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あなたの回線は、光じゃないかも!?1分で分かる家庭向け「FTTH」

「私の部屋は光回線!のはずだけど、なんか部屋には銅線が届いていますけど!?どいういうこと?」

はい、こんにちは!松井真也です。新シリーズ「1分でわかる!ネットワーク用語」第9回でございます。

前回は、CATV(ケーブルテレビ)のお話をしました。J:COMに代表されるCATV会社は、テレビ視聴サービスだけでなく、インターネットサービスも提供しているのでした。同軸ケーブル(銅線)を引き込み回線にして、テレビ視聴とインターネット利用のデータを分離して使うのでしたね。

さて、今回は、FTTH(Fiber To The Home)のお話です。「自宅に光ファイバー!」という、言葉の勢いに任せた名称ですねw。CATVでもインターネット通信は可能でしたが、同軸ケーブルではなく光ファイバーの引き込み線に利用するのが多くなってきました(J:COMさんのサービスもそうです)。

では、光ファイバーが主流になってきたその背景や技術的な特徴が気になります。気になりますよね!?

ということで、続きを読みましょう!

 FTTHとは何か?

まずは、FTTHがどのようなものか基本から見ていきましょう!

FTTHは「Fiber To The Home」の略で、直訳すると「家庭への光ファイバー」です。これは、光ファイバーを使って直接家庭に高速インターネットサービスを提供する技術です。これにより、従来の銅線ベースの通信よりもずっと高速で安定したインターネット接続が可能になりました。

FTTHでは、もちろん「光ファイバーケーブル」を利用します。非常に細いガラスやプラスチックの繊維を使って光を伝送します。光ファイバーは、電線のように電気ではなく光でデータを送るため、速度が速く、電磁波の干渉を受けにくいのが特長です。

光ファイバーケーブルの構造などについては、過去記事でも紹介しましたし省略します!

どこまで光なのか?それが問題だ

名称から判断して「ああ、戸建てのためのサービスなんですね?」と思った方、いいところに目を付けましたね!もちろん、集合住宅や企業向けにも、もちろん提供されていますよ。

その場合、FTTB(Fiber To The Building)やFTTP(Fiber To The Premises)といった呼び方をすることがあります。これらは、それぞれ「建物まで」と「敷地まで」光ファイバーを引くという趣旨です。

となると、「自宅からどこまで光ファイバーが使われているんだ!?」という疑問が膨らみます。実はこれが重要な違いなのです。詳しく見てみましょう。

1)FTTH

まずFTTHは「家庭まで」光ケーブルを直接引きます。各家庭に回線終端装置(ONU;Optical Network Unit)までが光ケーブルです。家にまで光ケーブルが使われる嬉しいパターンです。回線速度は、相対的に速いです。

2)FTTB/FTTP

これに対して、FTTBやFTTPでは、これらは集合住宅やビル、敷地の中まで光ファイバーを引き込みます。各部屋までは別の方式(銅線とかWi-Fiとか)ということになります。集合住宅に住んでいるなら受け入れざるを得ないでしょう。回線速度は、FTTHに劣ることが多いです。

3)FTTC

上の例では、一応建物や敷地に光ファイバーを引き込みます。が、自宅の近くまでが光ファイバーで、引き込みは銅線というパターンもあります。これは、FTTC(Fiber to the Curb;縁石までファイバー)と呼びます。引き込みに銅線などの既存設備も利用できますから、安く上がります。が、回線速度は、FTTHやFTTBより劣ることことになります。

4)FTTN

さらに、家から遠いところで光通信が止まってしまうことがあります。FTTN(Fiber to the Node;分岐点までファイバー)です。事業者の分岐点まで光ファイバーでつないだら、その先から自宅までは銅線などになります。この場合、「光ファイバーを使っているぞ!」とはたいてい言わないでしょうな…。

ということで、住んでいるエリアや建物によっては、FTTHが難しいこともあります。引っ越し先を決める際は、確認しておきたいですね~。

FTTHはどのように登場したのか

FTTHとは何かだいたい分かりました。

では、なぜFTTHがこんなに注目されるようになったのでしょうか?この背景は、主に2つあります。

1)データ通信ニーズの増加

インターネットの使用が増え、データ通信量が飛躍的に増加したことがあります。

従来から引き込み回線には、主に銅線を使用しています。これは現代ではも基本はそうです。ただし、大量のデータを高速で送受信する必要がある場合など、銅線ではそのニーズに応えきれない場合もあります。

他方、FTTHは光ファイバーを使用することで、従来の銅線に比べてはるかに高速なデータ転送が可能になります。さらに、光ファイバーは電磁波の干渉を受けにくいため、通信の安定性も大幅に向上します。

こうした状況の中、2001年にNTTが「Bフレッツ」としてFTTHサービスを開始したことで、日本における光ファイバーの普及が加速していきます。ただ、光ファイバーの普及初期段階では、回線速度が数十Mbps程度と現代の基準では低速です。いまや光ファイバーの通信速度といえば10Gbpsや1Gbpsですから、動画のストリーム視聴もサクサクですね!

2)プラスチック製光ファイバーの普及

また、FTTHの普及を後押ししたのが、プラスチック製の光ファイバーです。

光ファイバーといえば石英ガラス製というイメージがありますが、プラスチック樹脂も使われます。

ガラス製の光ファイバーケーブルに比べて、曲げに強く、少し曲げることもできるので、既存の配管への導入も容易です。また、ガラス製に比べて、コアがはるかに太いため、光源の位置決めに高い精度が求められません。まさに建物内、構内設置に向いている特徴です。

加えて、一般にプラスチック製の方が安価です。上に述べたように、コア径が大きく、位置合わせの問題が最小限であるため、安価な材料とコネクタのコストを抑えることができるためです。さらに、ガラスファイバーと比較して、プラスチックファイバーは材料コストも有利です。

このような背景があって、以前よりも多くの家庭にFTTHを導入することが可能になりました。


はい、本日はここまで。今回は、FTTHについてお話ししました。この話を読んだら自宅の回線がFTTHなのか、FTTBなのか確認したくなりましたね!

次回は、FTTHに関連す技術「PON」についてお話しします。

では!

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