見出し画像

変化する組織と編集者はどう向き合うか?

 *本コラムは2023年MIMIGUIRアドベントカレンダーの6日目の記事として執筆・公開しています。前回はさとゆかさんの記事『葛藤は「きっかけ」になる』でした。


ライター・編集者としてMIMIGURIに参画してから、丸6年が経った。

最初はテキストの執筆・編集が主な仕事だったが、近年では『CULTIBASE Lab』という有料会員制サービスのコンテンツの企画・編集が業務の中心となっている。

MIMIGURIにはコンサルティング事業部と、CULTIBASELabを含めたメディア事業部、そして研究開発本部の3つの事業部がある。私はCULTIBASE Labの編集者として、コンサル事業部による実践知や、研究開発本部による学術的知見など、他の事業部が普段の活動の中で収集してきた組織づくりのナレッジを編集し、学習コンテンツとしてビジネスパーソンに広く届ける役割を担っている。

これまで組織にとって必要なテキストはたくさん書いてきたけれど、自分自身のことを発信する機会はほとんどなかった。なので、アドベントカレンダーの末席に名を連ねさせてもらうにあたって、組織としてではなく、個人として何か書くことがあるだろうかと少し戸惑ってしまった。

ただ、結局のところ、MIMIGURIという組織の内側に関心があるから、6年も社内で編集者をやっているのだ。であれば、編集者という──この“編集者”というのも人によってイメージがあまりにも多様だけれど──目線から見たことや感じたことを綴っていこうと思う。

     ▼

MIMIGURIって何をする会社なんですか?

MIMIGURIという企業に関するもののうち、一番答えるのが難しい質問がこれだと思う。なぜ難しいのかというと、単純にやっていることや、やろうとしていることに名前がついてないことがよくあるからだ。たとえば先日、コンサル事業部のとあるメンバーと一緒にオフィスでご飯を食べている時にふいに言った一言が面白くて印象に残っている。

僕らがやっていることは、本当はコンサルではないのかもしれない。

どういうこと?と思いつつ、こういう話は、MIMIGURIの中ではわりとよく展開されているように思う。私が所属するCULTIBASE Labの運営チームでも以前「CULTIBASE Labはメディアか、プラットフォームか」といった話が盛んにされていた時期があり、それは単に表現の仕方を問うているのではなく、「将来的にこのサービスをどうしたいのか?」というコンセプトを問う意味も含んでいる。

話を「コンサルかどうか」の場面に戻す。メンバーの発言の背景をここで詳しく書くことはできないけれど、先日配信されたCULTIBASE Labの番組の中で、ゲストの伊藤セルジオ大輔さん(株式会社マネーフォワードCDO)がMIMIGURIのコンサルティングの姿勢について語っている場面で、比較的近しい話をしていた。

セルジオさん 能力定義のプロジェクトをMIMIGURIの皆さんと一緒にやるにあたって、(MIMIGURIの)コンサルタントという立場を利用すれば、「この方法が定番ですよ」と、(画一的なやり方を)当てはめてしまうこともできたと思うんです。でも、そうではなくて、マネーフォワードのマネージャー陣と、MIMIGURIの皆さんが一緒に考えて、対話する場を創ってくれたんですよね。

(一般的なコンサルティング企業のイメージに近い)ドラスティックに変えていく方法を取る場合、「ここを治療しましょう」や「ここを変えていきましょう」といったように、西洋医学的なアプローチになりがちだと思うんです。

けれども、MIMIGURIの皆さんは、(クライアントである)僕らが本質的に何かに気がついていく、あるいは、僕らの共通認識が本質的につくられていくというような、内部からじわじわやっていくような東洋医学的アプローチだった気がしますね。

CULTIBASE Lab『多角化戦略で人が育つ?!マネーフォワードCDOが語る組織づくりの最前線

これを聞くと、たしかにMIMIGURIのコンサルティングは、一般的にイメージされるコンサルとは、若干得意分野が異なる気がする。ただ、そのあり方にどう名前を付けばいいのかは、よくわからない。ただ、わからないからこそ、みんなで新しい概念に名前をつけようとする動きが、MIMIGURIの中では頻繁に見られる。名前をつけようとする行為の中で、他の人との見え方の違い、考え方の違いに触れながら、「私たちは何者か?」という問いと向き合い、自身のアイデンティティについてより一層理解を深めていく場面をよく見かける。

MIMIGURIを見ていると、「他者との出会い」こそが、人の変化を加速させる上で重要なのだろうと、よく思う。同じ組織で会話をしたとしても、ただ業務連絡をするだけでは、「他者」に出会ったとはいえない。お互いの価値観が交錯するような対話の中で、目の前の相手と自分自身が違う人間なのだと思えたその瞬間を指して、「他者と出会う」ということなのだと私は考えている。

その他者との出会いを通じて、その人から感化される、あるいは、あえて違う芸風を志したくなるなど、個人の変化はさらに加速する。そして多様化した個が、改めて「私たちは何者か?」と問い、語り合うことで、チームとしてのアイデンティティをより強固にしたり、逆に違うあり方を模索し始めたりする。その結果、チームもその一つひとつが個性的な色を帯び始めていく。

私が編集者という役割を好んでいる理由のひとつに、組織の中での”立ち位置”を比較的自由に決めることができる点がある。ときには組織の中心でメンバー同士が何かしらテーマに基づいて改めて"出会う”場を創ることもできるし、ときには組織の周縁に立ち、メンバーが外部の人と出会える場を創ることで、組織に新たな風を吹き込むこともできる。組織やチームの求心力と遠心力のバランスを取りながら、さらに刺激的な変化をもたらしていくことが、編集者としての今後の私の楽しみのひとつだったりする。

◎お知らせ
CULTIBASE Labにて、今週より新作動画「私たちは何者か?組織アイデンティティ研究に学ぶ“一体感“のマネジメント」が公開中です。有料会員限定コンテンツではありますが、関心のある方はぜひこの機会にご覧ください。



MIMIGURIアドベントカレンダー7日目の明日はアートエデュケーター・夏川真里奈さんを予定しています。どうぞお楽しみに!

MIMIGURI Advent Calendar 2023の記事一覧はこちら


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?