ライカM10-Pというカメラ

ライカ…ライカ…ライカ…。
ライカに頭を汚染されてしまった人もいるのではないでしょうか。私もそのうちの1人です。以前の記事で、私はすでにライカTというライカのカメラを買っています。その色味は体験済みです。しかし、しかしなんです。
それでも満たされない渇きがあるんです。
やはりライカは、アレでなければならないと…。

きっかけはやはりYouTube

私の大好きなYouTuberさんにジェットダイスケさんという方がおります。この方は商品レビュー系YouTuberの真祖といっても過言ではありません。今ではカメラ機材などをレビューしたり、写真作品を作る写真家でもあります。この方がライカを買った動画を見ました。見てしまいました。
そして同時に、ジェットさんの写真展である空蝉シリーズという写真展も見せていただきました。この時の感動は今も覚えているのと、それと同時に、以前書いた小原怜先生のアザラシの赤ちゃんの写真も思い浮かびました。まずジェットさんの写真は、セミの羽化に着目した写真展でした。セミの羽化シーンをご覧になった方はいらっしゃいますか?セミって本体黒くて翅が茶色いじゃないですか。でも羽化直後の色って違うんですよ。全身は淡い緑色に包まれていて、なんとも神秘的な美しさがあるんですな。でもね、そんな美しい羽化現場は、同時に命の危険が隣り合う現場でもあるんですよ。昆虫の羽化って、その個体が1番未防備な状態なんです。昆虫は外骨格であるが故に、その外骨格が羽化直後は柔らかくなってます。言ってみれば、防御力が著しく下がってる状態です。外敵に襲われたらひとたまりもありません。しかも、全ての個体が羽化に成功するとは限らない。羽化不全の個体だっているわけです。正常に羽化出来なかった個体を待っているのは、死です。翅が伸び切らない個体、何らかのショックで翅が曲がってしまった個体、そして奇形になってしまった個体。それぞれは、別の生き物の血肉となる他ありません。そんな命を託す瞬間の写真にドラマチックさを感じたのと同時に、かつて見たアザラシの赤ちゃんの写真にも同じドラマチックさをこの瞬間思い出して脳に駆け巡りました。あの瞬間、動物の赤ちゃんというあの瞬間は、紛れもなく命の危険と隣り合わせの状態だと。厳しい自然の中では、1番弱い状態である赤ちゃんの時期が、外敵に襲われる最適なチャンスです。あの写真が撮られた瞬間、他の野生動物によってあの赤ちゃんは食べられてしまってもおかしくないんです。そんなドラマチックさを一度に感じました。
そんなこんなで、私は写真という媒体で感動したくなったわけです。もっともっと感動したいんです。だから、自分でも撮ってみたいと感じました。

なぜライカなのか

そんな方がなぜライカを買ったのか。それはジェットさんの動画をご覧ください。とにかく私はその動画に感化されて、購入を悩み始めました。
1つにはファインダーがあります。
ライカTを持っていても他のライカ、とりわけM型と呼ばれるライカが気になってしまった。それはやはりファインダーでしょうな。
ここで皆さん、カメラのファインダーってどういうものがあると思いますか?ファインダー、覗き穴ですよ。
え!?種類があるの!?って思った方もいるんじゃないですかね。いやいや、カメラに詳しくなければそれが普通ですよ。
皆さん一眼レフって聞いたことありませんか?カメラの、ガチカメラの代名詞みたいに扱われますよね。一眼レフの一眼って、そのままレンズが一つついてるから、だから眼が一つで一眼なわけです。じゃあレフって何ですかね?確かこれレフレックスだったと思います。ようはミラーですよ。ミラー。レンズの奥に、ミラーがあるんです。そのミラーに反射した光が反射に反射を重ねて、ファインダーにまで届いてるんです。これがいわゆるOVFですね。対して、ミラーレス一眼って、どんなものだと思いますか?ここまでの記事を追ってた人からすれば簡単な話で、センサーに感受された光が電子的に変換されてファインダーに写るんですよ。つまりEVFです。
見たままの光を見るのがOVF、一眼レフのファインダーです。これは、フィルムカメラの時代からあるものです。というか、逆かな。EVFがデジカメにならないと成立しないものですね。とにかく純粋な光ですから、デジカメになっても一眼レフは電源つけなくても像が見えるんですよ。それに対してミラーレス一眼は、電源つけて電池が無いと像は見れません。ここら辺のメリットデメリットはまた今度するとして、そんな感じでファインダーって種類があります。
じゃあM型ライカってどっちかという話ですよ。

レンジファインダー

正解はどちらでもありません。いや、正確にはOVFなんでしょう。レンジファインダーと言います。なんてことはないです。素通しのガラスです。それがカメラの裏から見て左上に付いてます。本当に覗き穴ですよ。
一眼レフはレンズを通った光を見てましたね。ということは、レンズが変われば見える景色が変わるわけですよ。ミラーレスもそうですよね?レンズの奥にあるカメラボディのセンサーに感受した光がファインダーに写されるのです。じゃあレンジファインダーはレンズを変えると…?素通しのガラスは見え方変わりますかね?これが変わらないんですよ。そう、変わらないんです。レンズに蓋してあっても見えちゃいますからね。だって窓が開いてるだけだもん。
じゃあどうやって見えてる画角を確認するかっていうと、ガラスの窓の中に白いフレームが出てるんですよ。そのフレームは、M10-Pというカメラでは28mm、35mm、50mm、75mm、90mm、135mmの6つのフレームがそれぞれのレンズを装着すると出てきます。
正確には28mmと90mm、50mmと75mm、35mmと135mmがセットになって出てきます。つまり3種類のフレームが出てくるんです。このフレームをブライトフレームと言います。日本語では視野枠だったかな。
このフレームの中に収まるようにフレーミングして写真を撮ります。
ここまで読んでふと思った人もいるかもしれません。どうやってピントを合わせたのか?ということですね。
このピントを合わせる機構こそがレンジファインダーの醍醐味ですよ!レンジファインダーカメラにはですね、カメラ正面から見ると、右側にファインダー、左側に小さい窓がもう一つあるんです。この窓の像が、ファインダーの真ん中に投影されています。つまり、右眼と左眼ですわ。それをファインダーの方を覗きながら合わせていくと、2つの像が重なる瞬間があります。この瞬間!ピントが合っています!この瞬間ですよ!そうなんです!レンジファインダーって、真ん中でしかピントが合わせられないんです!なんたること!フレームの右側とか左側とかにモデルさんを置いても、そこにピントを合わせることは難しい!いやーこれは辛いですね。真ん中でしかピント合わせらんないんですって!不便だね!でもそれがレンジファインダー!

…それって楽しいの?

楽しい。

…あ、オートフォーカスがあればなんとか…

無い。M型ライカにはオートフォーカス無い。

…。それって楽しいの?

楽しい。楽しいのよ。これがね。
構図はいわゆる日の丸構図になりがちだけど、それが楽しいのよ。不便さが楽しいの。マニュアルフォーカスしかないけど、それが楽しいの。だからね、ハマんない人にはハマんないでしょうね。確かにね、「難しいカメラ使ってる俺カッケー!」が全く無いわけでも無いけど、楽しいんだわ。うん。
そして持ってなかったその当時、私は憧れて恋焦がれたわけよ。

そして、ついに決意する

買おうと。M型ライカ、買おうと。決意したんですよ。あれはね、南町田グランベリーパーク(当時グランベリーモール)に行って、帰ろうとした時だったな。ふと思ったのよ。
「あ、ライカ買おう」
って。
思っちゃったんだなあ、思っちゃったの。その瞬間から1番近いライカのお店を調べて、横浜駅のそごうにあるライカそごう横浜店さんが近いと突き止めた。そこから長津田で降りて、横浜線乗って、横浜駅着いて、そごうの7階にまで行ったんです。そこで当時最新モデルだったM10-Pという機種を見せてもらって、M10とも比べて、どっちがいいかなーって悩みに悩みました。決め手はやっぱりシャッター音。M10とM10-Pの違いは、シャッター音とタッチパネル対応かどうか、そしてカメラの真ん中にあるライカの赤バッチがあるかとか、デザイン的な違いです。私はその中で…ライカM10-Pに決めました。

店員さんにそれを伝えた時は震えましたね。
これをくださいと。

あぁ、言ってしまったなぁと。買うんだなぁと。そう思いながら、カード出して、座って待ってました。
そして店員さんが来て、私に声をかけます。

「このカードでは決済出来ないのですが…」

…は?

…?なんで?
調べてみると、カードの上限額が80万円でした。
ライカM10-Pは100万円。
…買えなかった。てへ⭐︎

帰宅

そのまま帰宅して、涙を流しながら寝ました。

また、決意する

そのあと数ヶ月が過ぎて、私は出張で神保町に来てました。16時ごろ、仕事が終わって、さて帰りましょうとなったその瞬間。また私の頭に出てきた。

「あ、ライカ買おう」

その瞬間から神保町から銀座までのルートを検索して、銀座まで来てしまいました。銀座のライカ銀座店に入り、ショーケースを見て、M10-Pがあることを確認。今回はね、勝算があったのよ。実はそごうのライカ屋さんは、そごうに入ってるからショッピングローンが組めなかったのよ。でも、路面店のライカ銀座店さんはショッピングローンが組める!だから、審査にさえ通れば買えると!そう思って、M10-P買います!と高らかに宣言。
しかしそこで誤算が一つ。
実はライカ銀座店さんには、限定カラーのM10-Pがあったのです。Black&Greyです。ライカ大丸心斎橋店の開店祝いでデザインされた、限定40台のモデルです。
うへー、そういうのもあるんすねぇ。なんて言ってたら、その店員さんが「私がデザインしました」なんて言うんですよ。

そりゃ買うわ。だってこのためにきっと横浜店で買えなかったんだと思ったもん。
え?ご一緒にズミルックスもいかがですかって?そうだね。買おうか。
合計いくら?177万円?そうだね。買おうね。

もうね、震えません。心臓も静かです。淡々と必用事項を書いて、審査を待ちました。そして電話がかかってくる。

…もしもし?はい。ええ。

ありがとうございます。わかりました。

「おめでとう御座います」

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