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偶然+偶然。それはきっと必然か。2023年8月、熊本でのSummer Eye記念ライブに向けて



「・・・だいたいさぁ。どこぞの店がよく何周年イベントとかやってるじゃん。でもあんなの大抵やってる側で盛り上がってるだけでさ、実際あんま関係ないんだよねぇ。なんかやなんだよねぇ。少なくとも自分じゃ絶対したくないわー」。

そんなことを数年前、同じように個人で店をやっている知り合いと話したことを、しかと自分は覚えている。いや、きっとこれを読んでないだろうから書いてしまうと、その知り合いとはヌーノという店のスーさんであり、ふたりして話した場所はラーメン琥珀の橋本くんが主催する、なんかのパーティー会場の外でだった。その時は話しながらふたりとも大いに同意していたように思う。優しそうで実はしっかり毒を吐くスーさんは僕とどこかしら気が合うのだった。

そんな自分がなぜに10周年記念のライブなんぞを今回企画することになったのだろうか。

正直言えば、10年経っても自分の店は未だ軌道にすら乗ってないように思えるし、相変わらずインディペンデントな低調地べたまっしぐらだし、ついに最近では東京の食のwebライターのアルバイトまで約束するようになってしまった。まぁそれは前から考えていたことだけれど。

10年つってもほんとに店を始めて10歳年を重ねただけだし、何かをしっかり学んだわけでも変わってもない気もするし、まぁ百歩譲って周りが祝ってくれるんならいいけど、自分からは何もしないな、とぼんやり思っていた。

そんな矢先のとある日のことだった。

いつものように店から家に帰って、缶ビールを開けてぐいっと飲んで、さぁ今日はなんのご飯を子どもたちと食べようか、何作ろうかなぁとキッチンドリンキンしていたら、不意に携帯でSummer Eye、こと夏目くんのインスタライブが始まっていることに気づく。

と言って、ここ最近は彼のインスタライブをそんなに細かくチェックして見ていたわけじゃあない。

昔、彼がやっていたバンド、シャムキャッツのインスタライブは本当によく見ていた。あのダラダラのインスタライブ、ほんとに好きだった。もちろん音楽も好きだったけど、あのくだらないインスタライブが確かに彼らの何かを表していた気がする。

いい年をした青年、おっさんに近いけども若いひとたちが、突然缶ビールとつまみなんか持ち寄ってはだらだらダラダラと話し出す。その倦怠感と酩酊感と放課後的な青臭い感じと。俺もこういう感じで友達と一緒に年取っていくのもよかったよなぁ、俺もバンドすりゃよかったのかもなぁ、という青い夢を勝手に抱いた。抱かせてくれた。少なくとも僕はそうだった。

話してる内容はもちろん告知目的もあったけど、それ以外は大抵どこどこのコンビニの何が美味いとかあれヤバいよねマジ大好きとか、とにかくファーストフード、コンビニ食のネタが多かった気がする。というか自分はそれをよく覚えている。

基本的にコンビニ食に対してヘイトとまでは言わなくとも、できるだけ自分で料理を作って子どもたちと一緒に食べようとする自分のような人間には、そのコンビニ食を当たり前に公でラブ&ライクに語ろうとする姿勢がなんだかすでに面白かったし、そうか、コンビニのご飯もブランドによっていろいろあるし、何よりきちんとした居場所のようなものがあるんだなぁと勝手に頷いたものだった。

でまぁそんなこんなを思い出しながら、久々に夏目くんのインスタライブを聞いて見ていたら、今年の夏に鹿児島でコラージュの展示をやるんだよねと、いう話が流れてくる。

「へぇ、鹿児島かぁ」と思った。確かライブもやるつもり、とか言ってたような。

『・・・熊本は?』

気がついたらインスタライブにそうコメントを打っては既に送っている自分が居て、まぁでも大抵いつも自分のそんなコメントは必ずや速くに流れてスルーされていくから、別にいいやそれでも、とか思っていたら

「・・・熊本? 行きたいよぉそりゃ」

みたいなことを夏目くんが答えてくれて、ふうん、とまずは驚く。

「へー。読まれたの初めてだわ。なんかの偶然だろか。ていうか熊本来たいんだ。ふうん」。


・・・・・・でも。まぁ。しかし、やんねーな。だいたい自分はイベンターじゃないし、何をどうすりゃいいかわかんないし。まずだいいちに、めちゃくちゃ大変そだし。

そう、それまでにも自分に対して誰かミュージシャンを呼んでほしいとかライブを組んでほしい、とか無責任なことを言う人は少なからずいた。

いったいなんでそれを俺に言うのかなあ。毎月の店の展示で大変だし、今の仕事はイベンターに近い仕事かもしれないけど、ちょっと、いいや、だいぶ違うだろ、とその都度思ってきた。呼びたかったら自分で呼べよなぁ適当に人に言わないで、とか思っていた自分は、結局その日、コメントを読まれたひとつの偶然に驚きながらも眠りについた。


そうして次の日。

朝から店に行っても少しだけ昨日の偶然がどこか気にかかっている。

っていうか、これ、最初始めるにはまずメールとかすんだろか。こっちの自己紹介から始めて。でもなぁ、やっぱないわな。レコードも持っててライブも行ったことあるくらい好きなアーティストに突然メールするなんておかしいだろうが。

・・・と、今になって考えてみたら、それ自体は自分が普段からやっている仕事にきっと近く、展示をするために初めての作家にこちらから自己紹介しつつメールすることとあまり違いのないことでもあるはずなのだが、やはりそれはどうも勝手が違い、と言うかギャラだとか手筈とかいろんなことが分からなさ過ぎるし。というか、そもそも俺が夏目くんに直にメールを? いやいや。 ていうか、そんなやったことないことや相談を誰にも彼にも聞いてもらえるわけではないしなぁ・・・


とかなんとかぶつぶつ思っていたまさにちょうどその時、そんな話の流れに申し合わせたかのごとく、下のライブカフェ『tsukimi』の飯田さんがふらりゆらりとここに現れた。何しろ飯田さんは熊本でキャリアの長いイベンターのひとりである。


普段からこの満月ビルの2階と3階の仲なのだけど、実は彼がいつも頻繁にここへ上がってくるわけではない。下でちょっとうるさいライブがある時、そんな時に限って、飯田さんはあまり大してこちらに申し訳なさそうでもなく、瓶ビールを持ってきてはなんとなくあらかじめのごめんなさいを言いにくるくらい。

つまりその日が偶然そうで、僕がひとり悶々としてたらば、瓶ビールを片手にここにふらりと上がってきたというわけだ。


・・・・ううううううううーん。こ、これは。


偶然+偶然。それはきっと必然か。


とにかく自分は、昔から偶然+偶然にひたすら弱い。

偶然と偶然が重なって必然を感じちゃえば、間違って誰かに告白しかねない馬鹿者だ。

だってどこかの誰かに何かを促されているようじゃないか。気持ち悪いが、やはり大きな流れというのはどこかにある。それを自分でしっかと捉えて掴むかどうかというのは、とても大事なことだと思うのです。

そうしてその場で飯田さんにいろいろ教えを請うて、その後にその手でもって夏目くんにメールを打つことになる。


「ええと昨日のインスタライブで熊本でのコメントをしたものですが・・・」


果たしてレコードも持っていてライブも行ったことがあるアーティストとそうやってなんらかの連絡を取ることは幸せなことなのだろうか。それはいまもってまだわからない。多分一番幸せなのは、単なるアーティストとファンの熱いひとつの関係だと思われる。作品だけを知ってる純で順な関係が一番良いのではなかろうかと。


自分は東京にいて編集ライターをやっていた頃、いろんなミュージシャンにインタビューもやっていたから、その辺がなんとなく複雑な話なのはよくわかる。それもあって腰が重かったのもあるのだと思う。

でもまぁそれもこれも偶然+偶然が導き出すものであれば、それは必然なのであるまいか。そしてそれは今回のこのライブがイベントとしてうまく行くのか、うまくどこかへ着地してくれるのか、にかかっていると言えるでしょう。


そんなもはや必然に決まってるvertigo10周年アニバーサリーライブ、どうにか成功させたいので、ぜひ観に来てくださいまし。


どうぞよろしくお願いします。

・・・・・・

8月13日(日)熊本 満月ビル
“Vertigo 10th Anniversary Event 『Summer Eye 』Live ”
2F tsukimi(ライブ会場)
3F vertigo(グッズ販売 ※取り扱いは10日から行っております)
open 17:00
前売 ¥3,000 / 当日 ¥3,500(+1D)

DJ & selecter
Kin(catejina)
Kaoru(picnic)
Shin(vertigo)
Dice-K(Jindagee spice)

予約︎vertigoのInstagramアカウント、またはメールへご予約希望のDMをお願いします。イベント名、ご自身のお名前、希望枚数をご明記ください。
https://www.instagram.com/vertigo.shin/
muvertigo0913@gmail.com











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