「俺が主人公」より、みんなが楽しめる空間を

若い頃はわかってなかったけど、年をとってわかったこと。職場は、自分が主人公になろうとするのではなく、みんなが楽しく過ごせる空間にさえなればよい、ということ。
子どもの頃見た仮面ライダーなどのヒーロー物の影響だろうか、かなり長くまで、自分が主人公になろうとしていた気がする。

でも、当然ながら空回り。私を主人公にすればみんなは下位に立つことになる。そんなの面白いはずがない。自分が主人公に成ろうとする限り、空回りしてしまう。でも男性はヒーロー物の影響なのか、「自分は特別だ」という物語に身を置こうとする人が少なくない様子。

とある二つの企業人を引き合わせたら、マウント合戦になって面白かった。「私はこんな大きな案件を扱ったことがあって」「あ、その会社とは私も取引があって、総額何億の」「あ、私も別の企業様ですか何十億の」
私と同僚は、面白いなあ、と見物していた。

私がまだ新人の頃、年配の人たちがスナックに連れて行ってくれた。しかしお店の女性と話すことなんてない。私の仕事(特殊)に興味持つはずないの、わかってるし。
でも年配の人たちは楽しそう。「社長さん」と呼ばれ、仕事自慢し、お姉さんに「すごーい」と言われて嬉しげ。お店では主人公。

阪神・淡路大震災のとき、前に出ることは決してなかったし、大活躍するわけでもないけれど、なぜかその人がいると春風吹いてるような、温かな気持ちに。みんなが楽しくやっていける空気を作っていた。あー、この人がいるからギスギスせずに済むのだなあ、と、わかるようになった。

みんなが楽しく過ごせる空間を維持するにはどうしたらよいだろう?そこに醍醐味を感じるようになった。別に自分なんか脇役で構わない。なんなら端役でも。ただ、この空間をみんなにとっても居心地よくするには、どんなアプローチが適しているのだろう?と考えるように。

変に干渉することもなく、みんなそれぞれが伸び伸びと仕事ができて、言いたいことはわりかし言えて、でも誰も人を傷つけるようなことは言わないで、誰かが困っていたら率先して助け合う。仕事はきちんとこなす。そして、楽しいことがあったらみんなで笑い合う。そんな空間が作れたら。

今年3月で退職されたスタッフの方が、月1くらいで顔を出して下さる。楽しい思い出のある場所になっていたのだとすると、ありがたい。なるべくそうした空間を維持できるよう、心がけたい。

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