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さかのぼってフリッパーズギター

「当時好きだった女の子が好きだった」というきわめて不純かつ極純粋な理由で小沢健二に遭遇した僕だ。

渋谷系っていう音楽的ムーブメントっつーか、ジャンルっつーか、とにかく渋谷系と総称される一連の流れがありまして、とりあえず僕の中では渋谷系の中心は「小沢健二」なのね。

僕が小沢健二を知ったときはもう「LIFE」が出ちゃってて、その好きだった女の子にLIFE借りたのも今となってはいい思い出で。

あ、言い忘れてたけども、この原稿は #Conote 006 「カメラ!カメラ!カメラ!」の掲載原稿。

ご存じの通り小沢健二はアングラでもサブカルでもなく、普通にテレビのゴールデンに出まくってて個人的な感覚からうちの高校の女子の3人に1人はまあ小沢健二好き的な風潮だった。いや、さすがに言い過ぎた。6人に1人くらいの感じだった。

背が高く、線が細く、王子様キャラでギターの名手、なんでも頭もいいらしいじゃないか、ポップでキャッチーで洋楽的なセンスバンバンなセンスのいい楽曲、ほう、なるほど、そりゃあ僕の好きだった女の子も好きになるわい。

と、ご多分に漏れず話を合わせるために聞き始めた音楽にのめり込んでいったわけですよ。

小沢健二はそもそもデュオを組んでいた。

その相手は、え、あのコーネリアスの人。

フリッパーズギターって名前。

で、物語るほどの紆余曲折もなく『CAMERA TALK』に至るわけで。

デトロイトメタルシティーでさんざんギャグのように扱われるネオコアでポップなこの楽曲群、サブカルの血潮が騒がなければ嘘だろ!?と言う話で。

カルチャーに触れる機会のなかった田舎の男子高校生の中で「渋谷」ってのがものすごいお洒落なものと印象付いたって不思議じゃないわけで。

そういえばあの頃くらいから「おいおいテレビは本当にお洒落なモノを教えてくれないじゃないか!」と、自分でディグる大事さを知ったんだろうなぁ。

今みたいにさ、Googleにアーティスト名投げたらいい感じにYoutubeのサムネを返してくれるような時代じゃなかったからねー、CD屋さんに行っては少ないお小遣い握りしめてどのCD買うか悩みに悩んでたわー。

あのときあの子に借りた『LIFE』がきっかけとなって、その20年後にレコードプレーヤーも買った。

モノより思いで、よりモノ|フレッシュさん|note https://note.mu/shintarowfresh/n/n39fc935b2199

好きな子にCD借りるくらいのそれなりな青春が僕にもあったなぁって、今思えばさわやかな思い出だぜまったく。

そんなもんだ。誰かがサブカルに染まるきっかけなんて、だいたいそんくらいでちょうどいい。

「当時好きだった女の子がもし小沢健二を好きじゃなかったら」ってだけで、この原稿や今の僕がいなかったって考えたら、うーん、ドラマチックなようで、実はそこまでのドラマにもなってなかったようで、とはいえ、彼女がジャニーズに傾倒していたら今僕どうなってたのか、それはそれとして興味は、

いや、

そんな興味はないな(笑)

どのみち偏屈で斜に構えててイヤな奴な僕になっていただろうさ。

誰かがブログに書いていたけども、「渋谷系」ってムーブメントは、つまりはフリッパーズギターが4枚目のアルバムを作っていたらどんな音を鳴らしていたのか、の「イフの世界」の音楽だって書いてて、ふむぅと実にしっくりときた。

または、フリッパーズギターは日本のポップミュージックを10年は加速させた(または取り戻した)と。

おいおいおい、僕はとんでもない奴と張り合おうとしてたんだなぁ(笑)

せっかくなんで死ぬまで張り合うのも悪くない。

僕だって何かの時計を一年くらいは早回しにして誰かに覚えてもらえるような存在を目指そう。

うん。

あの子は今どこで何をしているだろうか。僕は今、小沢健二を聞いている。

くっそー、かっこいいな。しかも、歌もギターもうまいなぁ!

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