世界史を変えたエロ本

歴史でも習うエロい古典といえば、ボッカッチョの「デカメロン」。古典なのに表紙が女性の下着姿なのでおかしいなと思ったらエロだった。ものごっつエロエロだった。何でこれで歴史に残るんだ?としばらくは意味が分からなかった。

その後、ようやく見当がついた。ルネサンスの波を勢いづけるのにこのエロ本は力があったのだ、と。
ボッカッチョがデカメロンを書くまで、僧侶の悪口を言うのはご法度だった。もしそんなことをしたら未来永劫地獄で苦しむことになると言われていた。だから誰も悪口言わなかった。

ボッカッチョはエロ話の形で僧侶の裏側を暴いて見せた。僧侶はエッチなことをしてはいけない禁欲生活のはずなのにエロエロである実態をあからさまに描いた。しかしボッカッチョに天罰が下る様子はなく、一応、死ぬ間際にそんなことを書いたことを悔いたけど、無事天寿を全うした。

こうした姿を見て、僧侶の悪口を言っても構わないんだ、という認識が広がっていった。中世で長く続いたキリスト教支配が緩み、ルネサンス、あるいは宗教改革へと結びついていく結節点に、ボッカッチョのエロ本は位置している。

・・・という歴史の流れを知らないと、デカメロンはただのエロ本。しかし世界の歴史を形作ったエロ本。世界は必ずしも真面目くさったものでもないことを、このエロ本の存在は物語っている。

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