全国一律価格と石油

私の父と祖父母の会話だったと思うけど、私が握りしめていたキャラメルの箱を見て「全国一律で同じ価格で売ることができるってすごい」と言っていたのを印象深く覚えている。スーパーの安売りもあるけど、全国どこに行っても商品の価格は基本、一律同じ。しかし昔はそうでもなかったのだろうか。

一つには、物流費が安く済んだことも大きいのだろう。大規模量販店が全国各地にでき、大量に運ぶなら運賃は比較的費用の中では小さく済んだのかもしれない。しかし今後、燃料価格が上がって物流コストが跳ね上がったら、全国一律の価格体系は維持できるのだろうか。

大手小売ではすでにきしみが起き始めているらしい。生鮮の話なんだけど、今まで全国各地から安い農産物を大量仕入れすることで安売りを実現してきたのに、燃料代高騰で物流コストが跳ね上がり、野菜の仕入れがうまくいかなくなっているらしい。
逆に健闘してるのは中小の地元スーパー。

大きな購買力がない分、地元生産者と相談しながら値を決めてきた経緯もあって、あまり買い叩くことはできず、これまで大手小売店に安値競争で常に劣勢に立たされてきた。しかしここに来て、生産者を買い叩いてこなかったことが功を奏し、仕入れに問題なし。苦労してるのは買い叩いてきた大手。

既製品も果たしてどうなるか。既製品は全国一律の価格で販売することがこれまではできた。しかし燃料高騰で物流費が高騰し始めている。遠くに運べばその分お金がかかる。全国一律の価格を維持できるのか。

これからの十年で、これまで常識だったことが実は非常識だった、ということが次々に明らかになるかもしれない。全国一律の価格というのも、実は石油が安かったからできたことなのかもしれない。

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