895: Herbie Hancock / Riot

「ライオット」つながりで、もう1曲。
ハービー・ハンコックが1968年にリリースした『スピーク・ライク・ア・チャイルド』は、ちょっと珍しいアレンジが目を引く意欲作でした。
表面的には「ピアノ・トリオ+3管」という、ありふれたセクステット編成なのですが、その3管は、フリューゲルホーン、バス・クラリネット、アルト・フルートという、いずれも中音域で音色が柔らかな、全くジャズっぽくない組み合わせ。
しかも、管楽器はまったくアドリブ・ソロを取らず、ピアノ・トリオのバック・アンサンブルのみの裏方に徹するという、驚きのアレンジになっています。
その割には、フリューゲルホーンは超大物サド・ジョーンズを起用するという贅沢さ...
ただ、この摩訶不思議な構成から生みだされたサウンドは、何とも言えない叙情的な雰囲気を醸し出しており、個人的には、彼のブルーノート作品の中では1番好きなアルバムです。
アルバムのオープニングを飾ったこの曲は、マイルスの『ネフェルティティ』で先に録音されていましたが、こちらは「いつもの(そして黄金の)クインテット」構成でした。
両者を聴き比べるのも、ジャズの楽しみ方の1つでしょう。

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