「非婚化の原因の変化」考

少子化の大きな原因は少婚化ではないか、という点を論じた際、私達団塊ジュニアがあまり結婚しなかった理由について考えてみた。その際、若い世代から「低賃金化が原因ではないか」という指摘が複数。それは大いにあると思う。そのことについて考えてみたい。

「昔の人は結婚するのが当たり前と考えていた」という指摘があったが、必ずしもそうではない。鬼頭宏「人口から読む日本の歴史」か暉峻衆三「日本農業100年のあゆみ」のどちらかだったと記憶するけど、明治維新が起きたあとも、次男以下はなかなか結婚できなかった。収入がなかったから。

富岡製糸場などができ、女性も勤めに出るようになったが、生活はカツカツ。実家への仕送りもせねばならず、結婚はできなかった。男性も収入は大したことはなく、農家の場合、長男以外は結婚することは難しかった。

変化が起きたのは重工業が興ってから。家族を養えるだけの給料がもらえ、次男以下であっても結婚できるように。企業町では消費も旺盛だったから、まだ規模は小さいとはいえ、第三次産業も育っていった。「次男以下でも結婚できる」のは、重工業が日本で発達し始めてかららしい。

よく知られているように、江戸時代の武士で次男以下は「部屋住み」と呼ばれ、結婚することは難しかった。農家も次男以下は養子にでも出ない限り嫁取りすることはできず、実家の農業・家業を手伝う一生を過ごしていたらしい。それが明治維新になっても続き、日清戦争の賠償金で重工業が始まり、第一次大戦の戦争特需で湧いてから、「誰もが結婚する」ことができるようにようやくなったらしい。
考えてみれば「坊っちゃん」にも登場するように、結婚せずに富家の下働きで一生を終える女性・男性がいた。それだけに。

結婚への強い憧れがあったのかもしれない。このため、なんとか結婚生活できる収入の目処がたつようなら、みんな結婚しようとしたのかもしれない。
しかし現代の若い世代はもしかしたら昔に逆戻りなのかもしれない。自分一人が生活するのにカツカツの収入しかなく、実家暮らしを余儀なくされてる人も。

たとえ結婚して共働きしたとしても、子どもが生まれ、しばらく片方だけの稼ぎで生活しなければならないと考えたとき、とても成り立たないと思う若者は多い様子。これでは結婚を諦めざるを得ない。明治維新から重工業が発達するまでの間、収入が低すぎて結婚できなかった時代へ逆戻り。

もしかしたら昔の方がマシかも。昔は農家の長男は田畑を受け継ぐことができ、その収入をあてにして結婚することもできた。しかし今の時代、農家など国民の1%強しかいない。長男であっても受け継ぐ財産はなく、仕事が低賃金だった場合、長男であっても結婚することは難しい。

団塊ジュニアの世代と違い、就職氷河期に苦しみ、低賃金の仕事しかつくことができなかった世代は、結婚したくてもできなかった戦前(のうちさらに重工業発達前)の貧しい時代と同様、貧しさ故に結婚できない状況が生まれているのかもしれない。だとしたら、収入面の改善ができない限り、少子化は容易に改善できない恐れがある。そしてどうも、その状況に突入している。深刻な事態と言わざるを得ない。

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