセラピーの解決志向アプローチの中心哲学として3つのルールを紹介しました。
 
ルール1 もしうまくいっているのなら、変えようとするな。
ルール2 もし一度やって、うまくいったのなら、またそれをせよ。
ルール3 もしうまくいっていないのであれば、違うことをせよ。
 
心理臨床のみならず、生きるための行動指針として使えるので、良かったら参考にしてみてください。
 
シンプルなので実践しやすいですよ。
この世界のことをもう少しシンプルに考えてみましょう。
 
シンプル・イズ・ベスト!
 
 
最後までお読みいただきありがとうございました。
 
 
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小林いさむ|公認心理師

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