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第4話”少年にとって、旅とは『誰と何をしたか?』”

『セブ島を走るバスの少年たち』に魅了され、
『韓国人の遊ぶ本気度』に圧倒される。

少年はこの留学生活で、何を感じ、
何を思ったのだろうか?

少年の旅の目的とは? 

留学生活も最終話。では本編どーぞ。

少年はバスに乗るためショッピングモールへ


僕は一人で出歩くのも好きだった。
何も買うものはなかったが、僕はたびたびショッピングモールに出かけた。
なぜなら、そこに向かう乗り合いバスに乗りたかったからだ。

トラックの後ろを人が座れるように縦に長椅子を左右に2個並べている。
そこに客が座れるようになっていて、座れない人は真ん中に立つと言うような感じ。そして、トラックの後ろに若い兄ちゃんがヤッターマンみたいにハシゴに乗っていた。

その兄ちゃんが、客を見つけると、大声で運転手に叫んで知らせる。そうすると、運転手は車を止める。乗客が降りる時も同じシステム。

運転手と後ろの少年の連携プレイ。
また、乗客からお金を集めるのもその兄ちゃんの仕事、5本の指に札をブッさし、小銭はセカンドバックみたいなものに入れている。

手早く、運賃を集め、待つ客を見つけ、降りる客を見つけ、やる事は多い。が滞りなく仕事をこなしていく。まさに職人芸だ。

少年は兄ちゃんの仕事ぶりに見惚れてしまう。

日本であれば、運賃は機械がやる、行き先は音声アナウンスが知らせてくれる。止まりたい時はボタンを押せば止まってくれる。

機械の方が正確で、間違えはないし、便利だろう。
そして、人件費も浮くだろう。日本でバスに乗っていても、一言も発さずに乗り降りできて、目的地まで辿り着ける。
フィリピンのバスは、一言も発さずにいれば、終点まで行ってしまう。

まあ、どちらがいいとかはないが、少年は何か『不便なものの豊かさ』
みたいなもの感じた。

そして、バスを降り、ショッピングモールに入った瞬間に、東南アジア特有のキツイ香水の匂いがした。それも何故か好きだった。
あれはなんなんだろう?いい匂いではないがすごく好きだった。
海外に来たと思わせてくれる匂いだ。

今でも、東南アジアの女性の香水をふと匂うと当時を思い出す。

何を買う訳でもなくブラブラして帰る、授業終わりの少年はそんな感じだ。

韓国人はめちゃくちゃ遊び好き


金曜日の夜には大体卒業生を送り出すパーティーがほぼ毎週のように開かれた。やりたい人が勝手にやっているだけなのだが。笑

韓国人グループ5人ぐらいと日本人旅人グループ5人ぐらいで、金曜日には毎度のようにご飯に行った。一緒に行っても結局は日本人は日本語で喋って、韓国人は韓国語で喋っていた。

一緒に行動するけど、お互いがお互いの言葉を喋る。
何か面白い光景だった。

果たして、これは一緒に来ている意味があるのか、疑問だった。
しかし、時が経つにつれ、だんだんと交流が増えていった。
とは、言っても基本的には、韓国人は韓国を喋り、日本人は日本語を喋る訳なのだが。笑

韓国ではお誕生日の人が周りに感謝を込めて何かプレゼントをあげたり、ご飯を奢ってあげるそう。一度誕生日の韓国人がみんなのご飯を奢ってくれたのを覚えている。

韓国は、日本より学歴社会と言われている。
英語が喋れないといい就職する所が難しいそうで、韓国人は英語を勉強しに来ている人が多かった。

当時の少年は、韓国に兵役があるなんか知っていなかった。
学校に来ている韓国人は兵役が終わって来ている人が多かった。
だからなのか分からないが、お酒をすごく飲む。
そしてクラブがめっちゃ好きだった。
遊びも派手に遊んでいた。
ケイも韓国人に負けず負けず劣らずだったが。笑

ケイについては⬇︎


僕は完全に負けていた。
クラブへ行っても、僕は2時間もいれば帰りたくなった。
そして、僕は彼らより早く帰っていた。
しかし、彼らは閉店になる朝まで、ずーといた。
遊びに対する本気度が違う。

兵役で規則の厳しい、肉体的にも、精神的にも厳しい毎日を過ごしてきたからだろうか?

何か、2年間の失われた青春を謳歌するべく遊びに本気だったように感じる。20代一番遊びたい時期の2年間が国家によって盗まれるという事は、大きな事なんだろう。

体がやっぱり大きいかった。軍隊で鍛えられた後、それが脂肪に変わってしまたような体の人が大半だった。笑

韓国人恐るべし。

少年は、人に会う為に旅へ出るのであった。


英語力が伸びたか?と問われればほとんど伸びてない。
しかし、それ以上に韓国人と日本人の仲間と楽しい思い出ができたので、行って良かった。少年は『世界一周の旅』を思い出すとき、この留学の1ヶ月が鮮明に思い出される。

日本人宿のオーナーの『お前死ぬ気か?』の一言に屈しての留学だったが結果としては良かった。

学校に到着した時は早く終わればいいなと思っていた留学。
しかし、学校を出る時には、そこでできた仲間と別れるのが、寂しくなっている自分がいた。

学校のみんなに別れを告げて、いよいよ世界一周の再出発が始まる。

旅で思い返される記憶と言えば『誰と何をしたか』

どこかの綺麗な風景でもない。
どこかの美味しい料理でもない。
どこかの楽しいアトラクションでもない。

少年にとって旅とは『人との出会い』であった。
この学校での日々は少年の旅の目的を満たしてくれるものであった。
旅に出た目的を、少年には明確な答えを持ち合わせていなかった。
しかし、その答えが朧げながら、分かりつつあるように感じた。

この学校で出会った友との思い出をそっと胸のポケットにしまって、次なる目的地

次章に続く。

1話から読んでくださる方は⬇︎


次回は、『サーフィン三昧の日々を送り、ある1人のサーファーと出会う。』


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