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(12)『鬼滅の刃』【おすすめアニメ感想】

今回、アニメ作品『鬼滅の刃』(主に「竈門炭治郎立志編」)について感想をしるしたいと思います。

鬼滅の刃(竈門炭治郎立志編)

(参考)アニメ「鬼滅の刃」公式ポータルサイト(公式)
https://kimetsu.com/anime/
(2019) 原作:吾峠呼世晴、監督: 外崎春雄、シリーズ構成・脚本:ufotable、キャラクターデザイン:松島晃、アニメーション制作:ufotable、(声)竈門炭治郎:花江夏樹、竈門禰󠄀豆子:鬼頭明里、我妻善逸:下野紘、嘴平伊之助:松岡禎丞、冨岡義勇:櫻井孝宏、胡蝶しのぶ:早見沙織、鬼舞辻󠄀無惨:関俊彦


本作の概要

本作は吾峠呼世晴による同名コミック作品が原作です。大正時代の日本を舞台に鬼(吸血鬼)とそれを退治することを使命とした組織(鬼滅隊)との戦いを描いたファンタジー作品です。
大ヒット作品なので、詳しい説明は不要かもです。


好きなシーン
(1)鼓屋敷のエピソード:善逸の活躍
弱虫キャラクターで描かれる善逸が、鼓屋敷で鬼と対決する最初のシーンで、気を失うと急に強くなり、鬼に打ち勝ってしまうシーンは単純に面白いし、痛快でした。
居合のような戦い方(瞬時に斬って、すぐに刀を鞘に戻すしぐさ)がかっこよくて良い。
(考えると、鬼滅隊の最終選別において数人しか生き残れない中で合格している点で、本当は善逸はただものではないことが考えられる)

(2)鼓屋敷のエピソード:伊之助の素顔
炭治郎と伊之助が争う場面で、猪の被り物が落下して曝された伊之助の素顔は実は美形だった。そして、その直後の炭治郎の反応が最高でした。

伊之助の素顔を見て、「うん、もう(お前を)殴らない!」
伊之助の顔に対する炭治郎の評価:「こじんまりとして、色白で、良いんじゃないかと思う!」

(3)鼓屋敷の鬼:響凱が最高
こわもての見た目に反して「小生」とゆう謙遜した物言いと、意外に文科系的攻撃(? といいましょうか)、身体じゅうに張り付けた鼓をたたきまくる仕草は単純に面白かったよ(そんなミュージシャンがいたような…いや、マネするひともいるだろうなと)

(4)浅草のエピソード
これは下記に別途記します。

藤の家と蝶屋敷のシーン
本作は序盤以降、ひたすら鬼と戦うエピソードが繰り返されます。
組織から伝令(カラスががなりたてる)が来て、隊員が編成され、討伐プランにしたがって任務が遂行され…、とゆう塩梅で進展するのが第1シリーズの主な流れであるのだが、
戦い(一つの任務)が遂行された後は休息シーンがあるのが、わたし的に面白かったです。また、藤の家のおばあちゃんが最高。

たとえば鼓屋敷の任務の後、疲弊した炭治郎たち3名にカラスが「休息~」とか言って、藤の家でうまい飯や風呂やきれいな寝床、医療まで用意されて、いたれりつくせり。
鬼滅隊、福利厚生が充実してるなと。

そこで、炭治郎の天ぷらを手づかみで横取りする伊之助に対して、炭治郎の優しさとゆうか、お兄ちゃん的な性質がでて面白い(これは、やはり伊之助の顔が可愛いことが大きな要因であることが前のエピソードでもわかる)。

蝶屋敷では打ち沈む伊之助とやたらはしゃぎまくる善逸が面白い(とゆうか善逸の演技や演出が少しうるさい)。
炭治郎たち3名と蝶屋敷の女子たちとのやりとりがほほえましいとゆうか、楽しそうだなと。(当人たちはいたって真剣であろうが)。

ここでは、しのぶやカナヲの過去の一部が語られて、物語を豊かにしているように思えます。
カナヲのつらいいきさつや過去のエピソードの後、炭治郎とカナヲとのやりとりにおいて、炭治郎の投げたコインを目で追うカナヲの瞳の揺れ具合や、炭治郎の立ち去る言葉にほんのわずかに自身の心を取り戻す兆しを示す姿素晴らしいのではないですか。

浅草のエピソード
ここで主人公・炭治郎とラスボス・鬼舞辻󠄀無惨が物語の早々に対面するところは物語の進め方として良いと思いました。
鬼舞辻󠄀無惨(世間ではマイケルジャクソンっぽいと)の姿は、おどろおどろしいものではなく、意外にスマートで、むしろ病的な気質やある種の繊細さや弱さが最初から描かれているところが面白いです。
ここで、炭治郎の姿(耳飾りなど)が伏線になっていることも表現されてました。

また、ここで鬼でありながら人側に立つ珠代と愈史郎のキャラクターも魅力があります。

この浅草の一連のエピソードは、吾峠呼世晴の初期短編集の短編マンガ『過狩り狩り(かがりがり)』を連想させるもので、当短編は『鬼滅の刃』の原型であり、登場人物のほぼ全員が浅草編に登場しています。その点で浅草編は重要であるし面白みがいっそう高かったです。
マイケルジャクソンっぽい鬼舞辻󠄀無惨のスタイルの原型も『過狩り狩り』にすでに表れています。
この短編には原作者のあとがきが添えられており、驚いたことに、『過狩り狩り』は編集担当者がつく前に、つまりデビュー以前に描かれた作品であることがつづられていました。

つまり、この原作者さんは、ほとんど素人の時点で描いた作品が一般デビュー作となって、それが世界的ヒット作品になっていることになります。驚くべきお話です。

『鬼滅の刃』(「竈門炭治郎立志編」)全体で思うこと
本作の人気は炭治郎のキャラクターの魅力によるものが大きいかなと思いました。
炭治郎はかなりのいい子であるし、少し天然っぽいところも大きな魅力なのでしょう。

それが、家族を鬼舞辻󠄀無惨に直に奪われ、妹を鬼化されて、必然、視聴者(読者)は炭治郎を応援せずにはいられないことになります。

本作はかなり残酷なシーンの多い作品で、まず鬼が殺戮を行うし、鬼殺隊も鬼の首を斬ったりします。
(なんだか、「首」「首」と、みていてやたら殺伐としているし、そこが少し辟易とする部分ではありました)

こうした残酷な作品である一方、やたら感傷的で繊細な部分も大きいのが本作の大きな特徴と思いました。
斬られた鬼に対する炭治郎のまなざしや態度は慈悲に満ちているし、感傷的です。
これは原作コミック※だとより明確に表現されており、『鬼滅の刃』は実は少女漫画であることに気づかされます。
(※アニメ視聴後、どうしても原作を知りたくなって、コミック(電子書籍)1、2巻だけ購入した)

鬼滅隊の多くは、いずれも鬼に対する復讐心で戦っているのですが、鬼側においても過去の虐げられた経験であり、何かに対する復讐心で鬼化していることが明かされるわけです。

そのなかで炭治郎は突出して、復讐心よりも慈愛と慈悲の感性が前面に出ているところが本作のほかにはあまり見られない特徴であると思うし、それが人気の一要因になっている気がしました。

その他、気になったところ
大正時代とゆうのは、江戸時代と近代の境目にある点で、背景設定上、面白いところを見つけたな、と思いました。

また、戦い方は古風なのですが、鬼側も鬼滅隊も主要なキャラクターたちの衣装や姿はかなり華やかである点が面白い。
炭治郎では、市松模様の羽織はともかく、花札のようなイアリング(?)、額の傷など、特徴(色付け)が濃い(ただ、イアリングや、額の傷は物語上の意味も備えている)。

禰󠄀豆子の鬼化は悲劇であり、また、炭治郎の戦う理由(禰󠄀豆子を元に戻すこと)である一方、禰󠄀豆子自身が鬼の力(敵側の力)が鬼を倒す力となっているところに設定上の面白さがあります。

また、主人公の次に位置するキャラクターが「妹」(家族)であるところが、この物語の純粋さを際立たせているように思いました。


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