見出し画像

【おとなりさんちの話】こども食堂よってこランド@佐賀市

こどもの居場所は、なんの制度も制約もなく地域にある、まるで「おとなりさんち」のような場所だ。だから、こどもたちが自分の意思で「行きたい
!」とやってくる場合が多い。
今回の「おとなりさんち」は佐賀市の中でも地域住民との交流が多いと聞く
地区で児童発達支援や放課後等デイサービス*の事業所を運営するNPO法人の一角。近くの嘉瀬小学校から歩いてすぐの場所にあり、今は使用されていないカフェと中庭が子どもたちの居場所になっている。
*児童発達支援/放課後等デイサービス
障害のある子どもが主に通い、支援を受けるための施設。

徒歩や自転車で放課後に集まってくる。圧倒される駐輪場の自転車の数。

到着すると、子どもたちがあちこちで遊んでいて賑やかな声が聞こえてくる。本を読んでたり、女子同士でおしゃべりをしていたりと気ままに過ごす子どもの姿も。

宇宙のこと、世界のこといついて興味があるという男の子。1人で黙々と図鑑を読んでいた。
大人たちは準備に夢中。全然焼けない、と苦戦中。

毎月子どもたちの好きなメニューを考えて待っている。この日は、ホットケーキとたこ焼きをつくろうとプレートをつないで用意していた。数えるほどしかいない大人の方が準備をすすめる一方でみるみる集まってくる子どもたち。一体どうなるのか…と見守っていたところ、活躍していたのは子どもたち自身だった。「おとなりさん」になっているのは大人だけではなく、子どもたちでもある。そんな子どもたちを少し紹介しよう。

立ち上げ当初からお手伝いいている、すずちゃん(高1)。子どもたちの姉さんで、自ら食べ終わったお皿を下げたり洗い物をしたりしていた。「高校生になったんだ」と報告してくれた。
パンケーキの行列を見て「ぼくが焼きます!」と緊張しながらも、すすんで調理器具を握る、そうたくん(小5)。「クリームはのせる?」と並ぶ下級生に優しく聞いていく。
小さい子どもたちに声掛けをするようすけくん仮名(小6)。この日は参加した人にポケモンシールを配る予定となっており、「これもらった?もらってない人!」と声を掛けていた。
子どもたちに配っていたシールとシール台紙。来るごとにシールを貼っていく仕組みのようだ。

このように、ここはまるで子どもたちによる子どもたちの居場所だ。大人から「ああしなさい」と言われることはないし、やっていると「いいね」と励ましてくれる。だから、自分たちがここで過ごすことを受け入れてくれる安心できる場所になっているのだと思う。

時間が経つと、大人に代わって子どもたちだけでたこ焼きを焼いていた。

代表の吉村香代子(よしむらかよこ)さんは、「良い子たちばかりなのよ」とニコニコして見守っている。それでいて、しっかり子どもたちのこえを聞いていて「卵アレルギーがあるのね、じゃあ無しでつくるね」とさっと対応をする様子。帰り際には一人ひとりにお土産だよと、おにぎりを渡して「来月も来てね」と声をかけていく。なんだか、おばあちゃん家みたいだ。

笑顔で子どもたちを見送る吉村さん。「来月も、待ってるね。」

吉村さんは、「そのままで大丈夫。お父さんやお母さんも一緒に見守ってくれて、無理なお願いはされないです。」とのんびりした気持ちでかかわっていると言います。

自分たちの居場所は自分で自由につくっていいからね。きっとここは、そういう場所だから。

本当はだれもが「自由」なはず。こどもたちが本来持っている主体性を取り戻すことができる場所なのかもしれません。吉村さんは、いつでもあたたかく見守ってくれます。
ーーーーーーーーーーーー

こども食堂よってこランド
おとなりさん:吉村さん、近くに住む子どもたち
おとなりさんち:佐賀市嘉瀬町大字中原2516-1 Caféミモザ
開催日はフェイスブック等で随時公開します。子ども無料 大人 300円
15:00~17:00

Instagramでは写真を、noteでは文字を中心とした読みもので「こどもたちのおとなりさん」を発信していきます。
▶︎アカウントはこちら https://www.instagram.com/kodomo.otonarisan/

こどもをまんなかに、ほっとできる瞬間がそばにある社会を皆んなで緩やかにつくっていきませんか。

編集・書き手・写真 : 草田彩夏(佐賀県こども家庭課 地域おこし協力隊)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?