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「融資が受けられない」実績のない不動産会社が年商10億円を超えるまで

新生都市開発株式会社 代表取締役の永尾です。

前回に引き続き、自分の半生について包み隠さず、お話しさせていただきます。前編では、お金に振り回された幼少期から、起業を志すまでのストーリーをお伝えしました。後編では、起業準備から現在に至るまでの軌跡と、新生都市開発が目指す未来について語らせていただきます。


挑戦者にとって厳しすぎる現実に愕然

「転職するんじゃない。自分の理想の会社を創ろう」

退去交渉を含む不動産事業に魅了され、会社員を辞めて、自分自身で会社を創業すると決心した私。ですが、会社の設立方法についての知識は、まったくと言っていいほどありませんでした。そこで、設立方法は独学で学び、司法書士や行政書士の方のお力を借りながら、無事設立を完了させました。事業拠点となる事務所は、相手先の交渉窓口になりやすい、弁護士事務所が多く設立されているエリアに構えることにしたのです。

次に準備を進めたのが、事業用の銀行口座の開設でした。しかし、当時は法人口座開設の審査が厳しくなっており、目に見える実績がなかった当社は、思うように手続きを進められませんでした。法人口座がなければ、当然ながら金融機関からの融資は受けられません。融資を受けられなければ、イニシャルコストが大きい不動産を扱うことは、不可能と言われているようなものでした。

「このままやったら、会社が潰れてしまう」

実績のない挑戦者にとって、厳しすぎる現実を突きつけられ、愕然としました。

しかし、落ち込んでばかりもいられません。私は「どうすれば法人口座を開設し、融資を受けられるようになるのか」を考え続け、ひとまず1年目は自分一人で事業に取り組むことにしました。幸運なことに、前職でお付き合いのあった方から仕事の依頼をいただき、そこからご縁が繋がって、少しずつ仕事が増えていきました。

当時の私は、これまでの経験・実績から、「自分一人でも売上目標を達成し、事業を拡大できる」と信じ切っていました。ところが、1年経って蓋を開けてみたら、目標額の1/10ほどの結果しか出せなかったのです。

「そもそも想定していた利益すら上げられていない。これじゃあリスクを取って会社を設立した意味がないんじゃないか…?」

自分一人の力に限界を感じた私は、「仲間と一緒に成長する会社を作りたい」とパートナー(社員)集めを始めました。

前職の同僚や他社で働いていた知人など、「一緒に仕事がしたい」と思える人に声を掛けて回り、面談で双方の価値観をすり合わせながら、私のビジョンを丁寧に伝えていったのです。その結果、2年目以降は私の想いに共感し、同じ目標を目指す仲間たちに、パートナーとして働いてもらえるようになりました。


「新生都市開発さんが担当でよかった」が励みに

その後、コツコツと実績を積み重ねてきた新生都市開発は、金融機関の融資を受けられるようになりました。おかげさまで、会社は11期目を迎え、今期の年商は10億円を超える見通しとなっています。

ここまで事業を成長させられたのは、ひとえに「底地買取」というニッチな領域に特化し、他社が持ち得ない豊富な実績とノウハウを蓄積してきたからだと自負しています。私たちのこの強みこそが、人間の感情が複雑に絡み合った不動産問題を、円満解決へと導いているのです。

ひとつ例を上げると、退去交渉の際、私は入居者の方へ丁寧な説明を心がけています。とはいえ、ただ事務的に「1から10まで説明すればいい」というものではありません。大切なのは、相手の反応や仕草から、「どこに不安を感じているのか」を読み取ることです。そして、その不安を払拭できるような説明を心がけ、一人ひとりに適した対応を取ることを大切にしています。

正直に言うと、退去交渉の際、私たちのことを怪訝そうに見る方は少なくありません。

「どうせ、強引に立ち退かせるつもりなんでしょう?」

そんな目で見られることも珍しくないのです。でも、粘り強く・誠意を持って交渉した結果、「新生都市開発さんが担当で良かったです」と最後に言っていただけることもあります。その瞬間を味わえたとき、私は「あぁ、今回もがんばって良かったな」と、心から思えるのです。


すべては自分の行動次第

もともと私は、自分が起業することになるとは、まったく思っていませんでした。あまりにも唐突な決断だったので、「短絡的に起業した」と言ってもいいかもしれません。これまで数えきれないほどの失敗をし、後悔も味わってきました。それでも、私は常に前を向いて、歩み続けています。

私には一つ、大切にしている考え方があります。それは、「すべては自分の行動次第」だということです。神社やお寺を訪れた際、お賽銭を入れてお願いごとをする人は多いと思います。でも、私はお願い通りになる人生なんて、ほぼあり得ないと思うんです。結局のところ、すべては自分の行動次第。たとえ願い事が叶わなかったとしても、

「自分たちの努力が足らなかったんや。また次がんばろう」

そう考えられるようなポジティブマインドを大切にしながら、私はこれからも前へと進んでいきます。

私が掲げる新生都市開発の将来的な目標は、ずばり「年商100億円の企業になること」です。ただし、何よりも大切なのは、安定した会社経営とパートナーとの信頼関係です。だからこそ、無理はしません。

でも、パートナーとその家族の幸せを守るためにも、長期的な視点を持って、この大きな山に挑戦し続けます。いつの日か、その頂を踏みしめる、その日まで。

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